第116話 人間の居ない世界に
何だっけ?何か忘れてる様な気がする。
何か大事な事だった様な?
「どうしたにゃ?」
ん?何か夢見てた、懐かしい様な?
「おみゃーは良く寝るにゃ?飽きないのにゃ?そろそろ狩りのじかんだにゃ!」
なぁー?そろそろさーそのキャラ付け止めない?必死さがパネーんだけど。
「だ、黙れにゃ!」
全く何だよ二足歩行の猫が長靴履いてにゃーにゃー!ってパクリまくりだろ!?
「なんにゃ!文句あるにゃら拾わなきゃよかったにゃ!生意気にゃ!」
にゃーにゃー五月蝿いのも問題だよ?何かが崩壊しそうだよ!
「もういいにゃ!一人で行くにゃ!」
一人で狩り出来ないでしょ!!拾われたっていうか助けたの俺でしょ!?
「にゃ!!そ、そうだったかにゃ?」
猪に追われてにゃーにゃー叫んでたの誰でしだっけ!
「五月蝿いにゃ!過去は忘れるにゃ!」
はいはい、狩りの時間ですよ?
「にゃー!スルーにゃ!?」
たく、辺鄙な世界に着いたもんだよ……ってか着いたって、何だろう?気が付いたら此処に居てボーッとしてたら長靴履いた二足の猫が喚きながら動物から逃げてたんだよな?
とっさに魔法使って倒したんだけど、スンゴイ偉そうに有り難うとか言うから消そうかなって、考えてたら、慌てて案内するにゃー!とかいい初めて、何だかんだお世話にはなってるけど、結局最終的に世話してるの俺ぇ!
人間の居ない世界とか、凄いよね?正しく弱肉強食の世界丸出し、焼き肉定食とは大違いだわ、って誰かが言ってた様な?
「おみゃーさん、まだ記憶曖昧なのかにゃ?」
そーですね、思い出せそうで思い出せない、小学二年生位の時期?
「また訳わからにゃい事言うにゃ……」
何だよー!しょうがないだろ?何か以前は人間だったってのは覚えてるだけなんだから!
「そのにんげん、とやらも奇妙な生き物にゃ、うちらより奇妙な生態にゃ。」
そうかな、一生懸命キャラ作ってる方が奇妙な生き物だよ?
「それはもういいにゃ!!」
あーご飯発見!熊だよー!
「聞くにゃ!!」
何故俺が魔法を使えて、人間の記憶があって、今は犬なのか全く分かりませんで?
「ポチ!そっちに追い込むにゃ!」
いやマテマテ、追われるのはベスの使命みたいなもんだろ?役割は守ろうぜ?
「そんなのポチが勝手に決めたにゃ!」
だって熊さん、俺よりベスの事見てるよ?
「にゃにゃ!?逃げるのにゃっ」
三メートル級の熊に突進されそうになってるベスの後ろに隠れて、能天サンダー!
バリバリっと脳天にピンポイント!無駄のない倒し方、流石俺。
「さっ流石ベサーレスにゃ!首取ったにゃ!」
死んでから首落とすとか、だからベスなんだよ、何時になったらちゃんと呼べるの?
「勝手に略したのはそっちにゃ、心外にゃ!」
そんなんじゃ何時まで経っても、見習いから抜け出せないぜ、何時になったら胸はって故郷に帰れるんだよ?
「もっもうすぐにゃ……」
百五十年前見習いしてて良く言えるな……
「……たまには強がるにゃ。」
毎日だろ!
「ポチはあーだこーだ五月蝿いにゃ、さっさとご飯にするにゃー」
それも俺がするんだからたまにはお願いしてみろ!駄目猫っ!
「お願いしますにゃ!」
宜しい、作ったる。
「にゃーにゃー!」
ベスを助けて助けられて又助けて、ちょうど半年だろうか?何時になってもベスは動物を仕留められない、逃げてばっかりー?何よ動物愛護でもしてんですか?
「あいつらの何処が可愛いにゃ、ベサーレス様より可愛い者は居ないのにゃ!」
いや、此処にベスより可愛いの居ますよ?
「た、確かに可愛いにゃ、でもベサーレス様には勝てないにゃ!」
自分に様づけとか、どんな気分?
「うにゃー!ポチは意地悪にゃー」
だってー面倒なんだもん!にゃーって!
