春もうららに

 まだまだ全然、ホラー系YouTubeを漁っています。なおついさっき見たホラーは、「お前を窓の外から見てるぞ……」って言いながら最終的にiPadの中から出てくるやつでした。ダメだよ、お約束を自分から破っちゃ。出てくるにしてもせめてパソコンから出てきてくれよ。Windowsってね


 さて。


 春もうららか、春眠暁を覚えず。気持ちの良い季節となってきました。

 武士も、ふとした瞬間にうとうとしています。こんな時に背後から忍びが来ようものなら大変ですよ。斬られたことにも気づかないかもしれない。


 桜でも見に行くか?


「ぬぅん。また来年にしようぞ……」


 来年ってお前。まだまだいる気じゃん。


「世の中に〜たえて桜のなかりせば〜」


 お、何いきなり。


「春の心はのどけからまし〜」


 短歌?


「在原業平である」


 ああ、その名前は知ってる。平安時代のプレイボーイだっけ。言われてみれば聞いたことある歌だな。


「もしもこの世に桜がなければ、みんな心穏やかに過ごせたというのに」


 なんだっけ、人って桜が咲き始めたといってはソワソワして、散り始めたといってはションボリしたりするよね〜って話か。一理ある。毎年「花見しなきゃ……!」って焦ってるもんな。


「そう焦らずともよいのだ。桜とはふいに目にして『ああ、良いな』としんみりするところに心があるのだ」


 そうかもな。


「ゆえに今年はYouTubeでいいのだ」


 心とは。


「ぬおー! おすすめ動画にげに恐ろしきものが!」


 あ、ごめん。ログアウトしてなかった。

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