第6話 まるまるの不思議

 冒険者に襲われる事はなくなったが、街の変な状況にちょっと混乱気味、もしかして露天の人達も正義感に駆られてやっているだけかと思うとなんか胸くそ悪いってか気味悪い。


 もう少し観察した方がいいかもしれない、いつも餌をくれるおばちゃんが来たので、試しに鑑定してみる、暗示かけられてるとか?


名前 おばちゃん

種族 人間

性別 女性

能力 なし

状態 異常なし


 おう、能力ってか魔法ないのか、精神状態知りたかったから状態と言う文字が表示された訳ね?そういや俺鑑定とかほぼ使ってないよな、どうなんだろ、どんどん使って上げるべきか?


 精神汚染はないのを確認したが、果たして正義感が状態異常かと言われたら、性格だよね?なんともモヤモヤする事になってしまったが、洗脳でもないならいいか、餌ちょーだい!


「ンミぃ?」にぃに、みぃのごはん、にぃにのはだめ?


 みーちゃんが大人の階段登ろうとしている!止めたいが、みーちゃんの人生だ俺のちゃちゃなんて入れては駄目ょ!みーちゃん、口大きく開けてみ?歯が生えてたら考えるよ?


「ンミッミアー」わかったのーあーーー


 喜んでもいいのかな?綺麗なピンクの歯茎しかないんですけど。


「ンミィ?」にぃに?あった?あった?


 嬉しそうに聞かないでおくれ!!


 みーちゃん残念だが歯は生えてなかったよ?みーちゃんミルク飽きちゃった?にぃに、ミルク以外のなにか探そうか?何がいいかな?果物の汁とか野菜、はだめか?もしくは別の動物のミル……「ミッ!」にぃに!


 は、はい!


「ミィ、ンミンミ?ミー」みぃーね、だだにぃにといっしょがいいだけなの、だからぼうそうしないで?


 可愛いんですけどー!!!(めっちゃ可愛いんだけどーー!!)


 …………。(…………ぁ)


 神様はどうやらみーちゃんラブぃ様で、ストーカーですか?神様のすることじゃないよ?


(み、見るだけならいいじゃない……そうでしょ?誰も私のする事に命令なんて出来ないわよっ!そんなことさせない!)


 何の使命感なんですかね?ポンコツと同じ空気出すの止めて?ポンコツ二号とか呼ばれたくないでしょ?


(やば、ポンコツなの?嫌、違うのよ、ただ可愛いものを愛でるのは神様だって普通のなの、そうポンコツとは大違い、そうでしょ?)


 お前が言うならそうなんだろう、それでいいよ?まぁみーちゃんがイザというとき助けてあげて欲しいしな。


(まっまかされた!!やった!)


 やっぱポンコツ臭するぜ……


 神様は案外暇なんだな、んまいっか、神様がみーちゃんの味方になったぜ!


 ……ん?人の気配、でもこれは匂いで分かる餌くれるおばちゃんだ、でも時間じゃないからどうした?人様の家の縁側の様な?所で無断で住んでる訳だが文句は言われたことない、むしろ喜んでる、ここにもまるまるのペットが居てみーちゃんと仲良しなのだ。


 出てけ、とかじゃないよね?ヒヤヒヤしながら待っていたら縁側を屈んで覗き込む。


「ああ、居た居た、ちょっとおいで二匹とも」


 な、なんですかね?みーちゃんとノソノソと出ていくとお庭におばちゃんと、タライを持った女の人が居た、タライ?


「ほら、可愛い子達だろ?」


「わー本当ですね、何で今まで知らなかったのか残念過ぎるぅ」


「この人はね、ペットの専門店してる人なんだよ、あんた達の事教えたら洗ってあげたいって言うんだけど、犬はともかく猫はどうなのかなっ思ってるんだけどね?」


 えっ!洗ってくれるの?一月ぶりだ!わーい!とみーちゃんとぐるぐる喜んでタライへまっしぐら!お座りして洗って下さい!アピ!


