第141話 村の散歩でまったり

 結局風邪は三日ほどで治ったが、ベスからの風邪と聞かれた姉妹が完治させろと、一週間缶詰めにされました……。


 治って直ぐにポンコツに洗ってー!とおねだり、ポンコツとは思えないテクニックを身につけていた、悔しいが気持ちいいです!


 ゆったりブラシで毛をとかされるとウトウトしてくる、大の字になってリラックス……みーちゃんが頭を舐めて毛繕いしてくれる、ほわーん天国ですか。


「ピ?」へんたいきん、きえた?


「きゅる」わからない、みちすう


 風邪だから、変態菌じゃないから!


「きゅーちゃん、そろそろ暑くなってきましたけどーカットしますか?」


 え、カットまで出来るようになったの?ポンコツがポンコツじゃなくなっている!?


「……そ、そうですよ?私だって成長しますからね?心外ですよー?」


(あらあら、トリマーのスキル作って貰ったのよ?お父様に、それを差し上げたのに自分の成果の様な顔をして、教育足りなかったかしら)


 なんと?スキルを作ったの?やっぱおとーたまは万能なんですな!ポンコツ!?


「ふぇーぃすいません!!お父様にお礼は必ず言いますぅっ」


 

 コンコン、扉を叩く音、宰相ですね、入れて差し上げなさいポンコツ君。


「は、はいー」


「失礼します……と、おや?ポチ殿もう起きていいんですか?」


 もうっていうかとっくに治ってたよ、ベスのせいだよ……


「あー……はい、ご無事で良かったです、王妃様が心配されてましたよ、ベサーレス様は二日で治ったんですけどね。」


 馬鹿は風邪引かないって言うけど、馬鹿だから健康管理出来なくて風邪引くと思ってるんだよ俺は、何で俺だけ移ったの!


「さぁ……分かりませんよ?お元気になられたら王妃様がお会いしたいと言っていたんです、ベサーレス様のご兄妹を紹介したいと。」


 ああ、しっかりした弟と可愛い妹か。


「ピー?」かわいい、にそくのこねこ?


 そうそう、小さい時はみーちゃんが二足で歩いてるような感じで可愛いのよ?


「ピー!」ねぇねのにそくばん!


 あんまり妹さんの前で滾らないでね?怖がるよ?可愛いのヒヨコでいなさいな。


「ピ」おちつく


 ぶれ幅大きいよ!


「では、明日にはご紹介出来ると思いますので、特に何かする必要もないですよ。」


 何か?あっれ忘れてたわ!お土産に熊狩りまくってたんだよ、お土産に。


「狩りまくってた……?そ、それは凄いですね、魔法はないので二匹程度で構いませんよ?腐らせるのもいけませんので。」


 あ、そう?じゃ欲しい時言ってよ、絶滅寸前まで狩りそうだったの、止めたけど。


「それはそれで困りますね、生態系の維持は必要ですから、では明日頂きますね?」


 あいさーベスの監禁ちゃんとしてるよね?


「ええ、それはもう厳重体制で……」


 なら良し!



「ミッミッ」にぃに、さんぽするのっ


 うん?散歩かー村を見るのもいいかもね?


「ピ?」かねつかえる?


 物を売ってる店はあるけど寄ったこと無いから見てみようか?物々交換かもしれないし。


「ピッ」チッ


 腐るなよー金貨の山は用意出来るでしょ?それで我慢しておくれやすー。


「ミッー」さんぽーにぃにとさんぽー


 ウキウキですね、歩きますか?


「ミ」やなの、がったいなの


 それ散歩かな?まぁいいか、もはや伏せなくてもピョンと乗れる様になったから既に背中に乗ってるけども。


「ピー」ぴぃはのれないー


 へい、頭が高くてすいやせん、相変わらず鼻は踏むのね……


「きゅるー」じゃあ、そーものるー

 

 何時ものスタイルになった、散歩とは。




「いいなー乗りたいなー動物に変身!とか無いですかね?モナ先輩?」


(ふふふ、あってもあげません。)


「そ、そうですかー……」


 扉はそーちゃんが器用に開けてくれる、ポンコツは何でも遅いんだよー。


「ひゃーすいませんー!」


 部屋から出ると警備さんが居てビクッとした、ど、とうして警備が居るの?


「きゅる」へんたいよけ


 成る程……先に言ってよ自由かと思った。


「ポチ殿達はどちらに?」


 村に見学ついでに散歩、駄目だった?


「いいえ、制限は有りませんが、何処に行くかは知らせて下さい、万が一を考えてますので」


 あいあいさー、まぁ皆で探知してるからね、万全だけども、たまに探知さん機能しないよね、魔法という意思か、性格なのか。


 トテトテ歩いていくと途中で猫メイドさんがミルク欲しいか聞いてくる、欲しいけど……今は散歩行ってきますー。


「いってらっしゃいませ。」


 会うメイドさんに毎回聞かれる、そんなに欲しがってる様に見えるの?


「ピ」よくおねだりしてたおにぃがわるい


 あ、はい、すいません……


 城の外に出る、門番さんに挨拶、最早顔パスですわ、いつの間にかこうなったのか。


「きゅる」おうひさまのめいれいー


 王様じゃないのがミソですね。


 猫族は約百匹ほどだと聞いている、賑わってる訳じゃないけど、まったりしてるのがいいよね、ほら、二足の子猫!可愛いのー


「ピッ!」かわいい!


