第136話 ママ上に会いに

 俺が戻ったのも報告してないし、少し長引きそうなので毛布と玩具を出してまったり。


 しようと思ったけど姉妹もポンコツも見知らぬ世界だからか、俺から離れない、それはいいんだけど、猫族の警備さんがジッと見てて落ち着かない、珍しいんだろう。


 取り敢えず世間話しとくか?


 ねぇねぇここ離れて一年半位だと思うんだけど、将軍はとうなった?


「え?将軍様……ですか……えーと……何て言うか、変わりました、かな?」


 軽くなれとは言ったけどそんなに変わったの?どんくらい?


「あ、ポチ殿がそう言ったんですか、だからですかー……軽くなりましたね……」


 重いよ!口が重いよ、何があったし?


「で、でも王妃様はそれでいいんじゃないかっておっしゃってました、はい。」


 うおおお益々気になるっー!


「ミ?」しょうがんてなに?


 しょうぐん、ね?えーとね、軍隊で一番偉い人、強い人、や、猫か?


「ピー」またおにぃが、ろくでもないことした


 ちょ、心外、でも不安で言い返せない。


 ベスが服着てたのも宰相の作戦が成功したからだよね?


「え?あれもポチ殿が?凄いですね、ちゃんと形から入るにゃ、とか言ってました。」


 やっぱアイツ形から入る奴だった。


 にしても猪が狩れる様になったとは、驚きです、逃げ足だけは金メダルだったのに。


「はぁ……それも王妃様がご兄妹にみっもない姿を見せるな、と放り投げたんですよね、森に半年位は帰って来られなかったみたいで。」


 強制だった……まぁ成果が出たのはいいが、今回だけは許せん……っ


「な、なにか無礼を……?」


 無礼だとぅ!?無礼も何もあったもんじゃねぇ!!いきなりみーちゃんを嫁にーとか言い出したからな!ぶっ飛ばしたわっ!!



「…………申し訳ありませんっ!」


 猫族の警備さんが土下座したよ、良くできるね?俺でも無理なのに、ってあんたがしても俺達は許さないからベスをな。


「はぃ、王妃様がちゃんと始末してくれると思いますのでー……!」


 

 何、今回は始末なの?逝くの?


「さぁ?ははは……どうでしょう。」


 ふんふん、任せようかな?


 そうだ、まだ犬族ウロウロしてたね?戦争してないならまだ手は出してないって事だよね?しつこくない?ストーカーなの?


「す、すと?……ええしつこいです、ずっとですよ?どれだけ戦争がしたいのか皆で呆れてます、もちろん何を言われてもそれが手の内だと周知してるので、問題はありません。」


 ほうほう、猫族も犬族の企みをちゃんと阻止している様だ、まぁ馬鹿は何処にでも居るからさ安心は出来ませんけど。


「ミ?」ばしゃなの?


 おう、ガラガラ音がするね、お迎えだ、ママ上に逆らったら駄目よ?分かった?


「きゅい!」おこ、おこ!


「ピー」ふくてんちょうれべる


「ミィーミゥ」おなじねこなのに、きらいなのもいるの、かなしいの


 みーちゃん安心して?俺犬族大分嫌い。


「ミゥ?」そうなの?おなじじゃないの?


 いやいや、種族が違うから、二足の顔に騙されたらイカンよ?俺達四足と二足は別物、だからベスはぶっ殺すの、いいね?


「ミィ!」ならあんしん!


「きゅる」ねぇねーすこしはべんきょうしよ


「ピー」それは、かわいくなくなる、だめ


「きゅるー」しすこんー



「ん?……ああ馬車が来たか、俺達よりだいぶ耳がいいんですねー」


 あ、そうなの?やっぱり似てるようで違うのは合ってたのかな?無理矢理こじつけたけど。


 


 ガチャりとお城に報告に行った門番さんが顔を出す、顔色わるいよ?毛が真っ白だけど。


 

「お待たせして、申し訳ない、客人が来ていた様で時間が掛かった。」


 いいさ、突然来たのが悪い、ベスが不意討ちしたから計画台無し!


