第4話 教会での生活から家出

 神のお告げで保護されて教会での生活が始まった訳だが、快適とは言い難い、何か奉り上げてる様な生活で堅苦しい……贅沢は言えないけど、自由が欲しいかなって思います。


 庭がないので走ることも出来ない、みーちゃんとはしゃいだらちょっと迷惑そうな顔をされる、牢獄かっつーの!息苦しいわっ!


 みーちゃんも同じようで最近元気がない、以前は遊んでくれるメグちゃん達が居た、話をしてくれる千代さんやセリさんも居た、最後まで飼い主にも関わらずお喋りすることのなかったけどお騒がせメルーさんも居た。


 多分比べたらダメなんだろうけど、やっぱり今の生活はみーちゃんにも宜しくない、考えよう、逃げ出す事も、野良だっていい、むしろその方が自由だった、世界が変わるとこうも生活が変わるとは、やはり簡単に考えすぎたのかな?反省しなくては、一人じゃないのだから。


 シスター三昧でどうにかしてくれと思ったけど名前は当然だがあるらしい、最初に迎えてくれたのは、シスター長で一番偉い、フロムと言う名前だった、プチシスターはアリーセちゃんだ、少しメグちゃんを思わせるお年頃。


 彼女らは信託の言葉通りに保護をして、俺達がどういう存在なのかは知らされてないらしい、神様も中々別の世界から散歩しにきた別の神の愛し子だとか言えなかったんだろう。


 みーちゃん、ここはやっぱり窮屈だよね?野良でも良いなら逃げないかい?


「ミィー?」にぁには、いいの?みぃはそれでもいいの……


 やはり、みーちゃんはここの生活は合ってない様だ、にぃにが何とかするよ、転移で城下町に戻って餌貰う生活に戻ろう?


「ンミ」それがいいの


 うんうん、みーちゃんの意見が一番の最優先事項だ、じゃ戻ろうか、抱き抱えて首を咥える、城下町に居た場所を思い浮かべる、そして


(ちょっと待ってくれない?)


 ぬっ!ここの神だ、何でですか?


(ごめん、そんな窮屈だと思わなくてさ、本当にごめん、シスター長に説得してみるからちょっと待ってくれない?)


 そもそも、干渉はお互いしないんじゃなかったのか?モロ干渉されてるんだけど。


(うーんそれについてもごめん、だってさ、仮にも他の神の愛し子が野良で過ごしてるのもどうかと思っちゃって、余計な事したかなって反省はしてる、だけど野良は流石に私的にもちょっと寛容出来ないかなって。)


 でもさー俺達別にあんたの愛し子でもないんだし、そこまで気を使わなくてもいいと思うんだよ、俺の神はポンコツだからさー。


(ポンコツなの?凄い見下してる感半端ないんだけど、よく生きてたね?)


 ポンコツなりに頑張っては居たからな、ここは案外魔法も世界の仕様も中々出来てる世界だってのは分かったし、野良でも十分快適に過ごせてたよ、だからここはちょっと勘弁して欲しい訳、多分お告げした所で教会なんだから犬と猫を飼うには最適な場所じゃないよ。


(んー……そっか、自由がいいんだね、あくまでも、動物として生きたいんだ?)


 そうそう、普通の飼い主が出来ればベストだけど、俺達も覚悟して来たしさ、いいんだよ。


(分かった、引き留めないようにしておく、何か余計なお節介しちゃったよね、ごめん。)


 まぁお節介は嫌いじゃないし、犬と猫だからお世話はして欲しいけどさー?


(うーん、動物って難しい、取り敢えず頑張って、干渉はしないとは言ったけどマジでヤバい時は呼んでいいからね?)


 おう、じゃ遠慮なく、さんきゅー。


 みーちゃんを咥えて改めて転移する。


(はぁ、愛し子とか軽く考えてるんだー、前の世界の神は解ってるのかね?宇宙のバランスが崩れるって事……)


 そんな壮大な事なんて露知らず、元の場所に戻ったら、色々なお世話をしてくれてた人達が教会で何かあったのか、とかおかえり、とか?構ってくれる、こんな感じがやっぱり丁度いいよね、やっぱり。


「ンミィー!」のびのびなのー!


 さよか!良かった元気が戻ってみーちゃんが元気なのがにぃには一番嬉しいのです!



 野良に戻ってからは、ペットの不思議なまるまると会話して情報聞いたり、世界の事聞こうとしたら、知ってどうするのって突っ込まれた、別にどうもしないけど、戦争が多いならやっぱり世界情勢は気になるじない!って熱弁したら、言ってることがわからないと言われた、所詮はただのペットだもんね……


 城下町をみーちゃんとウロウロしてると色々な餌を貰える、構ってくれる、本能が楽しいと言っている、動物はこうじゃないとね。


 予想だとこの世界はある程度出来上がってる世界なんだろう、魔法も強弱はあるものの、大抵の人が使える、勇者も存在する、らしい、今は居ないらしいけど、良く読んでいたラノベの世界に近いと思う、勇者の話がかなりチート臭いんだもん、いいなーマトモなチートで。


 俺たちのチートはチートとは呼べない、なんたってかなり努力しないと育たないのだ、ここは「あ、出来ちゃった」な世界らしいよ?過去に呼び出された勇者の末路も良く聞く話だ、チーレムを作ったり能力に溺れて暴れて粛正とか、聞いてる分には面白い。


 みーちゃんとまるまるが遊んでいるのを眺めてホッコリ、みーちゃんが毛玉と遊んでる様にしか見えない。


 と、前方がざわざわ、おうデジャブゥ?やっぱりシスターが来たよ様だ、何だろうなお告げで関わらないって言わなかったのかな?


 シスター長のフロムさんがしずしずと近寄ってくる、みーちゃんが、にぃにを守るの!モード、大丈夫だと思うので、一応暴れないように抱えます。


「ご機嫌いかがですか?元気にしてますか?」


 コクコク。


「そうですか、貴方達が出ていった日にお告げがありました、牢獄の様な生活をさせていた、と申し訳ありませんでした、私は大事にする余り行動を制限し過ぎた様で反省してます。」


 ええんやて、仕方なかったさ、只の説明不足だったんだろう、でも理由を話す訳にもいかない神様にも悪かった、出てきたのは本当にただの我が儘だからね。


「教会では見られなかった楽しそうな姿を見て実感しました、人間でもないのに、人間の規律を押し付けたのですから。」


 フルフル横に振って、悪くないんやでと感情を乗せる、フロムさんはハッ!とした、何か勘づいたかな?


「……あぁー何となく理解したような気がします、本当にお節介だったんですね…」


 まぁ水に流そうや!

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