第140話 犬風邪を引く

 みーちゃんを起こした宰相を部屋から蹴り出して、皆で固まっておねんねー。


 みーちゃんがまだ寝言でみぅみぅ泣いてる、うう…この世界に来た理由を思い出して鬱々


 そーちゃんのもっふり尻尾枕で寝て、俺の尻尾を掴んで、ぴーちゃんの小さい翼をハムっと咥えてるみーちゃんなんだけど、身動き取れない、取った瞬間姉妹に殺されそう!


 ソワソワしてしまうのはやはりこの世界が姉妹に喧嘩の原因だったからか、ベスの姫事件なのか、記憶喪失だったからか……いや、違う、違うんだ、トイレ行きたい……



 眩しい日差し、朝になった様だ、トイレどうしたかって?気配隠して結界張ってトイレに転移ですわ!必死に戻ったわ!


「ミゥ?」にぃに?いるのー?


 居ますよ?ずっと居ましたよってテイ。


「ミァーミァ」ふぁーよくねたの、みんながいるとうれしいの


 だよねー?洞窟じゃないんだし、ダラダラしようよーコロコロしちゃうぞ!みーちゃんを抱えてベッドの上をコロコローコロコロー、きゃきゃっと楽しそうな声で安心です。


「ピー……」はずむ……


「きゅい?」まざる?


 よーし、にぃに皆を抱えてコロコロー!


 ぴーちゃんが迷惑ですって感じバサバサする、ブェックショイ!くしゃみが出る。


「きゅる……」はなみず……


 うおう!鼻垂れたー!浄化なのー!


「ミァー」じょうかなのー


「きゅる」じょうかなのー


 そーちゃんは城下って言ったよ。


「ピ」なにやってんだ


 ダラダラタイムなんですぅー!


「ピー」なんだかんだ、いそうろう


 せやな、飼い犬じゃないけど、すっかり城に住み着いていい感じになった。


 そう言えばポンコツさ、ここ何話か出てないんだけど、何処行ったの?


「きゅる」しょだいに、れんこう、された


 ……い、いつの間に、てかどうしたの。


「きゅる」なんか、せっきょうと、このせかいのこと、おしえるって


 怖い方の、あらあらうふふ、なのに説教か、南無ー……


 ブシッ!グッ、くしゃみが……鼻水が……ブシッ!ブェックシ!


「ピー」きたないー


「ミーミー」じょうかなのー


「きゅい……」にぃに……かぜ、みたい


 ブシッ!あんだって?ブフッ!風邪!?


「ミゥ!」じょうか、ぶっぱなの!


 ブエックシン!ブシッ!と、ブシッ!まんブヘッない!ブフッ!


「きゅい!」ねぇね、ぶっぱだめなの、ていこうりょくなくなるの!


 フエッフエッフアッブアックシッ!


「ピー?」そうなの?


「ミ?」だめなの?ていこうりょくってなに?


 俺のくしゃみが止まらない、腹痛い!何?初耳なんだけど!浄化しすぎると抵抗力無くなるとか!除菌世代かっ!!


「きゅる」そうだよー、ちーとじょうかだから、こうかばつぐん


 そんな所でチート発揮すんなや……


 ブシブシくしゃみしてるけど、しまった、風邪なら移ってしまう、結界で自分を囲う。


「ミッ!?」にぃに!?なんで


「きゅい」うつるから、かくりしてる


「ピー」しゅぞく、かんけいないの?


「きゅる」そこまでは、しらないー


 鼻水が出まくってきちゃない姿を見られたくないから色着けて誤魔化す。


「ミゥ!ミッ」にぃにがみえないの!やなの!


 あうあうあ!ブシッ!透明に戻して毛布にくるまって誤魔化す、これならいい?ックシ!


「ミーィ」もっとみたいのー


「ピーィ」ねぇね、へんたいぽい


「ミッ!?」しんぱいしただけなの!?


「きゅい」おとこは、おんなのまえで、かっこつけたがる、そっとしとく


 何処がカッコいいんだよ!


「きゅい」とりあえず、しぜんになおす


「ミー?」なにもできないの?


「ピィ」しょうがない、ちーとのおとしあな


 ほんまやで、弊害すぐる。




「ポチ殿が風邪を?魔法で治せないのです?」


「きゅる」だめな、まほうも、ある


「そうなんですか……お薬なら有りますが種族が違っても問題ありませんかね?」


「きゅい?」ためしたら、わかる?


「そんな、実験みたいに言われましても?」


「きゅる」なるようになる、はよせい


「……お兄さんに似てますね……」


「きゅい」きのせい、さいしょうのせきにん


「似てますよね!?」




「あらー?きゅーちゃんが風邪を?精神的に弱ってたのかしら?やはり?」


「むむ?何をもって精神と思うのだ?妃よ」


「……あら、もうベサーレスの事忘れたの?仕方のない方ね?貴方も教育受けますの?」


「ああっいや!違うのだよ!忘れてなぞいない、あんな事は、うむ、そうか精神が参ったのだな!薬を出してもよいぞ。」


「昨日の今日ですよ……何故忘れたんですか?王よ……」


「宰相は何を言っとる?忘れておらん!」


「もう、五月蝿いわね?ベスの部屋に放り込みますわよ?少し静かになさって?」


「そ、それは勘弁を……」




「と、言うわけで許可が出たのですが、本当にいいんですか?」


「ピッ」かんていした、あんしんしろ、たぶん


「最後に気になる一文が……」


「きゅい!」ながびくと、ねぇねがかわいそう!はよせい!