 だろー?ベスの妹はもっと可愛いぞ、なんか気品なのかな?王族だからかな。


「ピー」それは、たぎる


 何てお話しながら見学していく、犬の俺はあんまり歓迎されてないけど、みーちゃんが猫だから、緩和されているんだろう、と、お店発見!近づくと食べ物の匂い、食堂ほどじゃない、屋台が少し大きくなった感じ。


「ミー?」いいにおい、するのー


 お?みーちゃんが興味を持った!


 お店に近づいて客が何を食べてるのか覗いてみるけどもう居なかった、匂いが残っていたらしい、十人程が座れそうな椅子がある、何か食べてみる?お金ないけど……


「ピー」ないのに、なんでいったし


 ま、まだ知らない事多いもの!聞いてみますぅ!お店には多分店主一人なんだろう、雌の猫族さんだ、すいませんー?


「あ、はい?何ですか?」


 ここの支払いってどういう感じなんですかね?田舎者ですいませんー。


「支払い……ですか?何かお持ちならそれで料理しますけど?」


 金銭はないんですか?


「きんせん…?ちょっと分からないです」


 おお、残念物々交換の世界だねぴーちゃん。


「ピー」きんかで、なぐさめる……


 どうしようかな、手持ちは猪と熊だけど、いい匂いって何の匂い?


「ミ?ミィ」なんの?いのししのやいたにおい


 ほうほう、では、猪料理でお願いします。


「はい、お好みは何でしょう?煮込みですか?焼きますか?」


 煮込みは時間掛かりそうだから焼きでいいかな?みーちゃん?


「ミッ」なんでもいいのっ


 おっけー、ならお願いします、と猪丸ごと出してみる、解体魔法で綺麗に仕訳されてるけど、本当に便利なのくれたよね、ポンコツとは大違いで……


「見習い舐めないで下さい!見習いなんです」


 どんな言い訳してんだよ!成長しよ!?


「わっ……凄いですね、全部の部位が揃ってる……綺麗に、初めて見ました。」


 ふふ、特別な力があるのです。


「そ、そうですか……では焼きなので脂身の多い部分頂きますね、お勘定は何処の部位をいただけますか?」


 あ、そういう感じで支払うのね、どこでもいいですー、まだ沢山あるから。


「……王妃様のお友達なんですよね?犬さんは、お触れが出てましたけど。」


 お触れが出てたの……歓迎がすぎるぅ


「あの、一年程と少しの前の事で、皆不安が無くなったんです、犬族の計画とか聞いて、犬さんのお陰だとも聞いてます、その節は有り難う御座います。」


 ええ?いいよ、もう、忘れてよ。


「謙虚な方なんですね、美味しいの作ります、少々お待ちくださいね?」


 はあーどもども。


「きゅる」けんきょ?


「ピー」ってじ、かける?


「ミ?」かけないのー?


 書けないのー!すいませんね!


 暫くするとジュージューと良い音が聞こえてくる、肉の焼ける匂いは良いですな、皆で取り敢えず椅子座ろう?


 猫族もそう背が高いわけではない、二足で立って平均一メートル程度だが、俺達が小さいから大きく感じるし、ポンコツには窮屈だ、何だろう世界の縮図?


「ピー」いみわからん


 生意気なヒヨコね!哲学よ!


「ミィ!」にぃに、てんさい!


 もーみーちゃんは可愛いね?見習え!


「ピ」おにぃーてんさいー


 棒読みは可愛くねーよ……


「きゅーちゃん、これ私の膝に座れば丁度いいんじゃないですかー?」


 お?良いこと言った、皆で膝に乗る、窮屈だが仕方ない。


「ふへへ、皆可愛いです!」


 膝に乗って欲しかっただけかよ?見直したのがばからしい……


「む、きゅーちゃん冷たいんだもん。」


 俺が優しく出来るまでに見習い卒業しよ?


「あいさー……」



「お待たせしました、猪の焼き肉です。」


 クンクン、おや?あれだね、普通に直火じゃない匂いだ、炭火ですかい?


「あ、良くお分かりになりましたね、そうなんです、主人が偶然この方法を思い付いたんです、好評なんですよ。」


「ンミー」いいにおいなのー


「ピ」すみび?あとでおしえろ、おにぃ


「きゅる」なかまでじんわりー


「ほわー美味しそうな匂いですー!」


 ぴーちゃん今度は何を目指すの?


「ピ!」りょうりけんきゅう!


 成る程、勉強好きね……ハッ!そうだ俺が食べないと、姉妹が食べないのだった、サーロインよりはリブロース寄りだろう、適度な霜降りの塊のお肉をクグッ!パクりと一口、モグモグ……うむ、やはり直火より美味しいのだ。


 ほら、みーちゃん食べていいよ?


「ミッ」たべるのっ


 でも塊のまま焼いてるから、爪をシュッと出して細かくカット、ぴーちゃんとそーちゃんサイズも、ポンコツには厚みのある細切れ。


 みーちゃんがもきゅもきゅ食べる、目を細めるのは美味しいサインだ、よかよかー!


 ぴーちゃんは最早ミンチに近い肉を啄む、味わって考えながら食べている、肉食えるんだ?


 そーちゃんは大きさを少し変えて食べやすいサイズに変化、便利でいいすね……


 ポンコツはおいしーを連打しながら食べている、そろそろ地球産の食事出すか?いやでもなー……神様に戻った時困ったら俺も困るから、やはり現地の食事に慣れさせよう、これも修行だよ。


 俺は病み上がりでそこまで食欲もないので、数口で止める、ミルクあります?


「はい、お持ちしますね。」


「ピ?」ようじがえりか?


 誰が幼児やねん!ミルクは飲み物です!赤ちゃんだけのものじゃないのー!


 ミルクをペロペロしながら皆の食事風景を眺める、まったりはやっぱ最高すな。

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