第26話 孤立主義者の少女が秘密を明かす

 ……のように、私はとどめの一言を囁いた。

「心配しないで。私も身代わり」

 こういうことだったのだ、首領からの指示は。

 「制裁」など、ただの「ハッタリ」にすぎない。私とヒロ君が互いに身代わりを申し出るよう、仕組まれていた罠だったのだ。

 堤防から遠目にも分かる女装を見つけて、私はそこまで察していた。でもヒロくんはというと、たぶん私の男装には気付いていない。

 絶好のチャンス!

 もしバレたりしたら、ヒロ君は夕べのように一目散に逃げだすだろう。

 私は精一杯の凄みを利かせてギリギリまで接近すると、最後の最後で真実を告げたのだった。

 そのとき。

 ポケットの中で、KSGのメッセージが着信音を奏でるのが聞こえた。

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