第三の月

定期報告 3

 第三の月 帽子の日


「アーヴェー・アーヴィー。


 『旅地通信社』記録係殿。こちらは調査団増援特化小隊。東方調査団の応援に行ってまいりましたので報告をば。


 ええ、あの『対象ルナ』を取り逃がし、船をほぼ廃船にしたおバカ達です。


 結果的に船と調査団の面々十名は無事でした。ただ軽傷が四人。いずれも全治一か月ほど。

 なお団長は社長にボコられたので全治二か月です。

 

 正直見ていられないほど殴られていました……元々の顔がわからなくなるんじゃないでしょうかあれは。 


 ところで。

 どうですか、久々に社長のお小言に付き合わなくていい時間は。どうぞ。」





「アーヴェー・アーヴィー。

 ……そんなに饒舌なあなたは初めてですね……。楽しめているようで何よりです。


 まあ、そのぶんこちらがいろいろと背負っているわけですが。










――。









 失礼。社長がさみし気にこちらを覗いておりましたので。

 

 我々はこれから高速船で帰ります。


 『対象ルナ』に関してはリディア様の情報のほうが有力なので、東方調査団はそのまま療養が終われば母星に帰還。他の調査団は『対象ルナ』の捜索はとりあえず打ち切り、別の『兄弟』の捜索に向かうでしょうね。


 あとは『対象ルナ』が無事にルーシャに着くことを祈りましょう。




 それでは母星で。それまで健やかにお過ごしください。」


 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る