「はは……すいません、お乗りください。」


 皆で外に出て馬車に乗る、ぴーちゃん以外は自力で乗ろうとしている、特にみーちゃんが。


 二足との差はデカイ、おまけに身長も小学生並みだから、以外と背が高い。


 中級ダンジョンを思い出す、無理だな。


 というかピョーンって飛べば?乗れるよね?


「ミゥ」おのれの、げんかいに、いどむ


 何があったんだよ!ベスかっ!ベスなの!?


「ピー」おちつけ、ねぇねの、くせだよ


 癖なんかあるの?癖(へき)じゃなくて?


 あだだだだ!頭の上のヒヨコの爪攻撃!


「ピーッ」ねぇねをけがすなーっ


 すいません!土下寝しますぅ!!


 

 階段を一生懸命上がろうとする子猫みたいに小さい猫と、額の宝石が輝いてるリスっぽいのがそれを応援してたり、傍らでは犬が地面を舐めるように大の字なって頭の上のヒヨコに足で踏まれてたり、それをしゃがんで見ている何かの生き物だったり。



「カオス……」


「全部王子のせいかも……」



 暫くして諦めたみーちゃんが俺の土下寝にドッキング、ぴーちゃん怒りが収まる、ついでにそーちゃんもドッキング、で準備完了。


「もーいいんですか?面白かったのにー」


 だまらっしゃい、ポンコツ、先に乗りな!


「はーいー」


 ポンコツが乗り込んだので、気まずい感じで馬車にピョーンと乗り込む、忘れて?


「……あ、はい、いってらっしゃい……」


「では、行きますね……」


 恥ずかしい……


「ピ」なにがしたかったんだよ


 知らないよ!俺たちの日常に慣れてなかったんでしょ!?


「きゅるー」あれがにちじょう?やばいわー


 端から見ればヤバいよねー?ハハハ。


 みーちゃんが何かを察してか、背中をフミフミ、あうー有り難うみーちゃん……



 ガラガラと馬車が進む、以前は俺を見て嫌悪感を表して居た猫族の目が少し和らいでる気がするのは何故?


「やはり王子と王妃らに可愛がられていた、と言うのが大きいのかと。」


 ほうー、そうなんだ……


「ミィ」みんなおなじでも、ちがうの


 そうだね、完全な猫と猫族はやっぱり何処か種族的な違いがあるよね。


「ピー」ゆめをかえせ


 んな事を言われてもね?子供は可愛いよ?


「ピィ」はやくみたい


 へいへい、そう焦るなし。


 人間が作る城下町とは広さが違うからそう王城まで遠くはない、ほら、木の上にお城があるでしょ?凄くない?


「ピッ!」かなり、いいふんいき!


 だよね!なんか秘密基地みたいな冒険感。


 城の下に待ち受けてるのは宰相だ、笑い上戸なんだよ、メガネ外してる……。


「ミィ?」なんでめがねおおいの?


 さぁ?インテリぶってんじゃねーの?


「宰相様は、お仕事が忙しいので目が悪くなると言ってましたよ?王よりお気を使う仕事が多いみたいですからね。」


 世の中のメガネ全てが忙しい訳じゃないぞ。


 馬車が宰相の横で止まる、うーん懐かしい顔立ち、ツーンてしてそうで、笑い上戸とか。


「ピー」へんたいりつが、たかい


 変な人、猫は多いかもね?将軍とか?



「ようこそいらっしゃいました、ポチ殿、ではなくてきゅーちゃん、でしたかな?」


 お久しぶりー、どっちでもいいわー。


「相変わらずですね、そちらの方々がお帰りになった理由の姉妹ですか?」


 そうなのよ、可愛いでしょ?


「ええ、大変可愛らしい方ばかりで。」


 ポンコツー降りてきな。


「あ、はいー降ります降りますー。」


 で、これが世にも醜悪な人間よ?


