第137話 ママ上とパパ上に再開

 新しい場所と新しい匂いと新しい環境と突然の変態でソワソワしまくっているみーちゃんが、未だに不安なのかウロウロ、俺の背中で。


 みーちゃん、こそばゆい、歩くより背中に引っ付きません?


「ミッ」そうするのっ


 伏せている俺の背中で包み込むようにべったり張り付く、いつもの張り付きモードオン。


「きゅる」ならそーがねぇねにはりつくー


 とみーちゃんサイズより小さくなってみーちゃんの背中に張り付き。


「ピーッ!」できないとか!ふまんです!


「ミゥ」そーのしっぽにくるまるの


「きゅる?」……やるけどなんで?


「ピッ」なんか、ちがう


「ミィー?」いったいかんのはなしなの?


 いつも通り意思の疎通が迷子になってるので安心、みーちゃんはたまに独特になる。



 暫くして扉をノックする音がする、猫メイドさんが扉を開けると、ママ上が居た!え?


「お、王妃様!?ご案内するまでお待ちに


「いいのよ、あんな堅苦しい所でなくとも、お久しぶりですね?ポチ殿……ではなく、きゅーちゃんでしたっけ?」


 相変わらず神々しい白い猫様だ、王様ほっといて来たの?可哀想……。


「あの、王をお迎えに行ってきますので」


「あら、そう?じゃあお願いね、宰相。」


 メガネも大変だな。



「ミ?」きれいなの?


 そうでしょ、王妃様でベスのママ上だよ?


「ピ」どうしてああなった。


 俺もわかんねーよ……


「ああ、いいのよ、寛いでくださいな、そちらの背中にいる方が姉妹なの?」


 そうなんですぅー可愛いでしょ?


「ふふ、ええ、とても可愛いわ、そしてごめんなさいね?家の子が無礼を働いたと?」


 そうなんだけどパパ上も居ないと面倒。


「そう?あまり頼りにはならないわよ?」


 ですね、変わってたのは服だけだったぜ。


 駆け足が聞こえる、焦っているな、王妃様も大概自由人だよね。


 扉が開いて王様と宰相が入ってくる。


「王妃よ、私の準備位待っておくれ……」


「嫌よあなた支度長いんだもの、女性より長いなんて……何してるの?」


「な、何も!支度だよ、宰相、そうだろ?」


「ええ、まぁそこまで着飾らなくてもいいとは助言しましたけどね?」


「味方が居ない……」


 確かにバッチリ着こなしてる、俺達別に賓客でもないからいいのに。


「むむ、お久しぶりですな!ポチ殿!あまり変わりませんな?」


 そらね、俺、大人だからもう変わんないよ?


「むむ、そうだったか?ふむ。」


「あなた、お座りになって?早くあの子の恥を知らなくてはいけませんわ?」


「む、そうだった!無礼を働いたと?」


 三匹そろったので、説明。


 つまり久し振りに会ったと思ったら俺の可愛い妹に急に求婚したんですよー?だから皆でぶっ飛ばしてやりやした。


「ほ、ほう……で?どちらの妹なのだ?」


 そら猫だからみーちゃんだよ?


「ミィー」みぃなのーよろしくなの


「んまぁ!!可愛いわー!家の子が突然求婚だなんて気持ちは分かるけれど、なんて子かしら!あなたの教育はやはり間違いね?」

 

「む!?し、しかしだな、確かに可愛い子であるこらしてからに……致し方ないのでは?」


「王よ、そういう問題ですか?子猫ですよ?」


「はっ!!そ、そうなのか……」


 歯は生えてるけど見た目子猫だからそれで通したほうがいいな、これ。


「ピ」さんせい


 ベスって本当に変態だよね、大人でも裸だったり、子猫に求婚とか、もう変態越えたよね?


「本当にね?やだわ……あの子そんな趣味があったなんて!私も知らなかったわ、怖かったわよね?女性としてお気持ち良く分かりますわ?何としてでも再教育ですわね?」


「ええ、聞いたときには既に手配しました、前回の教師では治りませんでしたので。」


「宰相は分かってるわね?あなた、だけよ?理解してないのは、情けないわ……」


「んっ!いやいや、私も十分に承知しておるぞ!イカン!イカンな!」


 嘘つけよ!


