治ったら桜を

 ワクチン三回目打ったじゃないですか。それはいいんです。熱は出たけど、ぶっちゃけ一番副反応は軽かった。

 入れ替わりに、風邪ひきまして。

 元々若干軽めの喘息患ってるのが、まあ良くない方に出まして。


 引き続き体調芳しくなく、今に至ります。咳がやめられない、止まらない。あと常に体が重くて怠い。


「桜が咲いたというのに!」


 そしてちょんまげに花びらつけて帰ってきたのは、同居人の武士である。


「ゲホゲホゴホ」


 なお軽くで済んだが、しっかり私の風邪も移っていた。家で大人しくしてなさいよ……。


「だって暇である!」


 わからんでもないけど。

 外は穏やかな陽気で、春の様相。じっとしていろと言うほうが酷というものか。


「ほれ見ろ、この見事な桜を。げに美しきものだろう?」


 武士がベッドで寝てた私の元に来て、スマホで撮った写真をかざしてくる。青空を背景を塗り潰すようにして、薄桃色の花が咲き乱れていた。


「人の通らぬ場所にひっそりと咲いておってな。大家殿の体が良くなったら、ぜひ行ってみてみようぞ」


 そうだね。その時はおにぎりでも持ってくか。


「うむ、早く治すがいいゲホゴホ」


 お前もね。つーか、あんま人の多い所行くなよ? 他の人に移すのは勿論、新しい風邪貰ってきたら大変だから。


「ふふん、心配無用! 何せ某、忍もかくやというほど身を隠しながら向かったからな。誰も某がおったことに気づいておらぬだろう!」


 ちょっとツイ○ターで検索かけたら、二十分前にお前のちょんまげが写ってる写真と一緒に「武士いて草」って投稿されてたけど。


「許可した覚え無し!」


 投稿者のネットマナーとお前の隠密スキルの低さ、どっちから責めるべきか。


「某悪くないのに!」


 何はともあれ、早く治ってくれるといいなