第4話 KSG首領は現実にうなだれる

 退勤時間まであと2時間はあるのに、正直、俺はガックリきた。

「バカ正直すぎる、こいつら……」

 どっちが男か女か知らんが、こっそりメッセージでもやり取りしてリアルで会ってしまえばいいのだ。

 それにしても……ここに集まる連中は、なんでこう嫉妬深いのか。

 チャットには、もう30人近く集まっている。

 それなのに、すぐ眼の前には上司がやってきた。

「あ、残業お願いできる?」

 これを拒否できるくらいだったら、「孤立主義者限定」サービスなど立ち上げてはいない。

 俺は無言で頭を下げると、書類の束が入った紙を受け取った。

 相手が誰であっても事務的に……これが、KSGが共有する生き方だった。

 だが、どうも最近、このコミュニケーションの修羅場で生きていく知恵が横道にそれてしまっているような気がする。

 仕方なく、俺は「首領」としてチャットにログインした。

 それを待っていたかのように、いや、本当に待っていたのだろう、画面上は罵詈雑言で埋め尽くされた。


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