定期報告 5
第五の月 天気菅の日
「アーヴェー・アーヴィー。
こちらは旅地通信社南方調査団、イット・コールです。
記録係様、お疲れさまです。
こちらは相変わらず収穫ナシです。
いやあ、最後の『六つ子』はどこにいるんでしょうねえ。
元々南方はポロ星系以外居住星系は今のところありませんからね。ラジオより先に新人類を発見できてしまうかも、なんて。あはは。
――面白い話を聞きましたので、それだけお伝えしておこうと思います。
出所は宇宙商人です。高速艇で移動しているそうで、広範囲の情報を持っていましたよ。
まず、鉱石ラジオの存在は知っていました。もちろん共石のことは知らず、『不思議グッズ』として扱っているようです。
『六つ子』ラジオについては知りませんでしたが、何年か前に、『骨董の鉱石ラジオが出る』という噂を聞いたそうで、実際に情報まで仕入れていたそうで。
その証人が聞いたのは、『ルーシャで古くから使われていた五つのラジオが市場に出る』という情報でした。
『六つ子ラジオ』が消失したのと同時期に、ですよ?
怪しいでしょう?
大方、現政府が『宝物庫の物を売って資金を得よう!』なんて考えを思いついたときから、誰かが宝物をネコババしていたんでしょう。
あのラジオは六つそろってこそなのに、そもそもばら売りなんてねえ。――おっと。口が滑りました。
とにかく、六つ目のラジオはまだルーシャ星内にあると思われるのですが。
社長にその旨お伝えください。
そんでもってできれば我々に帰還命令を……!
何もないんですよ南方って! 本当に! 何もない星の海を漂っているだけ!
毎日同じ景色で、そろそろみんな気が狂いそうなんです! お願いします!
以上、通信終わり!』
『通信記録を社長に提出したところ、南方調査団にはすぐ帰還命令が出ました。 記録係 リディア・マルカス』
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