第8話 バランスブレイカー

 マドロンさんはお店の敷地の自宅の寝室で休まず、お庭で寝ることも結構多い、前に盗まれそうになった経験から布団一式が庭の物置小屋に用意されている、用心もあるがヨーンと俺達に囲まれてモフモフで寝るのが楽しかったようで続けている、それ趣味じゃねぇ?


 本人が嬉しいならいいのだ、犬の本能がマドロンさんをちゃんとした飼い主に決定している、みーちゃんはマドロンさんの枕元でフカフカな場所で寝てもらう、マドロンさん感動、スリスリして嬉しそうにして寝る。


 お店のマスコットとなった俺とみーちゃん、露天で欲しがった人達が解放時間に会いに来るようになった、時々お土産物くれるので空間魔法で仕舞っておく、特にみーちゃんとヨーンのワチャワチャなのが人気、解る解るぜ!!


「はははっ二匹は野良の時凄い人気者だったもんね?何か売上伸びちゃったよ!ありがとうね?皆のボーナスも多目に払えそう!」


 店員さん達が嬉しそう、いい会社やで?地球のイジメの事を思い出してしまった、異世界に来て百年経っても嫌な事は中々忘れない物らしい、みーちゃんがどうしたの?とペロペロしてくれる、いい子に育ったよねー


「所でみーちゃんはいつになったらミルク卒業するのかな?野良の時から二ヶ月位たったよね?」


 ぎくぅ!一番心配していた質問が来た、俺達は神の眷属だから成長が遅い、俺はみーちゃんが流石に百年子猫のままとは予想してなかった、俺も謎なんだが、ポンコツに聞いたときもアイツはさぁ?としか答えなかった!


「あ!もしかして!」もしかして!?


「普通の子猫じゃないのかな?たまに居るよね?レア属性の魔物とかが成長遅いの、あんな分類なのかな?」そんなん居るんですね?


 ならば乗っておこう、シンクロコクコク。


「ははっやっぱそうなんだ!いいじゃん!可愛い子猫のままとか最高ー!」


 マドロンさんがみーちゃんを高い高いする。ヒヤヒヤしたがメルーさんと違って賢いし、ここは庭だ天井はない、あいつの高い高いからの天井打ちも今となってはいい思い出だ。


「マドロン店長ーお客さんがお呼びです。」


「あっ今行くね!」


 慌ててみーちゃんを置いてお店に、はぁードキドキしちゃったわ、こんなんだからアチコチ移動して生活しないといけないと思ったんだ。せめてみーちゃんが子猫から脱却してくれれば十年は誤魔化せるんだが、俺もみーちゃんは子猫のままでいて欲しい、我が儘だが可愛いじゃんかー!しょうがなくない?


(わかるーそのジレンマ!成長して欲しいけどしてほしくないっていうもどかしい感じ!)


 ……あ、はい。


(ちょやめて?急に変な人来たみたいな…)


 別に思って無いですよ?みーちゃんを愛でる同士だと思ってますよ?


(嘘くさい!でも愛でる同士か……悪くない)


 ノッテキター!


(何かあんたと話すと自分が馬鹿になった気分だよ、あんたの神がちょっと不憫だわー)


 あれは、モノホンのポンコツだから。


(……ねぇ?そのポンコツ神の名前って覚えてる?)


 何で?知り合いなの?だからなの?


(だからって!違うし!やめてよね?この世界そんなヒドク見えるの??)


 結構な出来だと思ってるよ?本当に。


(だ、だよね?何か自信なくすわ……)


 ポンコツの名前だろ?確かに教えて貰ったんだけど、ずっとポンコツか馬鹿としか呼んでないから……何だったっけ?


(ひど……)


「ンミイィ?ミウ」たぶん、ねばねばみたいななまえなの?


 え?ねばねば?……オクラとか?ちげーわ、えー?ねば?ミから始まる名前だった様な、み……ねばねば、違う、みね……


(それって、もしかしてミネルバ?)


 ……それっぽい!それでいいんじゃね?


(予想で決めつけんなし!ってか本当にミネルバなの?ヤバイ……)


 おお、そうだろ!アイツはやべぇんだ。


(そういう意味じゃ…なくもない、じゃなくって!新米神じゃん!)


 なにそれお米なの?新米なの?


(ボケんでいいわ、あーそうかミネルバか、マジどうしよう?)


 何?あいつ宇宙越えて神の世界までポンコツが知れ渡ってるの?凄くない?


(や、神界までは届いてないし!てかマジ知り合いだったのがヤバイ。)


 うわっドン引き、あいつの知り合いなの?ヤベー世界に来ちまった!


(あんたの方がヤベー思考じゃん!?)


(あー道理で自分の眷属離した訳だ)


 おう、何か深い話になってるじゃねーの?聞かせてみ?あいつのポンコツ伝説?


(そっちじゃない!もの知らないから!本当は自分の眷属は他の世界に渡したら駄目なのよ、別の神の干渉が入るから?言ってみれば手元に置けばバランス取れるけど、手放すとバランスブレイカーに成る訳。つまりあんたはこの世界のバランスブレイカーな訳で?)


 俺が?バランスブレイカー!?


 カッコいいやんけー!!


(なんでだよっ!!私の世界壊すつもりならマジ消すかもしんないから!)


 えー!?困ります。


(困ってるのはこっちだってば……)


 妥協案はあるんだ、聞くか?


(はいはい、なに?)


 世界が壊れ始めたら、俺は元の世界に戻る、どうだ?中々悪くないだろ?


(成る程、こわれはじ…許せるかっ!!あっぶない!納得するとこだった!)


 チッポンコツなら乗ってるトコだったのに


(何であんたみたいなのが愛し子してんの?神様操るとか怖いんですけどー!)


「ンミッ!」にぃにはてんさいなのー!


(みーちゃん……洗脳ぱねぇし…)


 洗脳じゃねぇ!教育だ!


(洗脳教育だろがっ!!)


「ンミー」ここのかみさまきらいなの、にぃにのわるぐちいうの……


(うえええっ!!待って!嫌わないで!もう言わないから!ねっ!?)


「ミィ?」ほんとう?


(うんうん、天才だよね!神様操るとかぱない天才!)


「ンミ!」そうなの!そうなの!


 くくくっそうだそれでいい、俺はこの世界の神になる!


(ちょおおおあおい!)


 嘘だよ、ネタだよ通じない奴だな?


(きこえない、ネタに聞こえない!)


(やべぇ、どうしよう……マジ疲れる相談しないとマジヤバイ……)


 相談?誰に?


(始まりの神様に決まってるじゃん?)


 決まってる、とか、自分が知ってれば皆知ってて当然でしょ?とかそんなウザイ奴って居るよね。


(もういいわっ!相談してくるし!)


 いってらー。

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