02


「少女」はあてもなくさまよっている最中だった。

 その際に、廃棄されたホールを見つけて、そこに住みついていた超能力者の世話になる。

 そこにいた超能力者の素性は分からなかったが、「少女」は彼等との日々にそれなりに満足していた。


 数日に一度は銀髪の「錬金術師」と青髪の「機械人形」が生活に必要な物資を届けてくれる。

「少女」は青髪の「機械人形」と仲良くなって、大好きな甘い物について語り合う仲になった。


 廃棄されたホールには、「少女」と同じような境遇の者達が集まりはじめた。

境遇。それは超能力者という点だ。

 しかし、違うのは「彼等」は「少女」と違って、何者かに追われているという事。

 ホールはいつのまにか、寄り集まった「彼等」超能力者のたまり場となった。


 そんな中とある「少年」がやってきた。

 強大な超能力と素養もある「少年」は存在感があり、元からいた「彼ら」は、「少年」の一挙一動に注目せずにはいられなかった。


 ある時、「誰か」の超能力で、「少女」を含めた「彼等」や「少年」は過去の世界にとばされた。

 過去のその世界で「少女」達は、超能力者の複製が生み出されるところを目撃する。


 魂のない「複製」の赤ん坊が、悪しき者達に利用されないように、自分達の手でせめて眠らせてやるべきだろうか。

 そう考えた超能力者の「彼等」は一人の赤ん坊を手にかけようとするが、「少年」がその行為をとめる。


 その赤ん坊は、後に「雷神の申し子」となる存在だった。


「未来で世話になる予定だからな」


 魂や自我の芽生えの可能性に思い至った「彼等」は複製を殺す事はしなかった。



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