第18話 うち明かす (影野 紫音)
俺は決めた。過去になにがあったのかを言うことを。アイツ、
きっと分かってくれるはずだ。津久葉を信用している。だから、津久葉もなにがあったのかを言ってくれるだろう。
明らかに
俺のせいでな。だが、うち明かすのは簡単な事じゃないってのを分かってる。俺は甘くみていたんだ。津久葉を。
___
俺はアイツを連れて、体育館裏へと向かった。あの場所から離れたかった。自分が嫌だからというのもあるが、津久葉を守るためでもある。
未だに嫌な視線を向けている奴らが気に食わない。いつまで噂するんだ。懲りない奴らだな。
それはそうと、俺が津久葉を連れて向かったのが、なぜ体育館裏なのか。それは、人目を避けたかった。俺の過去は出来れば他の奴らに知られたくない。人を殴ったのは本当だからだ。だが、もう知られているかもしれないだろう。それでも、なるべく目につかない場所に行きたかった。
そして、俺たちは体育館裏に着いた。
「なんだよ。こんな所に来るなんて珍しいな。で、なんだよ」
津久葉はそう言った。津久葉の言う通り、ここには来たことがないから珍しいが、察してくれ。
「アイツらの言うことは本当なんだ。俺は過去に人を殴った。いや、正確には友だった奴だ。このまま俺と居たら、俺はお前を殴るかもしれな、」
「で? だから、なんだよ」
俺が言葉を口にすると、津久葉に遮られた。なんだか怒っているみたいだ。津久葉に睨まれたのは初めてだ。俺、なにか気に触ることを言ったか? ここはハッキリと言おう。
「だから、俺はあの時と同じ、津久葉を殴るかもしれない。だから、」
「は? そんな事はないだろ。過去に殴ったとしたら、なにか理由があったんだろ。それ以上なにも聞かないし、問い詰めたりはしない。お前、すぐ塞ぎ込むだろ」
津久葉はそう言って、その場から立ち去った。理由は確かにあった。だが、それでも殴った事に変わりはない。手を出してしまったのは悪いことだ。俺は……その時だった。
「なにしてんだよ。戻るぞ」
なにしてるはこっちの
それにしても、寒くなってきたな。いくら人目がつかない場所って言ったって、陽が当たらない体育館裏は間違ったな。まあ、いいか。次は堂々と話をする事にしよう。
それから、俺たちは少しの会話をしながら戻り、それぞれの授業を受けた。
誰かの視線を背後に感じたのは気のせいだろうか。
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