第86話 勇者の目的

 ポンコツの変人のお陰で列がスッキリー、狭っ苦しいのは嫌だし快適なりぃ。


「先輩酷いです……」


(っ、つい……)


 列が順調に進む、弾かれる冒険者が結構居るなー、身の程知らずめが。


(犬、ドラゴンばっか考えてるけど、他の階のモンスターだってそれなりだし?)


 全部ブッパでよくない?


(マナー!)


 それはリポップが問題だろー犬のせいにするなよ?中級並みにしてみれば?


(上級でそんなこと出来ないっての!)


 んもー融通効かない神様だな。


(スタンピードになったらあんた責任取れんの!?)


 ぴーちゃん、メテオ出来そう?


「ピ!」なせばなる!


 じゃ三匹でメテオな。


(世界がぶっ壊れるぅー!)


 あーもうあれだめこれだめあれしろってかーちゃんかっ!


(産んだ覚えねーし!)


「順番来そうですけど?」


 はいよー暇潰しにはやっぱ神様だよね。


(使われてる……あたしが……)


「ギルドカードの提示を。」


「はーい。きゅーちゃん。」


 やれやれ、四枚のカードを見せる。


「四枚?……ど、動物冒険者!?」


 もういいってそれ。


「はい、みんなで冒険ですー。」


「実績……中級制覇……?偽装は無理だし……本当か?」


「偽装は出来ませんけど?」


「そ、そうだな……動物……記録があるので、一応結構なんだか、動物に無理させないでくれよ?」 ナデナデ、優しいやん?


「きゅーちゃんに任せてますー。」


「は?……あ、どうぞお入りください…」


 


 やっほー!勇者どこー?知らない?知らないかー魅了に掛かってるヤツ居ないかな?ポンコツも分散して、探して治していけよ?


「あいあいさー」


 大分お強そうな冒険者がちらほら、でも魅了には敵わないか……一人の冒険者にキュア。


「……ん?あれ?ダンジョンにいたはずなのに?何でここに居るんだ??」


 記憶がないパターンもあるなりぃ!


 全部は面倒だからなんかこう、強そうなヤツで見て治して行こう。



「んあっ!さっきの可愛いのはっけ……ウグッ!」


 おいおいお呼びじゃないぜ?キック!


 忙しいの、邪魔しないで?今度は容赦しねーぜ!地面に倒れた女の前に二足で立って見下ろす……ような感じで見る。


「うぐっう!可愛いのに、強くてカッコいいー……彼氏になって?」




「ンミッ!」へんたいなの!


「ピー!」かなりやばい!


 みーちゃんが倒れた女の頭を矯正するかの様に連続猫パンチ「めをさますの!」


 ぴーちゃんは嘴で手の甲の親指の一番痛そうな所に嘴でツツツツ!「もうておくれ」


 俺は女の背中に立ってジャンプーからの重力魔法で急速落下!背骨を狙って着地!とうっ!


 ボキッと音がする、背中……やっちまったな、ヒールしても当分動けないだろう変態は置いて、早くキュア祭りしないと!大変!


「ぐがぁ!動けないい!たっ助けて誰か!」


 周りで見てた冒険者は驚いていたが、一連の流れを見てたので総スルー、大変良く出来た冒険者が多いようで、いやいや、あんな変態、お客にも居なかったぜ、油断したわー。





「ちょお!今度は何があった訳!?何があったのよー!」


「ううっ……ナンパに失敗した……」


「……取り敢えずヒールするけどさ、暫く謹慎ね……」


「殺生なー!あんな王子様はそう居ないの!!はぐっ!……か、下半身が痺れる?」


「何か上手く背骨殺られてたから、当分動けないね、そうとう難儀な相手にちょっかいかけたんでしょ!!馬鹿!ダンジョン台無し!」


「お、王子様……」





 ゾワッ!さ、寒気が!副店長より軽いから違う方だな……


「ンミッ」あれもそうなのー


「ピピー」つよそうなやつばっかり、かけてる


 チッ何がしたいんだよ、こいつら魅了して戦争に使うのか?……有りそうぅ!


(それマジやばいー!高ランクばっか狙ってるし、これじゃ勇者召喚出来たとしても負ける)


 結構長いと性格も変わるみたいだったよね、宰相もそんなんだった、何だろな?神様をやたら否定してたな?