「ええーどちらかと言えば猫さんの為なんですね……私の責任では有りませんよ?」


「ミ?ミゥ」だめなの?なおらないの?


「ピッ」へんたいに、ぜんぶおしつける!


「それもそうですね、発端ですから。」


 何かヤイヤイ言ってる……薬がどうのって、俺は実験台か……ブフッ


「……これどうしたら入れられるんですか?結界でしたよね」


 はぁー仕方ないな、物に集中して、転移させる、結界の中にご案内。


「おおっ……素晴らしい……」


 お薬ー苦いの嫌よー?爪で袋をガサガサ…………ドス黒いんですけど……?


「ピ……」きけんないろ……


「きゅい」よそうがいのいろ


「ミァ?」のまないの?


 みーちゃんだけ純粋に飲んで欲しいらしい、え?これ、舐めるの?え?


「舐めた方が効果が早いんですよ?」


 漢方かよ……舌先にチロっと黒い粉を……


 オエェェッ!苦い!甘い!何このコラボ!


「ピーィ」どっちなのかわからん


「きゅる」みてたくない


「ミゥミゥ」ぜんぶなの、がんばるの


 みーちゃんの応援がツライ!


「やはりダメですか、ミルクに溶かしますか」


 なにそれ!それでよかったんちゃうん!?


「いや、早くしろと言われたので……」


 早く治せとは言ってないでしょ!


「そうでしたっけ?猫さんが早く治って欲しいみたいですから?」


 みーちゃん!!ごめんだけどツライ!


「ピー」ここでかぜを、ひくと、きけん


「きゅる」そうらしいね


「ミィー」がんばるのーにぃにー



 結局ミルクに混ぜた薬はココアみたいで美味しかったです……。


 一緒のベッドで寝てるけど俺は結界で隔離、みーちゃんが結界ボールに抱きついて寝ている、そんなみーちゃんを見ながらウトウト。


 つーか何で急に風邪を引いたんだろ?精神的って言っても、凹み型の精神的なものじゃなかったハズなのに……もーやだなー……





「え?ベサーレス様が風邪を?」


「はい、最近になって症状が出たんです、本人が気がついて無かった様子でした。」


「……気がついてなかった?となると大分前から風邪を引いていた、と?」


「はい、恐らくは……お医者様がそう言ってましたので。」


「……感染源はココだったのか。」




「ヘブっにゃ、なんか寒いにゃよーブシッ」




 と言うのを朝起きて宰相に聞かされた、え?俺はベスの風邪が移ったの?


「ピ!」やばい、へんたいきんが


「きゅる!」けっかい、とかないで!


「ミウミウ!」へんたいになっちゃうの!


 おい、変態ウィルスじゃねーんだよ!だけど胸糞悪いわ!あのやろー!


「ベサーレス様もまぁ野生的な生活してましたから、ポチ殿とは抵抗力が違ったのかと?」


 ただ鈍いだけだろ、そう思ってんだろ?


「それは否定しませんけど。」


 まぁしょうがねぇ、浄化の副作用しらなかったから、普通に日常的に使ってたもんな、これからは、魔法にあんまり頼らない生活しよう、とかここに来たときにも言った気がする。


 結界ボールでユラユラ揺れてるとみーちゃんがウズウズしてるのが分かる、今はやめれ?


「ミァー」わかってるの、ほんのうなのー


 と、言いつつ、小さなお手々でチョンチョンする、大した力じゃないから良いんだけどね?


 そうか、浄化があまり使えないならそろそろポンコツ戻して貰って洗わないと駄目だよね、モナさんー?まだ説教中ですかね?



(そうですね、まだ物足りないのですけど、仕方ありませんね?)


 目の前がピカっと光ったらポンコツが立ってた、憔悴した顔を見れば何となく経緯が分かる、けど、これからしっかり面倒みよろ?


「あ、あいさー……世界の世界の……」


 ぶつぶつ言い出したよ、怖いお!


(足りないときはまた強制呼び出ししますから、今はお返しします、お大事に。)


 それ言っちゃうと毎回呼ばれるやんけ。


「世界は素晴らしいっ!!」


 どんな教育的指導!



「ここはどうですか?気持ちいいですか?」


「ピ!」すごくいい!


「そーちゃんはここらへんですよね?」


「きゅる!」な、なんてピンポイント!


「みーちゃんはここ、ですね?コショコショ」


「ンミー!」くすぐったいけど、いいのー



 何て声がバスルームから聞こえて来ます、ポンコツによる手洗いとブラッシングだそうで?モナが教えてたのはこの世界で神様がしてはいけない事と、俺たちの洗い方、ブラッシングだそうだ、なんでー?


(あら、ポンコツさん下手だから困ってたでしょう?嬉しくないかしら?)


 いやー嬉しいよ?何度教えても直らなかったのをどうやってあんなにパーペキにしたの?


(一種の洗脳ですかね、ふふ)


 オウマイガッブシッ!ズズ……はぁー


(あらあら、たかが風邪でそんなに落ち込むなんて、きゅーちゃんさんらしくないわね?)


 ん?らしいって何やねん!風邪の時位大人しくてもいいだろがぃ!


(いいですけど、つまらないですね、あ本音が)


 ワザとだろ……俺もお風呂入りたい!ブラッシングして欲しい!結界ボールの中でジタバタ暴れる、駄々っ子プレイで汗を出すのだ。


(ふふふ、その調子ですよ?頑張ってください)


 ぬおー!ジタバタジタバ……


「ミッ!?」にぃにがおかしいの!?


「ピー?」ねぇね、はなしきこうよ?


「きゅい」あらってほしい、ぷれい




 穴があったら掘りたい……

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