第135話 ベスの再開と……

 洞窟の生活も懐かしい、記憶がなかった時より楽しい、何故なら姉妹が居るからさ。


 ベスはにゃーにゃー五月蝿いし、それに比べて静かで穏やかなもんだ、何時ベスに会いに行こうか考える、洞窟から戻ったんだからまた箱入り生活でもしてるんだろう。


 パチパチ火がはぜる音、姉妹の穏やかな眠り、ポンコツはほぼ薪集めしかしてないが、ぐーすか良く寝るもんだ。


 此処での生活を思い出すと割りと悪くは無かった、でもやっぱり家族っていいよね。


「ミュゥー」にぃにー……


 相変わらず背中で離れない引っ付き虫のみーちゃん、寝そべってる俺の側にぴーちゃん、その側でそーちゃんが寝ている、静かな時間。


 たまにお店の事を思い出すとホロッとするけど、これが俺達の生き方なんだ……


 狩りも訓練のお陰で皆で順調に出来ている、ぴーちゃんはてっきりサボるのかと思ってたけど、お金のストレス発散なのか、熊ばっかり狙って仕留めている。


 あんまり狩りすぎると生態系崩れるからね、とは言ってあるが、ヒヨコのお金の執着は何とかならないもんだろうか?困った子だなー。


 前の世界で集めたお金は此処では使わないし、なんかドリル的な問題集でも作るか?


「きゅい」ねないの?


 囁くそーちゃん、まだ眠くないんだ、朝ははやいんだから寝なさいな。


「きゅる」ぅんー……


 

 翌朝ん?と目が覚めた、何か探知に引っ掛かったのだ、洞窟の外を見てみるが結界で見えなくしてるから、動物にはバレてないはず。


 気配がウロウロしてる……何だろう気になるけど、見たくないと思ってしまう、まさかのまさかじゃないよね?


「ミー?」なんかいるの?


 おぅ、起きちゃったの?ごめんね、気になるよねー排除しましょうか。


「ミ」てつだうの


 有り難うー洞窟と同化した色にしていたが、それを透明にしてみる、と……あー見たくないもんが見えてるわー……


「ンミ?」しってるの?


 ……せやね、何でまた此所に居るのかわかんないけど、アレがベスだよ。


「ミウ?」にそくのねこ?あれ?


 そう、前は長靴しか履いて無かったけど、作戦が上手くいったのか、ちゃんと服を着ている、さながら猫の剣士ですなー……


 キョロキョロしていたベスが此方を見る、かなり驚いた顔をしている、ふらふらと近寄って洞窟に入ろうとするがシャットダウン。


 パントマイムみたいに、何だろう?って顔で結界をペタペタ触ってる。



「ピッ!?」てきっ!?


 ぴーちゃんも起きたのでアレがそうすよーと説明したら、絶望した!と嘆いている。


 想像してた可愛さと違ったんだろう、みーちゃん位可愛い猫なんて宇宙にも居ないからね?


 結界をドンドン叩いてるので、取り敢えず俺だけ外に出よう、説明せねばならぬ。


「ミー?」いっしょする?


 いや、いいよ何か嫌な予感するんだ。



 結界をすり抜けると??な顔で見てくる、いや、結界は知ってるだろ……?


「にゃ!そうだったにゃ!久し振りにゃよ!」


 そうですね?何でまた洞窟に?


「にゃーたまに寄るんにゃよ、狩りのついでに、にゃー、一人でも猪に狩れるにゃ!」


 ま、マジか!出来損ないのベスがっ!


「ひどっ!にゃよ!ポチが居なくなってから猛特訓したにゃ、母上にしごかれたにゃ!」


 パパ上は逃げたんですね?解ります。


「にゃ、そうにゃ、中のは仲間にゃ?」


 そうだよ、仲間で兄妹で家族さ。


「にゃ!?素敵にゃね!」


 ははは!そうだろう、そうだろう、紹介してやってもいいぞ?


「にゃんで上から目線にゃよ?」


 ベスの癖に紹介してやるんだよ感謝しろ。


「酷いのはかわってないにゃ!」


 皆ー出ておいで、猫族の出来損ない長男で将来を有望されてない王子のベス君ですよ。


「どんな紹介にゃよー泣けるにゃっ」



 姉妹とポンコツがソロソロ出てくる、お話はしてたけど実際見るのとは違うから様子見しながら出てくる。



「ピー」ぴぃだし、よろ、できそこない


「きゅる」まえもあったの、できそこない


「あっ!ポンコツです宜しくお願いしますね、出来損ないさん」



「にゃんで?出来損ないってにゃまえじゃないにゃよ!ベスにゃよ!?」


 いや、どっちでも良くない?ベスも本名じゃないだろ……


「にゃ!そうにゃったにゃ!ベサーレス=ベゴーニャ一にゃよ!ベスでもいいにゃ」


「ピー」ながいし、うざい


「本当に妹にゃの?酷いにゃ?」


 俺と良く似てるだろ?


「そうだったにゃ、納得にゃ!」


 ……あら?みーちゃんが居ない……


「きゅる」にぃにのうしろにかくれてるー


 え!びっくり、どうしたんですか、人見知りしないみーちゃんが隠れるなんて……



「ミ」てきなの


 ……何で?昔の仲間だよ?


「ミゥ」むかし、にぃにをひとりじめしたの


 ……あーそーいわれると何とも言えない。


「にゃ!?にゃは独り占めなんてしてないにゃ!助けたのにゃ?恩人にゃ?」


 押し付けがましい……


 俺の後ろからソロソロと顔を出す、猫と猫だから警戒してるのもあるのかな?


