第87話 お初、本物テイマー

 やっと見つけた宿屋は家庭的でいい場所だった、今回は上級ダンジョンだし、先に勇者をなんとかしないといけないから長期滞在、お金作ってて良かったよな!!


「ですね!」

 

 いや、五千円の女は黙って?


「うううっ……壊れるのがわるぃ」


「ピー」すくいがないかみよー


「あのあの黙る前に聞かせて下さい……良いこと思い付いたって話……」


 あーそれね、みーちゃんとポンコツには難しいかもしれないが、ちゃんと聞いてね?練習もしよう、これはドラゴンじゃなく勇者退治の大事なお話でもあり、成功するかもちとわかんねぇ、賭けよ、思いつきだからな。


「ンミミ!」みぃかんばる、れんしゅう!


「お、覚える系ですか?……頑張りまふ。」


 まあこれは俺とぴーちゃんでもバックアッブは出来る、協力よ、しかも単純のな。


「ピ?」で、どんなさくせん?


 うむ………………




 という話をするのであった。


(あらすじまだやるんだ……)


 ここ重要!って時にいいよね!


 で、何となく分かった?みーちゃんとポンコツー!ぴーちゃんは分かってるよね?

 

「ピッ」かんたんすぎてふあん


 す、すいません、これ以上の考えは脳ミソパーンしそうです……


「ンミィ」できそうだけど、できるかふあんなの、でもにぃにのぱーんはそしするの


「えと、つまりそう言うことですよね、はい、はい……覚えてられるかなー。」


(覚えろー!みーちゃんの為だぞ!!)


「は、はいぃ!」


 一番不安……


「ピィ」ばっくあっぷで、かばをーがんばる


 そうだな、俺達がしっかりしよう。



 さて、街中歩いて疲れたしお腹空いたし飯にしようぜー、ここは飯付きだ、ポンコツ用の。


 一階に降りると食堂が賑わっている、空いてる席探せよポンコツー。


「あいあいさー!」


 周りの客がぎょっとする、こらからは慣れてくれな、長期だし。


「あら、食事かい?奥だけど空いてるよ」


「ありがとうございますぅ」


「ホントに動物のはいいのかい?」


「はい、自前があるんです。」


「へぇそうなんかい、ついでに注文取るけど何がいいかね?」


「え?えっと……」オススメで解決


「オススメでお願いしますー」


「あいよ、座ってお待ち、動物は机に乗せないでおくれよ?」


「はい!」


 奥に何席か空いてたので、邪魔にならんところの端に座れー。


「あいさー!」


 俺達は固まってご飯の用意、おらポンコツこれ、開けろぃ!


「へい!」


 お皿にいつもの美味しいご飯をくしくし取り出す、みーちゃんがいつもソワソワするけどちゃんと待てる子なのだ、偉い!


(そうそうーそれ見るのも可愛いしー)


「ピー」ぴぃだってまてる


 賢いヒヨコはいいんだよーむしろみーちゃんより先はおこよ?


「ピ」それもわかってる


「お待たせ……って自前がホントにあるんだね、置いとくよ?」


「はい、どうもですぅ」


 三匹のご飯の準備が出来る、いつも順番があるのだ、これも教育。


 暫く待って、俺が食べ始める、とみーちゃんが食べ始めるのを確認してぴーちゃんが食べ始める、ポンコツは底辺だから、俺たちの最後なりぃ、ポンコツも食え。


「ありがとうございます!」


 宿代と飯代稼がないとな、まぁ余裕は有るけど宝石でちと取られたからな。



 そんな光景を女将さんが見て感心してた。


「人間が、最後なのかい?ちゃんとはしてるけど謎だね……」


「へへっ私きゅーちゃんのペットなんで最後なんです」


「へ、へぇー……そうかぃ。」


 はい、ドン引き完成なりー。


(もうミネルバはそれでいいと思うわ。)


 周りの聞いてた客も引いてるがこれでいいのだよ、焼き肉定食ー!!


