お花見行ったよ

 体調は相変わらずよろしくないのですが、まあ家にいてもしんどいねってことで武士と外出してました。

 花見です。いつだったか、花見未遂かました場所です。案外穴場だったのか若干散りかけてたからか知りませんが、それほど人が多くなかったのが幸い。


「どーなつ太郎殿!」


 ミスタ◯ドーナツのことです。和名にすな。

 おにぎり作る余裕が無かったので、武士が買ってきてくれました。桜見ながら食べようってことで。


「食べて良いか!? 食べて良いか!?」


 桜を見ろ!! ほんとお前は典型的な花より団子だなぁ!!


「……」


 見てる。それはそれはじーっと桜を見てる。


「見たぞ! では某は桜色のぽんで!」


 ソシャゲのログインボーナスぐらいのノリで桜を見るんじゃない。まあいいや、ストロベリー味のやつね。私は抹茶のにしよう。期間限定のやつ。

 で、二人並んで青いベンチに並んで座るわけである。この声が枯れるぐらい君に言うべきことは無いわけだけど。うん? このネタ通じるかな?


「良い天気である!」


 腹が減っていたのかあっという間に一個目を平らげ、二個目のぽんでを手にした武士が笑う。


「桜もよく映えることよ!」


 雲一つ無い青い空に桜が広がって、まさに春爛漫。ぽかぽかと暖かく、たまに頬を撫でる風が心地よい。

 でも抹茶のドーナツが信じられない美味しくて、もうそっちに気がいってる。これもう一個食べたいな。いや二個目は体調的にキツイかな。いいわ、いったれ。


「それは某の!」


 クソッ、気づかれた!


 気づかれたので、また今度買いに行こうと思います。抹茶好きの人いたら、みんな食べるといいよ。あれ美味しい。


 んでまあ、桜をぼーっと見ていたわけですが。体は大人、頭脳は子供の武士は、早くも飽きたのか地面に這いつくばっていた。

 何してんの?


「幸運を探しておる」


 幸運? ……あ、クローバーのことか。そういやいつだったかお前に教えたね。四葉のクローバーを見つけたら幸せになるって。


「大家殿も探せ。そのゼェゼェも治るかもしれん」


 だいぶマシにはなってきてるよ。でも、うん、いいか。たまには童心にかえっても。


「うむ! それでは早速……お、これは四つ葉では!?」


 どれどれ? ……あー、残念、三つ葉だな。


「別の三つ葉と重なっておったのか。これはしたり」


 他には……んー、無いねぇ。こんだけあったら一枚ぐらい見つかりそうなもんだけど。


「ぬ!」


 おや、あった?


「いや、テントウムシ!」


 テントウムシかい。


「ツヤツヤのピカピカだ。愛い」


 踏み潰さんように気をつけないとだな。……しかし、一向に見つかんないな。あれか、やっぱラッキーに出会うのはなかなか難しいってことか。


「テントウムシに出会えたのは、らっきーといえばらっきーである!」


 さては四つ葉のクローバーが無くても勝手に幸せになれるタイプの方ですね?

 そんな花見でした。武士はテントウムシを連れて帰ろうとしましたが、テントウムシ側は都合が悪かったようで見事逃げられてました。


「また来年も来ようぞ!」


 だからお前、来年もいるつもりでいるのやめろって!

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