第5話 襲われる
さてさて、野良生活も快適になってきた頃、ちょっとした問題が発生した、ここにも冒険者は存在するのだが、彼らはどうも城下町というステータスが好きらしく、俺達みたいな野良はここには相応しくないと思っている様子。
夜、屋台も終わり、閑散とした時間に冒険者が静かにやってきて、驚いた事に、俺達を殺そうとしたのだ、ちょっとビックリ、でもみーちゃんと俺は能力で此方に向かっているのにも感知していたし、殺気?ゾワッとする感じのメッセージを伝えてきたんだ。
三人でやって来た冒険者は躊躇う事もなく、俺達に斬りかかって来た、みーちゃんは剣を抜く前には戦闘モードになっていたし、俺もみーちゃんのバックアップの準備が出来ていた。
手前の冒険者にみーちゃんが大人も余裕でぶっ飛ばせる様になったキックで蹴りあげる、みーちゃんに当たりそうでヒヤヒヤしていた剣を俺が前足でペキンと折る、二匹の異常な力に呆然としている隙に、残りの二人も一緒にやっつける、どや!参ったかー!て白目向いてた。
翌朝、俺達の前に気絶した冒険者三人を見た露天のおじさんやらおばさんが、大変!動物が襲われた!と警備を呼びに行った。
白目で倒れてる件はスルーするの?
「あんた達よく生きてたね!助けてくれた誰かに感謝しないとね?全くこんな可愛い子達を襲うなんて、録でもないねっ此処の冒険者も質が悪くなって!」
まあ、俺達が倒したとは思えないだろう、話に乗ってコクコクしてると、警備の男が五人もやって来た、そこまでします?
「はあーまた冒険者か?全く勇者気取りは止めて欲しいな、最近はこんなのばっかじゃないか?流行りな訳?以前は大人しかったろ?」
「そーすっね?変な正義感とか?増えて来てるっす、冒険者の仕事じゃないっつーのに。」
ザイルみたいなチャラい警備が居た、あれはメソ二号だな。
「ちっとギルド行ってきますわーヤキ入れてくんでー後はよろしくっすー!」
「程々にな、やり過ぎたら減給だぞ?」
「うえ、それは嫌だし、しゃーねーなぁ」
冒険者ギルド?うむ、まだ行ってないな、みーちゃん行ってみる?
「ミィミー」いくのーおしごと?
ちゃうよ、俺達を殺そうとしたんだよ?どういう奴等の集まりか確認しないと、また襲われるよ、荒っぽいのが多いみたいだし。
「ンミィー!」やっつけるのー!
それもちゃうんやで……
取り敢えずメソ二号の後をテトテト着いていく、たまに俺達をチラッチラッと見るんだけどウザイです、何か?
「何か一緒に来てるし……どうしよー」
お構い無く!と付いていく、軽いストーカーですよ、気にしたら負けですよ?
みーちゃんを背中に乗せて歩いていると、露天の人達がアレコレくれる、サーカスの見せ物みたいだけど、野良には嬉しい食料だ、貰った物は空間魔法で仕舞う、犬猫が使うのはおかしいのか観察してみると、まるまる、な動物も持っている魔法らしい、それ目的で空間魔法持ちのペットを買う人も居るんだと、通りでペット率が高い訳だ。
俺達が食料を貰いながらみーちゃんの悩殺ありがとうにゃー!テクでお礼をすると喜んでくれる、ふふふ、皆みーちゃんに魅了されるがよいよ?そんな俺達をメソ二号が、変な目で見ている、んだこら?文句あんのか?おん?
「野良の割にはいい生活してるっすね。」
あーそう?まぁ可愛いは正義だから?
今までは露天の近くで生活していたから、メソ二号が進む方向、中央付近まで来るのは初めてだ、中央に進むにつれて、露天の品も変わっていく、要は冒険者に必要な薬草とか武器とか俺達には縁がない露天だ、スルーしてトテトテ着いていく、メソ二号は俺達の目的が分かっていたのか、足並みを揃えて待ってくれてた。
なんだ、この出来るメソ二号、生意気!
と心の中で罵って開けた場所に到着、おおー?デカイ建物が鎮座している、剣のマークがクロスしている看板だ、あれが冒険者ギルドか、前のとこはこんなのなかった、異世界らしいちゃ、らしいよね。
そこかしこに冒険者が居るんだが俺達を見て嫌悪感を表している、露骨だし俺達結構な有名?メソ二号がギルドに入る、俺達が入るのに扉を開けて待っている、何かくやちぃ!
俺達は小さいので階段が結構高く上るのが大変、一段上がるのにワチャワチャしてしまう、みーちゃんが落ちないように配慮しつつ上まで登れた!ここが山頂か!キリッとしてたら、メソ二号が呆れた顔で見ている、ヤメロし。
「で、ここが目的でいいんすかね?」
あ、はい。コクコク
「分かってんの?頭いいなー野良のくせに」
一言余計だし、少し力を入れてメソ二号の足に犬パンチ、ベシベシ!
「っ!いって!なんっ犬の力じゃなくね?」
ふんむっ!普通の犬とは違うのだよ!胸を張ったら背中に張り付いていたみーちゃんが落ちそうになって慌てて伏せた。
「……変な動物だし意味わかんねー…」
五月蝿い、ごちゃごちゃ言ってないで入るで!テトテト、だが冒険者が多くて進めない、おまけに一連を見ていた冒険者どもが俺達を睨んでいる、喧嘩は買うぜ!?
「あー冒険者諸君?この野良が気に入らないからって乱暴したらー?俺達が動くし?なーんか理由はわかんねーんだけど?教会も動くみたいなんだよねー?」
ザワッ、教会ってそんな力あんの?てか警備のお前さん達も冒険者を抑える力あんの?
「って事で、これは警告、今度やったらお前らさー?分かってんだよな?どうなんのか?」
メソ二号がメンチきったら冒険者が大人しくなって俺達から顔を背けた、何……見えないところで陰謀がー!!
メソ二号はさっさと帰りたかったのか、俺達をヒョイと抱えてギルドを去って歩く、ぬうー何か嫌だけど、あの雰囲気なら仕方がない、はよ帰ろう。
「ったく、歯向かう力もねーのに問題ばっか起こしやがってよー?勇者症候群も厄介だなー」
勇者症候群?初耳だな、何それー?メソ二号を見上げて腕をペシペシ、教えてたもれ。
「あー?……この街はな、勇者発祥の地って言われてんだよ、だからなのか、やたらと正義感ぶって問題起こすんだよ、盗みをしても正義の為に必要とかな、訳わかんねー理屈言ってよ?正当化しようとしやがるんよーマジ糞?」
ものほんのクソじゃん、何この街ー?ここが一番まともって言ってなかった?他が恐いんですけど?
「って犬猫に何愚痴ってんだ俺……疲れてんのかなーあー……」
少しだけメソ二号に同情してやる、だけど野良ってだけで排除って何がしたいの?正義なら他にやること一杯ありそうなんですけど。
そのままメソ二号に元の寝床に連れていかれて、んじゃなー、って帰って行った。
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