第16話 孤立主義者の少年が嫉妬と自意識に悩む

「ルイ……どうして?」

 僕は、川に面した大きな岩に顔を押しつけた。

 夜になったとはいえ、日中の猛暑の余熱と花火見物の熱気と、たぶん花火の放射する熱とで、辺りはめまいがするほど暑くなっていた。

 ただ、この岩肌の冷たさと、川面を渡ってくる風の涼しさだけが、混乱した僕の頭を冷やしてくれる。

 走っているうちに息が切れて、ちょっと立ち止まったせいで見てしまった光景は、結構ショックだった。

 河原で転びそうになったルイと、その身体を後ろから抱き留めた長身の若い男。

 目に入った瞬間、まだ心臓がバクバク言ってるのに、思わず駆け出してしまった。

 でも、花火の光に照らしだされた2人の姿は、映画の1シーンみたいに目に焼き付いている。

 花火大会でデートしてたんだろうか、ルイは。 

 じゃあ、何で僕なんか追いかけたんだろう。

女子から見たら、気づかずに跨いで通ってもおかしくないルックスだし、勉強だってそんなにできない。

 孤立を気取って気にしなければ済むことかもしれないけど、こうやって人と自分を比べてしまうと、やっぱり惨めだ。

 涙が、身体の底から溢れ出してくる。

 ……辺りに人もいないことだし、思いっきり泣いてしまおうか。

 そう思ったときだった。

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