 暫くご飯を堪能していると……



「ああっ!!あたしの王子様っ!」


「え!?あんたをヤッタ奴?どこ?」



 何か嫌な予感が、するんですけど。


 ガラガラ車椅子に乗って向かって来たのは変態だ……チッ!


「ふぁー王子様がご飯を食べてるの可愛いよ!見てみて!」


「……ごめん、どこ?」


「何で!分かんないの?わんちゃん!」


「……あんたさ、それ動物にやられたの?」


「へへっかっこよくて可愛かった!」


「あんたの性癖疑うわ、何でだよ……」



 こっちの台詞だよ!何でだよ!


 車椅子で突進しそうだったので右手にキック!左利きだったら次は左よ!


「あぐぐっ!!て、手がっ!!」


「わおーすごいねぇ、偉い偉い」


 仲間の女が俺をナデナデ、こいつはまともだから許す、いいか、そいつを俺に近づけるなよ?次は左手だ。


「ってきゅーちゃんが、いってますー」


「分かった、本当にごめん、こんな性癖なかったハズなのに……容赦なくていいわ!」


 たりめーだ!


 手が使えなくなった女の車椅子を引いて去っていく。


「まっ待って!王子様!!」


「黙ってろ!」



「……あれ、出禁にしようか?」


 お、女将さんー!そうしてー!


 足に抱きつく、姉妹も抱きつく。


「あらあら、分かったよ、そうしとくさ」


 スリスリして大好きー!


「可愛いね……あんな人間も居るんだね……」



「ミァ!」こんどはみぃがやるの!ようしゃしないの!


「ピィ」ぴぃも、いちおうさんかする、うざい


 おうー守って変態から守ってー!


「人間って不思議ですー。」


(あれが全てだったら人間なんて消し去るわ)



 出禁も出来たし、外では警戒しよう……


 では部屋に戻って就寝なりぃー!



 

 翌朝は早速ダンジョンへ、上級って何がでるのかなー稼ごう!


「ンミ!」かせぐかせぐ!


「ピッ」おかねあればほしいものがかえる


「きゅーちゃん、服は?」


 ……忘れてないの?今度買うよ。


「へへーありがとう!」


「ピッ」ぺっとのくせになまいき




 ダンジョンの入り口は込み合っている、予想はしてたけど、もっと早く来ればよかったかなー?


 十組程が並んでる、ポップの関係でこれでも長く待つだろう、よくあるのってすぐ入れるけど、異空間的になって無いのがなぁー。


(すいませんね!お待たせしてー!)


 ホントだよみーちゃんが可哀想だし。


(はぁんーごめんね!!あたし世界を変えようかな……みーちゃん仕様に)


「先輩ー!暴走しないで!」


(ああー罪だわ、なんて罪!)


「あうあうあー!」


 落ち着け……


 朝に来たけどこのペース……夕方余裕かもな、取り敢えず毛布出して、ほらまったりしよう集まってー。


 みーちゃんはそこらの冒険者に興味津々でちょっと困る、誘拐されるよマジ。


 まぁ触られそうになるとピョンピョンかわしてシャーっと可愛く威嚇するんだけど。


「ンミ」まったりー


「ピ」まつのがつかれる


 ほんまやな……


「きゅーちゃんズルい!私は?」


 一人でまったりしなさい。


「うー混ぜて!混ぜて!」


「ピッ!」だまってろ!


「ひっ!!ご、ごめんなさいいい!」


 ぴーちゃんにおこされるとは、珍しい、イライラしてんねんな。毛繕いをみーちゃんとしてあげる。


「ピー……」きもちいいー……すやぁ


 よし、みーちゃんも偉いね、ペロペロ毛繕いしてあげる、周りがほっこりしてる。




 二時間ほど経過しただろうか、遠くから気配を感じる、人間じゃないなー何だろう?しばらくその方向を見てると、黄色いまるまるがコロコロ走ってくる、あれ?ヨーンじゃん!