「……にゃっ!?…………」



「ミ」みぃ、よろしくしないの、ばか


 おう辛辣ぅ。


「ピー」にゃーにゃーくせがすごい


「きゅい」しょうがないの、しゅみなの


「でも、長靴だけじゃないですね?」


「きゅい」にぃにが、はだかなの、してきして、かんがえたけっかなのー


「ピ?」いままで、はだかだったの?ぷれいなの?へんたいなの?




 何かザワザワしてるけど、ベスがみーちゃんを見て固まってるんだ……何だよ……


 ベスがソロソロ近づいて俺の前に、というか後ろに居るみーちゃんの前で膝を付く。



「にゃの運命のお姫様にゃ!結婚してほしいにゃよ!!みー姫にゃん!」



 おーけー皆、容赦なくていいから。



「ピー?!」へんたいがねぇねに!!


「きゅい!」たいへん!へんたい!!


「あわわ!!どうしたらっ!!」



「ミッ!」ばかなの!!


 四兄妹初めてのシンクロキックが決まりました、お空に飛んでいったけど生死は問わない。



 何か変なの見ちゃったね?洞窟で避難しよう、やだわー野良の二足のナンカかしら?


 しっかり結界をしてシャットダウン。


 

 今度来たらぶっ殺す!




 翌日探知で探ってみるがベスは居ない、良かったー変態だよもうあんなの仲間じゃねーよ!どちくしょうがっ!今度来たらママ上に直訴してやるわいー!


「ピー!」さんせいー


「きゅい」ばかが、かえるまえに、じきそしたら?いいんじゃないの?


「ミゥ」きもちわるかったのー


 おぅヨチヨチそうだよね、怖かったよね、皆でみーちゃんを毛繕いで慰める、ミーミー嬉しそうなので一安心。


 ……そうだな、威力のあるママ上に先に言った方がいいかもしれない……怖い。


「世界に一人は千代さんみたいな人居るんですね……地上は怖いです……」


 いや、もっと居るけど、回りに居すぎぃ!



 ママ上が居るのは此処から一日の所だからすぐ行こうか、俺たちならもっと早く着ける。


「ピーィ」ほんとうにこんなきょりでしゅぎょう?ばかすぎ


 箱入りなんだよ、もう一生箱に入ってればいいのに、って思います。


 合体!して走ります、にぃにがんばるー!


「ミッ」かんばるのっ


「ピー」らくでいい


「きゅい」ぽんこつがおそいよ?


 なにやってんだ!置いてくぞ!さぼりおってからにー!


「そんなー今は人間ですー!」


 能力使えよ!ポンコツが!


「あっそうでしたっ!」



 森のなかを疾走、途中で熊を見つけて何匹かお土産にするために狩り。


 空間庫に入れると解体の魔法が自動で働いてくれる、これにレベルがないのが救いだ。


 クンクン……待てよ?この匂い。


「どうしたんですか?」


 犬族の匂いだ……まだここら辺ウロウロしてんの?懲りないね……


「ピ?」いぬぞくみたい


「ミ?」にぃにのなかま?


「きゅい」ぜんぜんちがう、やばんー


「ミッ」にぃにはかわいいのーっ


 へへ、照れるやい!じゃなくて、見つからない様にしないと、一応結界を張るぞ、匂いは敏感だからな。


「あいさー」


 よし、もうそろそろ見えてくるはず。


 懐かしい光景、蔓や木でできた村?城下町?


 門番が立っている果たして入れるかどうか。



「っ!と……?ポチ殿……ですか?」


 もちこーす、ベス帰ってない?ママ上に緊急報告あるんですけど?


「ベス様は昨日から帰ってないですね?日帰りするのにまた籠ってるのかもしれません?」


 なら都合が良い、知らせて貰えない?


「それはいいですが……お連れは誰で?」


 俺の姉妹だよ、人間はベスみたいな奴。


「うえっ!!酷いです!変態と一緒ですか」


「へ?変態?ベス様ですか?」


 そーなのよー!家の子にちょっかいかけたの!だからぶっ飛ばした反省はしていない。


「え……ちょ、ちょっかいを!?えええ!どどうしよう……王妃様がお怒りに……」


 いやだから怒って貰おうとしてんの。


「あっ……成る程……了解です……」

 

「あ、ポチ殿?馬車が来るまで此方で休憩なさって下さい。」


 もう一人の門番さんに休憩所に案内される。


「ピー?」ひんきゃく、あつかい?


「きゅい」べすがせわになったからー


 したんだけどね。


 そう言えば兄妹居るんだけどめっちゃ可愛いよ?ベスとは大違い、安心してよ?


「ミ?」みぃより?にぃにより?


 んーそう言われると困るな、やっぱ俺らがナンバーワンだし?


「ピー」じしんかじょう


「きゅい」ねぇねがいちばんにぃにはにばん


 そーちゃんが俺を二位にしてくれた!にぃー呼びはしなくなったね?


「きゅい」ねぇねのまねっこー


 ほんとにみーちゃん好きね君たち。


「ミルクお持ちしました、皆さんミルクでいいんでしょうか?」


 おおーミルクぅ飲む飲むー!


 皆でペロペロ、ポンコツはコップ持参でコクコク、ほわーやっぱりここのミルクは美味しいね?何でかなー自然だからかな?


「ンミンミ」おいしいのー


「ピッ」なかなかやるな



「おおー……やはりポチ殿の兄妹、可愛いですね……王子が迷惑掛けたようで……」



 ほんまやで。

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