第六の月

願い星

第六の月 スープの日



「アーヴェー・アーヴィ。


 こんにちは、記録係さん。



 ぼくの話を少し聞いてもらってもいいかな。


 ぼくの住んでいる星にはね、神さまがいるんだよ。

 君の星にもあるだろう? 神話とか、宗教とか。

 それと似たようなものだけど、ぼくらの星は、遠い、はるか宇宙の反対側にある星にとっては神様のいる星なんだって。



 その星の神さまは、千年に一度、その星に里帰りをするんだ。それ以外のときはずっと宇宙を守るために様々な星を渡り歩いているんだって。

 かっこいいよね。宇宙を守る神様。

 ぼくらの住んでいる星は、その神さまを象徴する星なんだって。

 名前がね、正式名称は忘れちゃったんだけど……『ヤンナオハハル』が下の名前だったかな?

 ぼくらは単にヤン様って呼ぶし、星の名前も「ヤン」だよ。



 あるとき、その星の男の人が、ぼくらの星までやって来ることができたんだ。

 すごいよね。六千光年は離れてるんだよ?

 ワープを繰り返して、ほとんど偶然に。尊敬しちゃうなあ。

 今では宇宙に出る技術は衰退しちゃったんだけどねえ。


 彼は、ぼくらの星に降りれなかった。

 まだテラフォーミング前だったから仕方ないんだけどね。

 宇宙でぼくらみたいな生き物が住める星っていうのはほとんどなくて、今住めているのは九割がたテラフォーミングした星なんだってね。

 当時だともっと少なかったんじゃないかなあ。

 結局彼は最初の入植民と一緒に星を開拓して、そのままこの星で亡くなったんだけど。


 今でも彼は、神さまが住んでるって信じてるんじゃないかなあ。



 ――おっと。こんな時間。そろそろ行かなきゃ。


 じゃあ、記録係さん。お元気で。

 いつか僕の星にもあそびに来てね。」

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