第26話 女勇者暴走

 勇者ブサはいつも通りお店に来てナンパしてるが、最早お客としても見られなくなっていた、そしてアレルギーを消して貰ったかっぽー勇者も来店するようになった、戦え。


 夜の開放時間にかっぽーの女の方、確か緑さんとか呼ばれていたな?この世のパラダイスを見たかの様な表情をしてた。


 男の方はなるべく見ないようにだろうか?お店の方でブラブラする様だが、頑なに此方を見ようとしないのは彼女の為かイケメンめ。


 彼女がまず突っ込んで行ったのはヨーンの群れだ、とは言っても大将込みで十匹だが、最近は犬も増やそうかなんて話をしている、俺の人気落ちの危機ー!


 まるまるもふもふ、のヨーンはやはり魅力が有るのだろう、ワサワサしながら頬擦りをしている、その顔は男には見せてはいけない顔だ、だがブサがそんな彼女を見ている!サササッと近づいて、ヨーンって可愛いよね?とか話しかけてる、お前は本当に節操ないな……


 当然だがブサなんぞ眼中にない彼女は此方に来た、俺はみーちゃんとぴーちゃんを差し出す、二匹がえ?って顔してるが可愛いよ?


 差し出された二匹を持ち上げクンカクンカ頬擦り、まとめてお腹に顔を突っ込んでクンカ祭り、妹達が助けてって視線を寄越すけど、俺は他のお客さんで忙しいのだよ、我慢したまえ!


 愛玩動物というのは悟りも必要なのだよ?体で覚えるのだ!俺の様に……


 全ての生き物に無視されたブサが泣いて帰るんだが、どうしたいの、他で探せよ?


(他でもなんぱ?してますよ?玉砕してますけど、ハーレムとは苦難の道なんですね!)


 普通は自然に出来るものが多いんだけどね、あれは地球でも通用しないだろう、だからこそ異世界に救いを求めてコレとは。


 男は中身!とか言うけど結局顔を見てから性格考えるんだよな、性格が合格して初めて顔を見てから改めて考える、それが女よ。


(大分きゅーちゃんの私情入ってませんか?)


 だーってろ!そういう生き物なんだと悟るのが大事なんだよっ!結局顔じゃん、なんて言うけどな?顔の次のステップが大事なんだ、そこを疎かにするとモテない男に成り下がるの!


(な、なるほど、奥が深いですね……)


 みーちゃんとぴーちゃんに満足して俺を見るが俺はもうやったでしょ?逃げるんだぜ!みーとぴーコンビと勇者女が追いかけてくるっ!捕まってたまるかいっ!道すがらのヨーンを咥えて投げては逃げ回る、とヒョイと誰かに捕まった!なっなんだと!俺の感知をすり抜けるとはお前はっ!男勇者じゃないですかー。


 ハッとした女が急ブレーキ、みーとぴーが止まれず木の繁みに突っ込む。


「ま、まぁ落ち着こうよ?普通にすれば逃げないと思うけどね……」


「そっそうね?普通にしてると思うのよ?」


 どうみても変態ぽいよ?


 俺はジタバタして逃げようとするが流石勇者!逃げられないっ!やめてー!


 繁みから抜け出したみーとぴーが止めてくれない、裏切ったな!


 女勇者に渡される、が目の前に男が居てクンカ出来ない様子、な、なんてイケメン!女は諦めてスリスリに留めてるが然り気無くクンカしてるの分かってんだそ!


 女は男に俺を渡す。


「圭吾さんも触れるようになったでしょう?楽しんで欲しいの。」


「そうだね、犬は初めて触ったよ、本当にぬいぐるみみたいだね?」


 男は普通にナデナデしてくれる、これが普通……それを見て姉妹があたちたちもー!って言って足に登って来ようとする。


「っ!圭吾さん、おモテでいいわね…」


「え……そうかなぁ?気のせいだと思うよ?ヨーンも可愛いじゃないか、ほら?」


 女の恨めしい視線でたじろいでいるっ!


「開放時間終わりますー、有り難うございましたー。」


 俺と男のホッとしたため息が落ちた。



 それから女は何かを振りきったのか、開放時間にやって来ては俺達を追いかけ回す、最早男の視線なんてどうでもいいようだ。


 イケメン助けてー!

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