第40話 ドS副店長
「……これは、どういった状況なんでしょうね?とても不思議です。」
「副店長ー落ち着きすぎですよ!」
「でも安全でしょう?強盗のような者は奇妙な蔓で囚われていますし、店長は結界が張ってある様ですからね?」
「えっ!結界……って事は?」
「おそらくワンコさんの仕業でしょうね」
「てか店長の顔が腫れ上がってるのは強盗と壮絶な戦い故にですか!」
「どうでしょう?店長の魔法はコントロールが壊滅的に下手なので、ワンコさんがやったのでは?強盗と店長の顔。」
「いやいや!何できゅーちゃんが店長の顔こんなにする必要がっ!?」
「まぁ聞いてみましょう、何があったのか、店長を起こします。」
「あ、はい。」
パンパーンパンパン!と何か音がする、ってもう朝か、はぁー昨日は肝冷やしたわ。
皆も奇妙な音で起きたので外の様子見てみようか、店員さんの匂いするから来てるはず、結界を解いてドアを器用に開ける、ふんっ古典的なドアなんぞ通用せんわ!
(あのー見ない方がいいかもしれない…)
何でだよ?強盗が逃げた?
(強盗も逃げたい気分でしょうね…)
チッ曖昧な表現は止めろ!
キィッとドアを開けると、夜と同じ蔓で絡まった強盗がいるが、震えてる、結界しなかったからさぞ寒かっただろう、まぁ自業自得だ。
その奥で結界を張ったはずなんだが……マドロンさんに馬乗りになって腫れ上がった顔を叩いている副店長の姿。
……ちょっと皆、小屋に戻ろうか?寒いし怖いし巻き込まれたくないし。
賛成を満場一致で頂き小屋へゆーたーん!俺は何も見なかった。
「おふぉ、なふでこふなきたたかれてりゅのかなぞなんでふけど……」
あの、何でこんなに叩かれてるのか謎なんですけど……(略
「ああ、起きました?おはよう御座います、何でかと言われればこの状況を説明して欲しいんです。」
「とっふにおふぃてたふぉ?ふっとたたいふぇたふぉひほい……」
とっくに起きてたよ?ずっと叩いてた酷いよ……(略
「何言ってるのか分かりにくいですね?貴女ヒール使えましたよね?お願いします。」
「い、いえっさー!!」
全部聞こえてるよ、何だよあのドS副店長……あんな人だったの?やだー。
(だから見ないでって、姉妹が見てしまいましたよ?震えてますよ?)
ハッ!ほんまや!よしよし、怖いね?あの人怒らせたら逝ける気がするよ、喧嘩売らない様にしようね?
「ンミィ……」こあいよー……
「ピー」やるならぜんりょく
ぴーちゃんがバイオレンスの世界に足を踏み出そうとしている!ブサの影響恐るべし!
(あの変態はそこまで吹き込んでないし、多分ぴーちゃんの性格ですよ?)
……教育頑張ろう。
「で、きゅーちゃんが吠えまくってて、何かあったと思って庭に走ったら強盗が居て、多分きゅーちゃんがあの蔓を出して捕獲したんだと思うんです、はい。」
「そうですか、では何故店長の顔が腫れ上がってるのですか?見つけた時には捕まって居たんですよね?」
「……あのー……」
「はい?聞こえません、何ですか?」
「……強盗が……私の事……不細工って、だ、だから何かキレちゃって……ま、魔法を出して……」
「店長の、下手な、魔法で、コントロールが、出来たんですか?」
「……出来ませんでした、で……きゅーちゃんにキックされて……気絶してました。」
「宜しいです、すみませんが貴女、警備を呼んでください。」
「あいっ!まむ!!」
「では、私は皆さんの様子を見てきます、店長はここで正座してお待ち下さい。」
「あい……まむぅ……」
やべーのが!!こっち来る!皆っ固まって防御よっ!!
ふるふる震える俺達……ドアがキィ、と開く!うあーん!!怖いよう!
扉から覗く副店長、俺達が震えて団子になってるのを見て、頷く。
「全員揃ってますか?固まってると全くわかりません。」
皆!整列よ!!
「ひぃふぅみぃー……と兄妹三匹、皆居ますね、これから警備が来ます、大人しくしていてくださいね?」
皆の心が一つに!いえっさー!!
「これは……凄い魔法ですね?誰がこれを?」
「きゅーち
「店長です。」
「!!」
「中々の実力者の様で、お見事です!」
「……は、はい!恐縮ですぅ!」
「震えてますけど?やはり寒いですね、中に入りましょう?」
「はぃー……」
俺達も小屋の中で震えてるよ……
事情聴取で分かったのは、あの強盗はやはり冒険者らしい、底辺の冒険者は金目的でやらかすそうだ、頼まれたのが誰なのか口を割らない、もしかしたら相当上の貴族なのかもしれないな?
すっと静かに立ち上がる副店長……震えるマドロンさんと店員達……何故か警備も震える。
「すみませんが、このグズ達とお話したいので、皆さん出ていって貰えます?家の子がこうも狙われると私も少し苛ついてしまって、宜しいですか?警備さん?」
「い、う、あのお手柔らかに……」
出ていく皆と残される冒険者と副店長、冒険者三人は震えている、目の前で容赦なく店長を叩いていた女だ、何をされるのか……
と、言う実況中継でお届けしてます、はよ続きポンコツ馬鹿ー!
(見たくないんですけどー!)
お前の私情なんてどうでもいい、副店長の本性が知りたいのだよ!今後に関わるでしょうが!!魔法は鑑定した限り、鑑定しかないはず、だが問題は性格よ!ドSよ!
(どえすって何ですかね……見ますよー)
残された冒険者達と副店長、目の前の椅子に静かに座る副店長、冒険者はビクッとする。
「あらあら、私何もしてませんよ?何を怯えてらっしゃるのかしら?わかりませんわ。」
顔を上げて目で見下す、その視線はグズをみる蔑んだ目をしている。
「困ったことに以前も有りましてね、冒険者によるうちの子の盗みを、ね?」
知らなかったのか驚いている、だが何も言えない言わせない空気!
「二度目です、お分かりですか?一度ならまだ猶予は有りました、ギルド法ですから?……ですが残念ながら二度目はないのですよ。」
ガクガク震える冒険者、俺達は死ぬのかもしれない、そんな空気だ……
「残念ですね?雇い主は罪を免れ悠々自適な生活をこれからも送るのです、ですが貴殿方はどうでしょう?罪の上に罪を被らされて死んでいく……宜しいですのですよ?そこまでお守りしたい方なんでしょう?きっと報酬も弾んだはず、ですが死んでいく貴殿方にはただの紙切れですわね?残念です、本当に、全く報われない人生ですね?」
俺達が死ねばアイツは報酬も支払わずに済む上に罪も被らないで豪勢な生活を送る……何でだ?俺達は死んでいくのに!
冒険者は怒りに震える、それは目の前の恐ろしい女にではない、自業自得だが、自分達の人生を台無しにした上に平気で切り捨てるヤツにだ。
「…教える、だが俺達は…死ぬのか?」
「情状酌量の余地はあるかもしれませんね、まぁ冒険者には戻れませんが?」
金は手に入らない、だが死ぬことはない、冒険者は剥奪されるが他で働けばいい、それにアイツがこれからも悠々自適な生活を送るのが我慢ならない!
「分かった、教える、俺たちを雇った奴はは……
(と、いう結果ですー怖いですよ!)
おーあの女……刑事に向いてんじゃねーの?自白を促すテクは中々のものだ、だから怖いですー!!
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