第13話 後悔 (津久葉 晴)
あれから、何日か経った。
けど、影野は『ない』と答えた。本当にないなら休むはずがない。答える時だって平然としているはずだ。
それなのに、頭を抱えていた。今だって休んでる。やっぱり、悩みを抱えているんだ。
俺と同じように。
*
「
突然、
実をいうと、あれから水瀬と話をしていない。というより、俺が避けているといったほうがいい。なぜなら、あの頃に戻ったように水瀬の態度が変わったからだ。
突然の変わり様。そうなった理由はおそらくアレだ。俺が影野に話し掛けているからだ。だからって変わりすぎだろ。
「おーい、晴ちゃん」
俺が考え事をしていると、水瀬が再び声を掛けてくる。その呼び方やめてくれ。
「うるせえよ」
俺はそれだけ言うと、水瀬は不機嫌な表情をした。気のせいだといいけど、そんなことはなかった。
「影野とかどうでもいいじゃん。つーか、休みだと思うし、もう来ないんじゃね?」
俺はその言葉にカッとなった。
「んな事、いうんじゃね!」
咄嗟に俺は水瀬に掴みかかった。
「なんだよ。そんなに怒ちゃって。なにも出来ないくせに」
水瀬は吐き捨てるように言うと、振り払いそのまま行ってしまった。水瀬のいうとおり、俺はなにも出来なかった。
その日はそれで終わった。
____
「あの、影野は?」
俺は職員室にいた。影野の担任に聞くために職員室まで足を運んだ。いるのかいないのかその時によるんだけど、運良く担任である先公がいたのは助かった。もし、いなければ異様な教室に足を運ばなきゃならなかったからだ。
出来れば、教室には行きたくない。あの視線は異常だ。影野も同じ気持ちなのだろうか。
「影野くん? 体調崩してここずっと休んでるわね。あなたは友達?」
「は、はい。影野が心配で、」
俺は影野の担任に質問され、咄嗟に答えた。本当は友達じゃないのに、そう答えたのは勢いだった。
「ただ、なぜ体調崩しているのか分からないのよね。暫く休みます、とだけしか聞いてないのよね。友達なら連絡取ってみて」
その言葉を最後に俺は職員室を去った。
『友達なら連絡取ってみて』
脳内に響く言葉。友達なら、か……。俺は友達じゃないから連絡先を知らないし、聞いた事がない。
連絡先を交換しとくんだった。これから、どうやって影野に話し掛ければいいのか。学校に出てくるまで待てば、いつか来るだろうか。
俺は廊下をとぼとぼと歩いていった。
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