「なんか心配なさそうだね?」


「猫ちゃんも喜んでる?珍しいー」


人様の庭だけど許可は取ったそうな、家に住んでいるまるまると飼い主も出てきて、一緒に洗うようだ、まるまるが水に濡れるとどうなるのかドキドキした……


 タライにいっぱいの水が入ってる中へ進んでピョーンとジャンプして入る、お座りして顔が出る高さだ、みーちゃんもピョンと飛んでポチャっと、深い様で二足でバタバタしながら俺に掴まって顔だけ出してる、可愛い!!みーちゃんも久し振りのお水で気持ち良さそうな顔をしている、何かごめんね?


「あははっ全然平気だね?すんなり洗えそうで良かったよ、暴れる子は大変で」


 まるまるもタライに入った、ジッとみーちゃんと見つめる、みーちゃんも気になってたんだね?ジワジワとまるまるが濡れるが、一向に形が変わらない、そんなっ馬鹿なっ!


 女の人にシャンプーでワシャワシャされながら、まるまるを見るが濡れた分、分かった、こいつら……ただのデブだわ。


「何だろうな、ヨーンの事が気になるの?」


 ヨーン?まるまるの種族名か?響きが面白い、コクコクする。


「うはは、本当だ賢い!ヨーンはね、ペットとしては一般的な子なんだー、何故なら空間魔法持ってる確率が高いからな訳」


 そうなんだー、だが聞きたいのはそこじゃない、何みんなあんなおデブなの?って事。


「後はね、単純に可愛いから?他にも要るんだけどね、一番飼いやすい種族なんだよ?」


 ちゃうねん、ちゃうねんてー!


「もふもふしてる割には肉付きいいでしょ?」


 そっそれだっー!


「あの大きさで空間魔法の大きさが変わるんだよー面白いでしょ?ただ太らせても駄目なの、生まれつき大きい子が空間魔法の量も大きくなるんだよ?何か不思議だよね?」


 お、おうただのデブじゃなかったすまん。


「君たちも持ってるんだってね?二匹共、凄い珍しいよね?気をつけてね?密猟者に」


 あ、結局狙われるんですね?まぁ転移があるからいいけどみーちゃんもそこそこ出来るし心配はないとおもうけど、用心に越したことはない、最悪暴れて殺されるとかありそう、みーちゃんが……俺と離れるのを凄く嫌がるのだ。


 そんな事を考えてたらいつも間にか乾燥に入っていた、みーちゃんがタオルの上でコロコロ転がりながら乾燥してもらって喜んでいる、ホッコリー。


「はいー終わり!大人しいからあっという間だったね?いい子いい子ー」


「子猫も喜んでたよ、あんたらやっぱり飼い慣らされてるよね?どこのどいつだろうね、捨てたのは……」


 捨てられた訳じゃないが、飼い主は探してるので黙っておく。


「え?この子達捨てられたの!あり得ない!空間魔法持っててしかもこんなに可愛いのに!」


「だろ?一応ね、うちら露天の組合で飼い主が戻ってくるんじゃないかって、待ってたんだけどね、さすがに一月も戻らないとなると、ねぇ?」


「あたしも、もしかしたら様子見に来るか見てたけどもぅ全っ然、捨てたのか飼い主に何かあったのか、わかんないけどさ、野良させるには可哀想だよねぇ」


 あれ?俺達結構な人達に見守られてた?やべ、洗脳とか考えてごめんー。


「飼い主現れなかったんだよね?だったら私が二匹とも飼っていいかな?」


 ペットの専門店してるお姉さんが飼い主候補に立候補した!


「え?あらーあたしも狙ってたんだけどね、家の子とも仲良しだから。」


 縁側で住ませてくれてたおばちゃんも立候補!?


「……組合にも欲しいって声あるんだけど、それなら話し合いするかい?不満持ったままじゃ気分悪いだろ?」


 思ってた放置主義とは程遠かった。

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