第3話 野良生活からの保護

 中々飼い主候補が現れない、こんなに可愛い二匹拾わないなんて罪やで!


 でも餌には困っていない、何故か俺のご飯とみーちゃんのミルクを用意してくれる人達が居るからだ、この人達は野良のボランティアでもしてるんだろうか?だったら拾え。


「こんなに可愛いのに捨てられちゃうなんて、どういう飼い主だったんたろうね?」


 今日は露天のおばちゃんだった、俺ら完全に捨てられた可哀想な子になってるやんけ!なんでこうなったし?


 念話する訳にもいかないのでもどかしい、でも飯くれるならマシな方か?ごめんねみーちゃん、こんな野良生活させて。


「ミィ?」ふべんはないの?


 だよねーだけどみーちゃんにはちゃんとした生活させてあげたい親心、妹よー!なんて考えてたら、目の前がざわざわし出した、何があるんですか?


「おや、シスターが街に降りてくるなんて珍しいね、どうしたんだろう?」


 シスター……?教会があんねや?遠目に見えるシスターとやらが見える、中々のサイズの綺麗なお姉さまですなー……何かーこっち見てる気がすんだけど気のせいですか?


「おや?あんたらに用があるみたいだね?」


 おばさんがナデナデして露天に帰って行った、そして目の前に来るシスターしゃがみこんでヒソヒソと声を掛けられる。


「貴方達が神の加護を貰った方ですか?」


 加護?ああー確かにこの世界の神に貰ったけど、何でこの人がしってんだろう?どうしようか?教えるかどうするか考える、千代さんみたいな能力があるんだろうか?


「あら?違いましたか?犬と可愛い子猫だと神のお告げがあったのですが……」


 ちょ干渉はしないんじゃなかったん?お告げとか言うてますやん?仕方ないな。


 みーちゃんと一緒にコクコク頷く。


「あら、あら?合ってました?理解していますのね?神から保護してほしいと言われましてお迎えに参りました。」


 保護か……まぁいいか、コクコク。


「では、教会へ保護しますね?抱っこします、失礼しますね。」


 俺は一応みーちゃんを抱えて守る、それを理解したのか、みーちゃん抱っこした俺を抱き上げる、おお、いいサイズ……


「ンミ」にぃに……


 しまった、人間の名残めがっ!みーちゃん、違うんだよ?ほら母性本能はここに現れるって誰かか言ってたような言わなかった様な?


 みーちゃんがちょっと冷たい目で見てきます……煩悩よー!消え去れぇっ!


 シスターはしばらく歩いて行くと、荷馬車ではない馬車が用意されていた、前の世界の質素な馬車じゃない、少し立派だ。


 お出迎えか、少し年齢の低いプチシスターが馬車の扉を開ける、子間使いの子だろうか、年齢を考えると少しメグちゃんを思い出して心の中でホロッとしてしまった。


 シスターとプチシスターで馬車に乗り込む、俺達はシスターのお膝の上に下ろされる、ちょっと野良生活で汚れてるんだけど申し訳ない、出来ればみーちゃんを綺麗キレイして欲しい。


「シスター、この子達が神の加護を頂いた二匹ですか?野良にはみえませんね?」


「恐らく野良ではないのだと思います、保護と言われましたが、野良には加護は差し上げないと思うのです。」


「そうなんですか?詳細は何もおっしゃらなかったんでしょうか?」


「ええ、ただ保護をと、何かしら有るのでしょう、人間の言葉を理解してる辺りで考えるとなんでしょうね?特別な何かがある子達なのかもしれません、対応は慎重にしましょう。」


「ない、シスター分かりました。」


 何かお堅いわー……祭り上げとかしないよね?やだよそんな堅苦しい生活。



 三十分程馬車を走らせたら止まって、また別のシスターが扉を開ける、この人は結構なお偉いさんのシスターなんだろうな?信託とか聞けるんだもんなー千代さん……


「ンミィー?」にぃにー、げんきだして?


 ごめんよ、頼りないにぃにで。


「お帰りなさいませ、シスター、信託の子達ですね?少し汚れている様なので洗いましょう」


 あ、おねがいしまーす。


 お偉いシスターさんからお出迎えの妙齢のシスターの手へ渡される、シスターシスター……何かが崩壊しそうですわ。


 お風呂についたらまた別の若いシスター……が二人待機していた、妙齢シスター……から若い子へ、いい加減シスターから抜け出したいんですけど……。


 幸いにもみーちゃんは昔からお風呂は嫌がらない子なので気持ち良さそうに洗われています、俺も久しぶりのワシャワシャに身を委ねる。うーきんもちいいー!


「子猫の方は嫌がりませんね?珍しいですし毛艶もよろしいですね。」


「ええ、気持ち良さそうな顔してます、とても可愛いですね。」


「こちらのわんちゃんもですよ、やはり野良では無いんでしょうね、人に慣れていますし。」


 アワアワからすすぎで乾かされる、魔法を使っていたが何も言わないで発動していた、いわゆる無詠唱ってやつ?まぁ、俺も少し使えるようになったけど、詠唱したところで、きゃん、としか聞こえないっていう。


 綺麗になった俺達はお偉いシスターに預けられる、面倒はこの人が見るの?他のシスターなの?シスターの仕分けしたいわ!


「とてもお綺麗になりましたね、やはり綺麗な毛艶で、神とどう言った繋がりなのか、何故加護を頂いたのか分かりませんが、野良なんて生活は心配しなくて宜しいですよ?」


 はいーお世話になりますー「ンミ」すー

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