宇宙ぶらり旅

第三の月 画家の日


「アーヴェー・アーヴィー。


 こんにちは、記録係さん。

 もう、一ヵ月おきに連絡するのがくせになっちゃったなあ。

 元気でした?


 このラジオを返すべく、あなたのいるポロ星系を目指しているんだけど、まあ、いつもの旅生活だからついつい寄り道しちゃって……。


 宇宙って、たまにワープ航路がとつぜんなくなって行けなくなったりとか、星そのものがなくなってたりとか、あとは情勢的に行きづらくなってたりするから。行けるときに行っておかないと、と思っちゃうんだよね。




 って、感じでふらっと寄ったのはいいんだけど……。

 お目当てはね、夜の来ない日がある星でね。「白夜」って言うんだけど。


 季節、終わってた……。


 残念すぎる!

 

 しかもどうやら政府がきな臭くてね。これは革命が起きてもおかしくない雰囲気なんだよ。

 汚職とか、人身売買とか。そういう話がまことしやかにささやかれていたからさ。

 あれだけ噂されてるってことは、そうとう怒りも溜まってるはずだよ。



 あーあ。次は行けなくなってるかもなあ。



 あ、だからといって次の白夜が来るまで待つなんてことはしないけどね!

 絶対記録係さんのところにたどり着いてみせるから! それまでちょっと、待っててほしい。




 次は巨人のいる星に行く予定。

 ここは技術が発達していてね、現地民の人達がぼくらみたいな普通の人と交流するために、わざわざ体を縮める技術を開発したんだって。

 いやあ、すごいよね。



 このあたりはまだ人型の知的生命体――「市民」ばっかりだからいいけど、これが「外宇宙」――ああ、ドン・ブラスコ航路に載っていない星になるとまだ調査が進んでないからどんなのが出てくるのかわからなくて困るよね。

 

 噂によると星丸ごと一個が一つの生命体になってるところがあるらしいよ?


 行ってみたいなあ。


 はは。まず航路がないから「海賊」にでもならないと行けないか。

 海賊も会ったことないんだよなあ。

 あんまりいいイメージを持たれてないけど、通りすがりに金品を奪っていくような奴らはほんの一部で、ほとんどは外宇宙を目指す冒険家、って話だよ。

 

 いい海賊には会ってみたいな。一緒にお酒飲みながら宇宙の話を聞いたりね。

 そういうのが好きなんだ。


 そういう生活ができればいいよね。




 おっと、その前に記録者さんに会うのが先だね。



 首を痛くならない程度に長くして待っててね。



 じゃあ、また。」

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