将来の夢

第五の月 雲魚の日



「アーヴェー・アーヴィ。


 こんにちは、記録係さん。

 私はドン・ブラスコ航宙会社の広報ををやっている者です。



 ドン・ブラスコって聞いたことありますよね?

 そう、宇宙の地図とか言われてるあれ……。

 あれは元々うちの初代が作った航路図で、今も主要な星を通ってるのでそのまま使ってるんですが。


 さすがにそろそろ改定しようと思ってるんですよ。

 けっこう辺境と言われていた星が発展してきていたり、新しいワープホールが安定して通れるようになって航路が変わってきたりしてますから。

 ただ、我々もここまで『地図』として広まってるとは思わず……。


 どう思いますか? どうぞ。」



『アーヴェー・アーヴェー。


 初めまして、ドン・ブラスコ航宙会社の広報さん。

 私も最近ですが、ドン・ブラスコ星系図を見させてもらいましたよ。

 そうですか、そんな誕生秘話があるんですね。


 実は最近、宇宙の地図に興味がありまして。

 いつか宇宙に出られたら、自分でも地図を作りたいな、って思ってたんです。



 だから、無理に変えなくてもいいと思うんです。

 みんなが慣れ親しんでいるならそれはそれで、新しく地図を作ったほうが早い気がするんです。

 いつか私も追いつきますから。そちらも頑張ってください。


 どうぞ。』





「アーヴェー・アーヴィ。


 素敵な夢ですね……。



 うちの初代……ウィーニード・ドン・ブラスコは生涯を通じてあの航路図を作ったんです。

 あなたもまだお若いでしょうから。きっとできますよ。

 応援しています!



 ああ、なんだか肩の荷が下りました。


 通信、ありがとうございます。またいつかご連絡させていただきますね。

 それでは。」

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