第15話 危険な能力

 その後の変態勇者の状況を聞いてみた、状態異常で何とかなるかなって思ったんだけど、無事、不能になったし?スキルのせいなのか常に毒状態らしい、動いたらHPバー真っ赤とか、ぷぎゃーですわ!冒険終了ー。


(いやいや、それはちょ困るんだよ、だから毒だけは治した)


 ……お前、貸し倍にしたいの?


(やややっ!だって戦争のために呼び出したんだよ?使えないとか勘弁してほしいの、呼べるのも制限あんの!)


 みーちゃんに興奮した野郎に?何してんの?


(え?なんて?今なんてー?……制限か、まだ余裕あるか、よし。)


(いやいや、落ち着いてください!いいじゃないですか!ハーレム希望がふ、不能になったんですよ!?十分だと思いますっ)


 何カマトトぶってんだ?あん?みーちゃんを狙う奴はな死刑でも足りんっ!


(そーよ!変態にも程があるでしょ!あいつは死刑ー!賛成ー!!)


(でも先輩、今年は残り三つって言ってましたよね?まだ変態以外も呼ぶんですよね?)


(……ぁ)


 今年って何?繰り上げできんの?年末精算忙しいの?年末は勇者祭ですか!


(んなもんあるかぁっ!)


 政治家みたいな事してんなよ?


(どういう意味!?……あーもうっ!コレって決められないランダムが悔しいっ!)


 お父様とかにランダムはイヤーとか言ってみれば?父親は大抵娘に弱いぜ。


(それ人間基準だから……選べたらあんたの故郷滅茶苦茶になるよ?悪いのだけ残りそう)


 言えてるわ、もう戻れる所でもないから滅んでもいいかな?


(ド、ドライ杉ー!荒んでるヤバイ……)


 普通ですよ、やだなー、もう一回勇者に会いたいなー?


(や、無理だから、死刑はなしっ!!)


 みーちゃんが可哀想だろ、変態にそんな目で見られてよぉ!心の傷ってもんは複雑よぅ!


(……っ!泣ける!やっぱペナの十個はあってもいい、生きてりゃいいんだよっ)


(せっせんぱーい!!!)


 ハッ!チョロい、妹で反応しただけよ、性癖は理解しないとな、流石に猫に反応はしないだろう、しないよね?


 つかまだ勇者呼ぶの?変態のパレードとか止めてよねっ!あっ、戦争始まるのかー、取り敢えず命の危険が身に迫るまでは、傍観しよう、ヨーン位は助けても良いかもしれないし。


 こう人間を助けるとかの意志が弱くなってるのを段々感じる、動物は動物、人間は人間。動物戦争が有れば俺頑張っちゃうけど!


 今日も今日でヨーンと遊んでるみーちゃんを眺めている、ジジイの様だが、孫を見ているような気分にもなる、みーちゃんが子猫のままなのが原因だと思うけど、大将がのそりと、俺の横にコロンと座る……寝転がる?寝てる?どこで座っても丸いからわっかんねー。


 最初はびくびくしていたが、何もしなければ何も無い、という事に気づいた様子、中々頭使って考えたな、やっぱ、動物にも脳トレ必要だと思うんだよね?賢い動物、ええやんー?


 


 ペット専門店に変態勇者が来たんだけど、どういう事?狙いが店長なのか店員なのかブレブレで分からん……お、店長派ですかーほおー?俺勇者なんですアピがパネェ、あいつの持ち味は唯一勇者だけだもんな!


 うーん、マドロンさんが困惑している、助けるべきか、勇者を哀れむべきか、どうする?ヨーンどもー飼い主が困ってンぞ?


 一斉にコロコロ転がってきた、そのまま店に突入ー!マドロンさんを助けるのか?大将、お前は跳ねてぶっ飛ばせ、遠慮はしなくていい、あいつはな、みーちゃんを見て興奮する変態なんだ、容赦すんなよ?


 みーちゃんが狙われると知るや、ヨーンの群れが一斉にピョンピョン跳ねて勇者に体当たり、痛くありませんって顔がうぜぇな?


