第22話 孤立主義者の少年が覚悟を決める

 最後の一言を残して、「首領」はチャット画面から外れた。

 僕はすかさず、メッセージを送った。

<制裁って、何ですか?>

 KSGは、あくまでも「首領」が立ち上げたSNSに過ぎない。

何らかの罰を加えることができるとしても、せいぜいアクセス禁止や退会くらいのものだ。

 でも、何だかイヤな予感が、背中をもぞもぞ這いまわっている。

 それが何なのかはっきりしないうちに、返事が来た。

<それは言えん。ただ、自分の手を汚すことだけはしないと言っておく>

 つまり、他の誰かにやらせるということだ。

 でも、まさか人に危害を加えたりは……。

 いや、分からない。「孤立主義者」がどれだけ嫉妬深いかは、身にしみてよく分かっていた。

 いちばん安全なのは、KSGと縁を切ることだ。だけど不思議なことに、僕はそれとは全く違う返答をしていた。

<それなら……>

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