「ベス様がお帰りになったら缶詰めにしますね、ご安心ください。」


 うむ、なら良し!みーちゃん会いたくないもんね?ベスみたいな変態。


「ンミァ」きもちわるいのぉ


「んまぁ可哀想に……抱っこして宜しいかしら?私達とは似ているようで違うのね?」


 いいですよー?ママ上なら、他は許さん!


「わ、私も駄目なのか?ポチ殿……」


 理解のない奴にやらせはせん!


「うっ……すまぬ……すまぬ……」


 ママ上がみーちゃんを抱っこしてナデナデ、なんて可愛いのかしらーなんて言いながら王様に見せつける辺り、らしいよね。


「ピー」おうさまに、こびってくるー


 テッテッと歩いて王様の元に、媚びるとかここにお目当ての物があるかどうか……


 小さなヒヨコがピヨピヨと営業用の可愛い素振りで王様にアピール、王様、掬い上げてほんわか、手の上で饅頭になってピヨピヨ。


「きゅる」ひっしすぎ……


 止めよう、ぴーちゃんはもう治せない。


「あら?黄色い子はなんて言うのかしら?見たこと無いわね?」


 ヒヨコって言うんだよ、名前はぴーちゃん。


「あら、確かにこの世界の子ではないのね?きゅーちゃんの話は本当なのね、凄いわ!」


 ママ上が大興奮、ロマン好きーですか?


「むむ、種族が違うのか……ほうほう、何故こうも可愛いのが集まるのだね?」


 俺の世界は可愛いの多いよ?


「なんと……そんな世界が……ほう?」


 みーちゃんが成長したら嫁にとか、言い出したらぶっ飛ばすぞ?


「そっそんな事は考えておらん!んん!」


「きゅる」かんがえてた、ようちゅうい


「ピィッ」ねぇねのてきか!


「いだだだだっ!!な、なんじゃ!?」


 ぴーちゃんが王様の手の上で肉球を避けて引っ掻いて暴れる、なんぞわかっておるな。


 ピョーンと飛び降りて俺の頭の上に戻る、王様に媚を売るのを止めて威嚇。


「ピーィ!」かねもちでも、てき!


 ぴーちゃんが頭の上でハッスル、バサバサされるとこそばゆい、そーちゃんが前足で掴んで落ち着かせる、そーちゃんはリスみたいなもんだから二足平気なんだよねー。


 モフリとした尻尾に包んでいい子いい子。


 ふむ、和みますなー。


「ううっ敵に見られている気がするのだ」


「気がするのではなく、そうなんです。」


「私に味方はおらんのか!」


「少なくとも此処にはおりませんわ、ね?みーちゃん、手触りも良いのね?」


「ミゥ」ままなの?でもみぃのままじゃないの


 みーちゃんのママスイッチオン、悲しい顔してウルウルしている……


「あら?あら?私何かしたかしら?」


 ママ上が焦る、おう見物だよそーちゃん。


「きゅる」しゅみがわるいし


 あうあうーあ!みーちゃんミィミィ泣いてママ上の胸元にしがみつく。


 俺じゃママになってあげられないからな。


「きゅーちゃん、どうしましょう?私何かしてしまったのかしらっ?」


 違うのよ、みーちゃんは特別な子だったからママに離されちゃったんだよ。


「……まぁ……そうなの?悲しいのね……」


 胸元に抱きつくみーちゃんを優しくナデナデ、ゆらゆらさせながら、あやす。


 きっと一生忘れないだろう、捨てられたんじゃない、苦肉の策だったとしても。


 静かになった部屋でミァミァ泣いてるみーちゃんを見つめる、早々泣かないのだ、俺の時は盛大に泣いたけど、にぃにとママの違いは大きい、今はママ上に癒されたらいいなー。


 


 扉が開いてそっとメイドさんが宰相に耳打ち、でも聞こえてしまう、ベス帰還!?



 そっと離れる宰相に近づいて一緒に出る、ぴーちゃんとそーちゃんも付いてくる。

 

「もしかして聞こえてしまいました?」


 うむ、会わなければならぬ。


「ピー!」おしおきじゃー!


「きゅる」ねぇねのかたき!


 

 

 死んでない。

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