第41話 鶏の恐怖
副店長のお陰で事件は解決、冒険者ギルドには王様直々にペナルティーを与えるらしい、なんてったって二度目の盗難事件だ、放っておいたらまた同じ事をしかねない。
冒険者の監視や職務怠慢の改善要求、職員は給金の減量半年、盗みを働いた冒険者は禁固五年、この街には勇者症候群がかなり居る、それを冒険者ギルドが、辺境ならいざ知らず放置をしていたのだ、王都のお膝元、示しがつかないのだろう。
「当然の結果ですね、生ぬるいと思いますが、これで改善が見られなければ私は王に直談判しに参ります。」
少年王がトラウマになるだろう、やめたれや!幼い頃のトラウマは中々治らんぞ!
「ワンコさんは何か文句でもおありの様子」
え?別に?妥当妥当!!
「きゅーちゃん!いくらなんでもアレは酷いよ!女の顔を平気で蹴るなんてっ!教育が必要だと思いますっ!!」
「そうですね、コントロールも下手な人が動物に怪我をさせる前提で使ったんですから、教育しましょう。」
「えっ!私っ!?皆を守ろうと……
「既にワンコさんが終わらせた後ですよね?さあ教育のお時間です。」
「待って!それは申し訳なかっぐぇっ!」
副店長がマドロンさんの襟首掴んで奥の扉に引き摺って行った、馬鹿な奴よ。
冒険者が早々に矯正されるとは思っていないので、寝るときは一応結界を常に張っておくことにした、馬鹿魔力量が多くて良かった。
(でっですよね!間違ってなかったとおもってました!)
いや、間違いは間違いだから足し算から勉強してこい馬鹿。
(やった!一人じゃない!こいやー!ポンコツ!一緒に勉強じゃ!)
(いやー!助けてみーちゃん!!)
「ミ?」ばかははやくなおすの?
(…………ぁっはぃ。)
「ピィーピ」ぴぃよりばかは、かみさまとしておわってる
そうだよねーぴーちゃんのがまだ計算出来るわ、そろそろかけ算やってみる?
「ピ!」やる、べんきょうすき!
おおっ変な言葉以外はマトモなええ子、何でそんな性格になったの……どこからにぃに間違ったの……
「ピイー」うまれつきはしかたがない
自覚ありー!!
さて、夜の開放時間だが少しギスギスしている、この開放時間にやってくる冒険者も居るからだ、以前から世間の冒険者に対する視線は良いとは言えなかったが益々悪化したな。
「きゅーちゃん……本当にごめんね、私同じ冒険者として恥ずかしいよ。」
抱っこしてる腕をポンポン、分かってだ、人間だろうが動物だろうが善悪は必ずあるんだ、生き物ってのはそういうもんなんだよ、一人が悩んだ所で世界は変えられない。
「何かきゅーちゃんって人間ぽいよね?そう言所も好きなんだ、ふふ。」
へっ中身人間だわ、すりすりして誤魔化しちゃうぞ!テヘペロ!
「うー癒される、冬毛もいいよね、夏も可愛いけどね?」
雪がチラホラ降ってるのに夏毛は嫌だ、可愛さと毛艶の喧嘩よー!
「ミー?」みぃは?のびる?
え?どどうなんだろう……?地球産でもないからどう成長するのかにぃに分からないわ、ぴーちゃんは明らかに鶏なんだけどね…
「ピ!!ピイー!」ぴぃはなんでせいちょうしちゃだめなの!?ひどいおにぃ!
いやいや、ぴーちゃん知らないでしょ?自分が成長した姿。
白い毛に赤いトサカで朝になると必ずコケコッコー!って鳴くんだよ?ある意味時計みたいなもんだけど、人間が横で寝てても構わず鳴くんだよ?本能って怖いね!!ご近所からうるせーって苦情来ても言い訳出来ないの!もう止められないの!!誰にも止められないの!にぃにだって止める自信ないの!!
「ピ……ピィ?」か、かわいい?すがた?
厳つい……かな……
「ピッ!!」ガーン!!ぴぃもっとよくかんがえる……
頼む……エゴだが!ヒヨコで頼む!
(あのさ、ぴーちゃんが鶏?になりたいなら、してあげれば?結界とかあるじゃん?)
……俺は、俺は、にぃに失格なんだ。
(どうした!急に!)
だって俺はエゴなんだぴーちゃんを鶏にしたくないなんて!言い訳ばっかして!だって!俺は……俺は!鶏が嫌いなんだっ!!
(うええっ!?なにそれ!!)
だってよ!わかんねーんだ!何であんな可愛いヒヨコからあんな胸張ってドヤ顔した厳つい顔になるのか意味がわからねぇ!神秘?通り過ぎてるだろ!怖いんだよっ!
(え、何、その鶏っていうのはそんなに厳つい怖い顔なの?)
そうなんだ!可愛いなんていう奴が居るが頭可笑しいんじゃねーかってレベルだよ!何であんなに睨んでるの?何でドヤ顔してんの!
(あっ!……)
「ピ……ピィ」おにぃ……ぴぃ……
ぴーちゃん!ごめん!!俺の我が儘で永遠にヒヨコなんて!いいんだ、存分に俺を詰ってくれ!権利がある!!
「ピー!ピピィ」そんな、いかつい、こわい、どやがおした、いきものになるなんて……ぴぃやっー!おぞましい!
……あ、はい。
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