「誰の代弁にゃ!」
大人の都合?
「……早くご飯にするにゃ……」
ご飯も魔法でぱぱっと作る俺って何かチートってヤツみたい、神様に会ってないのに?神様かーこの世界に神様が居るの?
「んがんぐ……居るのにゃ、モナストイルスキー様にゃんぐ。」
……なんて?
「だから、モナストイルスキー様にゃ!」
長い、三行で!
「神様まで略すのは駄目にゃ!」
モナで良くない?それでいいわ。
「んがぅ!げほっ!短いにゃ!」
んもう!落ち着いて食べなさい、お行儀悪いですよ、お母さん怒るわよ!
「すまんにゃー……」
時たまボーッと考える、俺って何なんだろうか?人間が犬になる、ラノベで言えば転生?しかないよね、転移は人間のままだもの、何で神様に会ってないのかな?テンプレ無視とか?何で会ってもないのに、こんなにチートがあるんだろう?とか。何か忘れてる気がするんだよね、ベスを見てると何か愛着が沸くのは何故?
「ポチは寝てるかボーッとしてるにゃ。」
そーだなー何でだろうな?
「此処で会った時もボーッとしてたにゃ。」
そーだなーなんでだろうな?
「聞いてるのかにゃ!?」
聞いてるよ!パンチすっぞ!
「にゃにゃ!すいませんにゃ!」
とか言うけど、何故だか猫相手には何も出来ないのだ、猫に何かトラウマでもあった?やや、愛着が沸くなら何か違うよなー。
「にゃー、ポチは何時まで此処に居るにゃ?」
あん?どっか行って欲しいってか?
「違うにゃ、居てくれると助かるにゃ?でも何だかポチ見てると何処かの遠い世界でも見てる様な気がするにゃー。」
遠い世界……ってそんなに世界があんの?
「あるにゃ、神様の言い伝えにゃ?うちゅう?とか言う所には無数の世界が存在するって言ってるにゃー。」
へぇ?そうなんだ、でもあんまり興味ないかな?何かベスが居ればそれでいいかなって感じ?どっかのパクリでも猫に愛着があるみたい、俺ってば?
「パクリじゃないにゃ!良くある設定にゃ!」
自分で設定とか言うなよ作ってんのバレバレだよ!ブレブレだよ!
「ブレてないにゃ、そうさせてるのはポチなのにゃ!何時も振り回されるにゃー」
いやいや、ベスさん程じゃないっすよー、そう言えばさっきの話、神様の言い伝え?ベスは神様に会った事あんの?
「ないにゃ、言い伝えだけにゃ。」
チッ!ほんとに居んのかよ性根が悪いですよとかオチがあるんじゃねーの?
「ぶ!無礼にゃ!神様を愚弄するにゃ!」
おいおい、会ってもない神様が本当に居るって?言い伝えってのは大抵作り話よ。
「そ、そうなのにゃ?でも村の皆は信じてるにゃ、ベサーレスも信じてるにゃ。」
いいんじゃない?信仰なんて人それぞれだし、宗教戦争だけは無しでな。
「なんにゃそれ?」
神様がな複数居るって考えてる世界なんかはな、どの神様が一番!とか優秀!とかで戦争すんのよ、くだらねーよな。
「そんにゃ世界があるにゃ?」
そうさ、人間なんてグズばっかよ?妄想拗らせれば何でも正当を主張すんだよ。
「て、ポチの前?の世界がそうなのかにゃ?それは恐ろしい世界にゃなー聞いてる分には面白い事もあるにゃけど。」
ふはは、醜さは時として面白さを産むのさ!
「ポチがたまに分からなくなるにゃー」
やーねーノリが悪いわーノリの良い人が一杯居る世界もあんだよー……あんのか?
「にゃー思い出しそうかにゃー?」
分かんない、けど今はこのままが良い。
「思い出せない記憶に会いたい人は居ないのかにゃ?」
会いたい?会いたいけど会えない……そんな感じがするんだ。
「何だか切にゃいにゃー」
そうなのかな?オセンチは俺には似合わない
「そうだにゃ、それもそうにゃ、そろそろ寝るにゃ?干し草フカフカにしたにゃ!」
おおっ!気がきくぅー!寝ようぜ!
……
…………
………………
(困った迷い子ちゃんね?どうしたものかしら?お父様に聞いてみようかしら?)
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