 家のヨーンじゃないけど、何でこんなとこにいるんでしょ?コロコロしてきて俺達の前で止まる、し、知り合いでした?


((わんわんー動物久し振りー))


 やっべー知り合い?どこの?家のなら分かるんだけど、あのチビッ子じゃないしなー?


((ダンジョン行くの?))


 そ、そうだよ、ひ、久し振り?だね?


 知ってる知ってる!って雰囲気出してみる。


((わんわんもダンジョンいくの?))


 そーそー行くのよ、待ちよ、もう長くて大変、あ、君も行くの?ヨーンが?へーそうなんだ、ヨーンも行けるんだ?


((荷物持ちだもんー行くよ?))


 空間庫ね、はいはい、ダンジョンには必要だよね?うん……マジで誰。


「シー君!ちょ何で走るかな!?」


 あ、飼い主?俺見たことないわ、やっぱ知り合いじゃないわー恥ずかしい……


((飼い主?じゃない、相棒ー))


 あっ相棒!?カッコいい……


「はぁーあ?あれ、動物が三匹も居る!見る久し振りだなぁ」


 そうですか?そうですね、ダンジョンですしね?ヨーンが相棒とか上級で勇気あんな?


(鑑定してみろよ)


 何で、でもやってみる……え?


 ヨーンが攻撃魔法持ってる!!すげぇ!


((すげぇ?持ってるよー?色んな子居るよ?))


 そ、そうなの?家のヨーンは皆空間庫しかもってないからビックリしたんだよー。


((それも居るよー?ペット用じゃないの?))


 へぇ、そうなんだ、ヨーンも謎ぃ。


「君もダンジョン行くの?」


 コクコク


「わお、賢い、あのテイマーさんですか?」


「え?わ、私?ですか?」


「そうですよ、だってダンジョンに動物とかテイマー位でしょ?」


 ハッ!鑑定!……この人テイマーだ!初テイマー!すげぇー!


「えっと、あのそうですね、ポンコツテイマーってレアな職業なんですよ、へへ」


「ポンコツ……初めて聞いた……貶められてるけど何で笑えるの……」


 ポンコツだからな。


「えーと、なんでか、付いてた感じです」


「ええ?神様がやったんだよね、酷い」


(ふっ不本意だよ!!勝手に付いたのに!)


「そんな事ないです!勝手に付いたんです!」


「ちょっと意味わかんない……」



「えー?動物君達冒険者になってるんだ?」


「そうなんですー神の意思ですー」


「何だ、あれデマだと思ってたけどな本当に出来るんだね、だったらシー君も登録出来るかな?してみようかな?」


((するするー!相棒と同じー!))


「やっぱり?じゃ、今度登録しようね?」


 ほう、やはりテイマーは動物の声聞こえてるんだ、感動。


「この子達魔法使えるの?収納なの?」


「収納も魔法も物理も行けます!」


「物理も?へぇ初耳……珍しいんだね?」


「頼もしいです、ボスはきゅーちゃんなんですけど、みーちゃんも凄いんですよ?」


「誰が誰だかわかんないけど、子供?」


「えと、犬がきゅーちゃんで、猫がみーちゃんで、ヒヨコがぴーちゃんで、私はきゅーちゃんのペットなんですよ、へへー」


「ちょ待って、何が?犬がボスで人間のあなたがそのペット?」


「そうです、あ、お店では雑用してるんです!副店長が怖くて、物壊すと給金が減るんです、困りますよねー。」


 ほんと困るよ……説明も。


「ポンコツ……あ、そういう、ああ、はいはい!何となく分かったかな?うん!」


 引いてる、お仲間が引いてる。


((ボスなんだ?人間飼ってるの?))



 そうなんですよー全く役立たずで困りますわ、しっかりしてて、いいですね!


((う、うん。))


「あーと、シー君列並ぼうか?じぁあ、はは、また何処かでー。」


((が、頑張ってねー))




 初テイマーとも仲良くやれなかった。

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