(信仰心が薄れるとあたしの力も弱くなるのよ、世界の制御が出来ない訳じゃ無いけど、何かがあっても止められる自信ないわー。)


 何、そういう設定?ポンコツなんか信仰の欠片も持ち合わせてなかったよ?他はちゃんと信仰心があったミタイダケド。


(ミネルバと一緒にしないでくんない?つーかこれ王族の秘密なんだけど!やっぱ魅了にやられてなくても話やがった!糞が!)


 神様が糞とか言うなよ、益々信仰心が薄れるぜ……


(あ、やべって、あんたらしか聞いてない!)


 俺の信仰心、ゼロになりました。


「ンミ」しんこ?なに?にぃにがぜろなら、みぃもぜろなの


「ピー」とっくにない


(ちょ!加護あげてるのにそれはないでしょ!?みーちゃんがぁ!)


 


 キュアっキュアー!魔法少女の気分ー!


(無視すんなっみーちゃん!あたしの事好きだよねっ)


「ミ?」ふつう?


(…………ちょっと休んでくるわ……)


 好かれる要素があったかよ?ポンコツ二号



「きゅーちゃん何だか一杯居ますよ?どうします?かなり人が多いけどダンジョンもいかないとだしー?」


 そうなんだよねーでもお前なら出来るだろ?全力ブッパでキュアー!


「え、で、でも先輩の許可取らないと」


 みーちゃんに振られて寝込んでます。


「……ならいいですよね!」


 いいのいいのー!


「バレても、言い訳出来ないように!キュア!ブッパー!」


 然り気無く悪どくなったな…人間臭ぇ。


 天からキラキラ魔法が降ってきて冒険者に降り注ぐ、おー綺麗な花火だ!……あれ?思い付いたかも?


「ミッミッ」きれいきれいー


「ピ?」そこは、きたない?


 何処でネタ取ってくんの、マニアだよ!




「あれ?外に居る?」「ダンジョンは?」「仲間がいねぇ!何処だっ!」「んー?何か忘れてる様な」「……ボス目前じゃなかったか?」「そんな気もするが……」「何があったのかしら?記憶が曖昧だわ……」



 ボス目前普通に居たよー!大変ー!


「いっ急がないと先輩がドラゴンのリポップ早々に早くないはずですぅ!」


 これだけ盛大にキュアしときゃ魅了をまた掛けようにも単体でしか出来ないハズ、ドラゴンよりやっぱ勇者しとく?ドラゴンは後でもポップするし?


「うーん、それもそうですね?ここまで人数掛けてるとはーやっぱりドラゴン目的じゃなかったんですねー?」


 そうじゃないかとは思ってたけどな、高ランクの魅了は予定外だったぜ、あぶねー。


「んーでも相手が勇者ですよ?結構ドラゴンより厄介かも?」


 だろうな、知識がある分めんどくさい。


 けど、俺良いこと思い付いたんだ、モヤモヤが晴れたぜ!会議するぞ!宿取るぞ!一旦休憩しようー!


「え、いいんですか?」


 はらがへってはなんちゃらー


「そうですね!お腹空きましたー」



 上級ダンジョンだから街も大きめだし宿も多いけど人も多い……何件かは満室だった、五件目で空きがやっと見つかった!


「ちょっと家はペット禁止でね、ごねんよ?」


「ペットじゃないんです、冒険者ですぅ」


 四枚のカードを見せるが、ペットが駄目なんじゃなくて動物が駄目なんだろ?


「あらまぁ……ペットの冒険者……すごいねぇ、でも、ごめんよそういう事じゃないんだよ、済まないね。」


 分かってるってー 足ポンポン


「あらやだ、賢い分かってるの?言葉?」


「ですーお部屋は魔法で綺麗に出来ます……駄目ですか?」


 みーちゃん!!出番です!


「ンミィ!」ひっさつ、うわめぢかい、うるうるこくげき!


 間違ってても可愛いから許す。


「ちょ……なんだい……猫がアザトいよ!」


 ハッ!あざとさにやられるんだろ?ん?


「さ、三匹も可愛いし五件目だって?……無理させるのも可哀想だし、綺麗に出来るならまぁ、いいよ?」


 わーい!女将さんの周りを三匹でぐるぐる


「ハッ!可愛い……卑怯だねあんたも」


「いえ、可愛いのは事実ですよ?」


「あ、まぁそうさね、じゃ鍵これね、ペッ動物さん達あんまり騒がないでおくれよ?」


 三匹でシンクロコクコク


「……天才!!」


「ですぅ!!」

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