(あっ、やっぱり抜け出してるし!きゅーちゃんごめんなさいー、目を離すなって言われてたんだけど、何か魔法使われたみたいー!)


 なんかってポンコツは鑑定も使えないのか?あいつが何の魔法持ちか調べろよ……


(……ぁっ!か、鑑定!)


 そう言えばハーレムは却下されて代わりに何を貰ったんだ?俺も鑑定ー!


名前 変態勇者

種族 人間

性別 男

能力 透過能力


 ……何かあげたら駄目なのが付いてるじゃん?何してンの?


(んー?透過能力……ってなんですかね?)


 知らんの!?科学なの!?


(うぇ?か、か?何ですか?ソレ)


 簡単に言えば、透明になれる能力だよ、変態に与えたら駄目なヤツだろ?女の風呂覗く気満々じゃねーか、不能のくせに。


(透明に!だから見失ったんですねー!)


 感心すんな、なんであんなのあげたの?


(え?不能なら別にいっかなーって先輩が言ってましたけど?何が不能なんですかね?)


 ……あいつ、これも神様ってヤツの弊害?人間の女にとっては苦痛この上ないぞ?


(?そうなんですか?苦痛……?)


 お前ってさ、裸になるときってあんの?


(っ!何言ってるんですか!きゅーちゃん!)


 いやいや、これが大事なんだよ、どっちなの?ならないの?


(うー、本当かな?……なりませんけどぉ)


 ならんのかい!何かほら、一人でコソコソしててさ、他の人に見られたらすげー!恥ずかしい事ってある?


(何なんですか!神を辱しめたいんですかっ!そりゃそーいう……鼻とか?ほじっ


 おい!鼻くそ談義はもういいんだよ!なんだよ、ポンコツは鼻ほじりすぎじゃねぇ?


(そんなにしてません!たまーに、たまーーに、です!)


 へいへい、で、お前が鼻くそほじってる所をさー?透明になった誰かがじーっと観察してたらお前どうよ?


(そっ!そんなことする人居ません!!)


 まー神様の世界は知らんけど?人間の男ってやつは透明になれる能力にとっても憧れを持つんだよ。


 何でって?好きな時に好きになった女の裸を見れるだろ?風呂の時なんか絶好のチャンスだな、もー隅から隅まで見放題だもんな。


(……っ!えええっ!!そ、それって不味いのではっ!?ど、どうしよう!)


 いや、それやったのアドリアナだろ?


(あっ……そうでした、はぁー良かった。)




(良くねえぇっ!!盲点っ!人間の欲望見誤ったしー!!取り返せないしっ!ぐおっーなんつー失態!後輩の前で無様ぁー!)


(先輩ー!誰だって間違う事の一個や百個あるって!きゅーちゃんが言ってました!)


(ただの受け売りじぁねーか!慰めにもなんないわっ!)


 やっぱ、神様ってのはポンコツばっかりだね?みーちゃんどう思う?


「ンミーミ」すくいようがないのー


(変な言葉教えんな!)


 いえ、俺教えてませんよ?みーちゃんどんだけ馬鹿に見えてるの?百歳ですよ?


(ゑ……ひ、百歳なの?)


(そうです、大体きゅーちゃんもですけど)


(犬はアレだけどみーちゃん意外!って馬鹿に見たことなんてないしっ!)


 いいから、あの変態どーにかしろよ?店長顔が引きつってますけど?大将ももっと派手に攻撃しろよー!メテオすんぞ!「ミッ!」


(うえぃ!うえぃ!待って!ちょ、撤回は出来ないから……え、詰んだ!?)


 後付けとかできないの?(ただし)的な?


(それ反則的にギリギリなんだけど……でも付けるとして何をつけるの?)


 透過能力(女性には通用しない)とか?


(だったら(実は透過してない)でよくね?)

 

 いやいや、流石に憐れだわ、要は女が気がつければいいんだから、俺ので行こうぜ?


(……ま、まぁそうね、意味ない能力とかマジ意味なくなるし……それ決定。)


 

 アイツには神も仏も居ねーな。

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