第85話 何時になったらダンジョン?

「取り返したお金ですか?……ま、まぁ出来れば返して頂きたいのですが。」

 

 俺の国はな!拾ったら一割もらえるの!


(マジか!一割は欲しいって)


「あ、成る程、それならば構いません、報酬と考えれば少ない様な気もしますが」


 なんだよーじゃ九割で。


(言わない!じゃあって控えもしないのか!)


 国の未来考えれば妥当妥当ー。


(そ、そーなのかな?でもな……)


「先輩ー揺れすぎですよ?大丈夫ですか?」


(あーーー!もう早く行けよ!!)


 どうせストーカーするくせに……


(するよ!みーちゃんが居るもん!)


「ゆっ揺れてない!!どっちですかね!?」



「何の話なんですかね?」



 


 姉妹が起きたので合体して王城を歩く、かーわいい!とか聞こえる、せや、俺達は最強に可愛いを目指す!


「そうでしたっけ?飼い犬生活じゃ?」


 はは!飼い犬が最強に可愛いとかどうよー!自慢しまくり?


「ですねっー!!」




「何時もあんな感じなんですか?独り言」


(ま、まーねーほら頭が……)


「ペットのペット……成る程、深い…」



「転送陣は召喚の間にあるんです、どこの国も同じ条件なんですよ。」


 ほうほう?どーでもいいです。


(うおいー!子供の話を聞け!)


 王様を子供扱いすんなよ、可哀想。


(え!子供扱い嫌だって!?)


「え?突然なんですか……まぁ王になったのですからそれなりに、とは思ってます。」


(おう、そっそうなんだーへー)


 誤魔化したよ、嘘つき神様だよ。


「刺激しないでくださいよ?今度は上級ですよ?私不安ですぅ」


 安心しろお前の存在が一番不安だ。


「なっなんで!きゅーちゃん酷いっ」


 しっかり練習したんだろうな?あ?


「しました!悪いと聞けば速攻で毒や麻痺、状態異常は何でも全部ブッパです!」


 やりすぎなりぃ




「物騒な話してるんですけど、本当に大丈夫なんですか?」


(あたしが、監視してるからいいの)


 黙れストーカー!


(あんだとっ!!)


「あの、神様、そろそろ部屋に付くので」


(あ、はい。)




 城の奥の奥って感じの場所に薄暗い扉、やだー怖いんですけど?みーちゃん背中でぎゅっとしてて?にぃに不安だよ。


「ンミィ!」するの!まもるの!


(見せつけてんじゃねーよっ)


 ははは勝ち組はこれよ!


「いつも喧嘩してるんですね……」


(そっそんなことないよー?)


 はよ準備しろよー少年王ーサマ。


(全然敬ってないよね!?)


 だって国民じゃないし犬だし?


(ふんぐぉー!!悔しい悔しい!)


「おっ落ち着いてください!何時ものパターンですよ!思う壺なんです!」


(うっさい!みーちゃんに触れるお前に言われるのも腹立つっ!!)


「とばっちりー!!」



「じゃ、じゃあ準備するので、待つとか喧嘩とかしてて下さい……。」


(薄れてる!あたしへの祈りが薄れてる!)


「そんな事ないですよ、はは……」


 


 いい?これが自業自得っていうヤツだよ?


「ンミァ」べんきょうになるの


「ピ」しってた




 頭と背中に姉妹が居るので寝そべって待つ、そそそっと暗闇からフードの人間が出てきた時尻尾がブワッてなったけど、平気なフリしてみた、何ここ、召喚ってこんなホラーな所でやだてんの?やだわー。


「ピィ」ぶわってしてたおにぃ


 違うから、敢えて演出してみたんだよ。


「ピィー」かくすのはよくないってにんげんいってた


 副店長には全てを教える訳にはいかんのだよ、そんなのぴーちゃんなら分かるでしょ?


「ピピ!」あれはきけんなにんげん!


 あれ、今なんか尻尾がブワッとした?気のせい?寒気がするよ?


「ピィー…」ぴぃもぞわぞわしたし


 離れていても通じ会う相手がアレってヤダ


「な、何か寒気がするんですけど風邪ですかね?副店長の声が聞こえる様な……」


 やっやめて!!「ピッ!?」のろい!?




(おい、馬鹿な事してないで準備出来そうだよ、そろそろ真ん中行ってこいー)


 ばっ!副店長なめんなよ!!


(おまっ!何考えてると思ったら!やめろ!)


 やめるよ!強制終了だよ!!



「皆さん準備が整いました、真ん中へどうぞ、恐らく一瞬の出来事なので怖くないですよ?だから……あの顔色悪いんですけど?」


「なっ、なんでもないですよ!?怖いのは人間ですから!」


「は、はぁ?……ど、どうぞ。」


 忘れろー忘れロー!はい!忘れました!


「はあーふうーはあー、はい!」


「………………あ、はい」



 魔方陣の中央に立つ一人と三匹、転移は慣れてるけど、こういう雰囲気では勘弁ー!


「では転移の準備を始めます、動かないでください。」


 普通の転移ってこんな大がかりなんだな。


(そらそうよ、只の人間には限界があるし。)


 ほうほう、ほう?何か思いつきそうだった、何だろう?……


 何て考えてるとフードの人間が呪文を唱える、何言ってるか分からん、何故?


(王家の秘密の儀式だから、特別な言語があんのよ、ミネルバは分かるけど、犬に教えるなよ?って今は、黙ってろ?)