「違います!人間と同じにしないでーきゅーちゃん!神様なんですからっ」



「ほ、ほう随分と変わった……これが人間ですか……サルにも似てる感じですね?」


 まーね、人間なんて猿の進化みたいなもんだから、サルでもいいんじゃね?


「うー違いますー……」


「さぁ、立ち話も何ですから、城にどうぞ。」


 お城に続く階段を皆で昇る、まぁ合体してるから俺とポンコツだけだけど。


「それで……あの、王子が粗相をされた、とか?お聞きしたんですが……」


 んーまぁ面倒だからママ上と一緒に聞きなよ?二回も言わせんな恥ずかしい。


「恥ずかしい?、身内の恥は此方ですが」


 ただの言葉遊びですぅー。


「はぁ……?あ、王妃様の準備がまだなので、応接間の方で少々お待ち下さい。」


 あいよーミルク頂戴ー!


「ふふふ、はいはい、変わりませんね。」


 応接間に案内されて、寛ぐ、合体解除してみんな室内の探索、そんなに見るものある?


「ピィー」かねめのもん、さがす


「ミィー」あちこち、きのにおいが、ちがうの、おもしろいのー


「こんなに大きいのに木の上にあるなんて不思議ですぅ落ちませんかね?」


 魔法がない世界だから、工夫してるんじゃないの?それが進化ってもんよ。


「おおー進化!人間はサルが先祖ですか?」


 まぁ諸説あるけどね、神様が造ったとか、色々?そこんとこどーなの?


「え、私既にいる世界しか管理してないから分かんないでふ、きゅーちゃん……」


 むしろポンコツが、一から創る世界も見てみたいな、きっとカオスなんでしょう?


「何でですかねっ!ちゃと出来ますよっ」


 俺達が生きてる間に作ってよ?超興味ある。


「ピー」ちょーすみたくない


「ふぇー…酷い、でも作り方分かんない。」


 何かと何かをミックスさせればナンカになるよきっと、がんば?


「何かと何か……ほうほう勉強になります、やっぱり可愛いものと可愛いものをミックスですかね?超可愛いとか!わー夢です!」


 爆発しないといいね……


「ンミ……」たんけんしゅうりょう、だっこしてほしいの、ふあんにぃに……


 おう、そうやね、此処に来て早速嫌な目に合っちゃってごめんね、ヨチヨチ、ペロペロ。


「ピッ」ぴぃもはげますっ


「きゅる」そーも!


 皆でみーちゃんを慰める、もう!ベス許すマジまじで。

 

「あのーミルクお持ちしました……」


 あ、メイドさんお久しぶり?どもですー置いといて下さいー。


「あ、はい……可愛い兄妹ですね……」


 そうでしょー?ベスがあんなことするのも納得の可愛さよ?


「お、王子が!?……それは大変ですね。」


 ふふふ、メイドさんにも悪い印象付けてやる


「……何時もの悪巧みですね?」


 失礼しちゃう!


 みーちゃんを慰めるのも終わって皆でミルクをペロペロ、ふむ、やはり城のが美味い。


 がチャリと宰相が来たのは分かったがミルクが飲みたいから無視するし。


 椅子に座って俺達の食事風景を眺めている。


「そう言えば、王子をぶっ飛ばしたと言ってましたが、犬族の方でした?」


 え?……ど、どうかな?


「落ちた先で何もなければ良いですが。」


 そう?何かあってもいいんじゃない?


「……それは国として困りますから、王子より民を選びますよ、王も王妃様も。」


 貴族の世の中も世知辛いのぅ。


「きゅる」べすがしんでもほかにもいるもの


 俺の分身はネタも俺仕込みー。


「ピィ?」おにぃのいいところって、どこ?


 ……泣きそうになるやんけ!


「ミィ!」あんしん、やさしい、つよい、うちういち、かわいい!


 やだー!みーちゃんが激かわ!


「ピッ!」たぎる!


 なんでやねん!

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