 チッはーいはい。


 大きな魔方陣が輝く、ブワっと光の渦に囲まれた、綺麗やなー。


「ンミ」きらきらなの


 フッと輝きが消えたら一瞬真っ暗になる。……?違う匂いだ、薄暗いけど王城じゃない、ほうほう、これが人の転移ですか。


 所でここ何処?


(アドロフって街、上級ダンジョンの街だよ、ここは秘密の空間、光が見えるでしょ?あそこに行けば外に出れる訳。)


 おうファンタジー!


 トテトテ光に向かって歩く、まぶちぃ!けど薄目で我慢よーっと光から出ると森の中でした、何で?


(転移陣なんて王族の避難で使うもんだからね、出る場所が街中じゃまずいでしょ。)


 成る程ー!一般人には使わせないのを使わせてくれた訳ね、感謝するぜ少年王!


 探知してるとモンスター反応、いいのか……まぁしゃーねーのか。


 森の中でギャースなゴブさんを倒していくと十分程で街道に出る、どっちが街かなー?


「ンミッ!」あっちなの!


 ごめんね、背中であっち、だけじゃにぃに分かんない……


「ピィ」みぎー


「ンミ」ぴぃかしこいの


「ピ!」そうだよ!


 ちょ!頭の上でバサバサしないでよ!嬉しいのは分かったから!


 街道を歩いていると、段々人が増え始めた、装備や鑑定で見る限り冒険者だな、しかもレベル高いーポンコツは平均で五十にしてあるけど、八十八とか九十なんてのも居る、これがマジもんの高ランク冒険者かー!


 俺達みたいな詐欺は居ないのかなー?看破の魔法も使ってみるけどそういうのは居ない、ロ、ロマンが詰まってるやんけ!


(なに言ってんの……チートのがロマンなんじゃないの?あんたの星じゃ?)


 うむ、それもある、んが!所詮犬なんで、普通の人間の高ランクとか!滾るなっ?


(わ、わっかんない……矛盾してんじゃん!)


 神様にはワカンネーヨ


(むっきー!!)



「あー超可愛いの発見!何あれ!よく分かんないけど可愛い!」


 はい?なんですか?可愛くてさーせん?


 街道の俺達の後ろから猛ダッシュしてくる女が来たー!あれ絶対突っ込んで来るヤツ!


 三メートルほど迄近づいた所でキックでもかまそうかと思ったら黄色い弾丸が飛んでいった!あ、あれ!?黄色い!白くない!


「ンミ?」ぴぃのたーん?


 ぴーちゃん!?怪我するよぅ!?


 と思ったら女の鳩尾にヒットして女がぶっ飛んだ……ぶっ飛んだ……


(二回繰り返すのは重要!!何がだ?)


 ぴぴぴぴーちゃんが初めて攻撃らしい攻撃したよっー!!感動じゃん!?


(ぶっ飛んだ女はいいんだ……)


 アタックに成功したがいかんせん小さいのでポヨーンと地面に落ちたっ!ぴーちゃん!


 近づくと何か平気な顔してる、え?どうしたのまじで……平気なんですか?


「ピー!」へいき!こうげきは、さいだいのぼうぎょ!とにんげんがいっていた


 あ、副店長にそこまで仕込まれてたの?


「ピィ!」ぴぃだってやればできるこ!


 本当だなっ!にぃに泣きそうだよ!あんなにやる気無かったのに……成長したよ!


「ピ」おおげさ


 にぃにってより、ぴーちゃんの親的な感じするのーだから嬉しいのだよ!娘よ!


「ピッ!」いもうと!だんこいもうと!


 あ……はぃー



「ちょっ!いきなり走ったと思ったら何で倒れてんの!!しっかりして!」


 おや?仲間ですか?やりますか?


(何でもそんな発想になるのなんでっ!?)


 ノリで?


 女でペアの冒険者かー珍しいね?あんなのと二人で大丈夫ですか?


「ミィー?」へんたいのよかん?


 本当ですよ、あーいうのに録なヤツは居ない、出来れば避けよう、さあ急ごう!


「いいんですか?せめてヒールとか?」


 ばっか!俺たちが狙いなんだよ!


「大変!変態ですね!急いで離れましょう!」


 と、思ったら門に人の列……繁盛してますな……


(そらねー上級なんて宝の山みたいなもんよ?だからさー全滅だけは止めてね?マジ)


 ある程度残すのがマナー?なんだろ?まどろっこしいな誰だよ!こんなの管理してんの!


(わかってて文句言うのムカつくんですけど!)


「でも流れは早いですよー?止められてるのは何でしょう?」


(中級の経験がそれなりに無いと入れないの、絶対死ぬじゃん、馬鹿みたいに突っ込んで、金の亡者だよねー本当馬鹿なの。)


 うむ、業が深いとそうなるのさ。


「私達はそこ、クリアしたから大丈夫ですよね?先輩?」


(だと思うよ、そんだけ潰して崩壊させたんだからっさ!!)


 もーネチネチ五月蝿いね、これだから女は。


(性別関係ないね!誰だって怒るわっ)


 あーいすいませーん。


(ふっ…ふっ…ふぅー付き合うな無視しろ!)


「そうです、先輩!頑張って!」


(止めないお前もおかしいんだよっ!!)


「あうあうーだってー……」


 すんごい遠巻きの列になってるよ?俺に言ってたことやってますよ?ぱいせん?


(げぇっ!!しまった……)

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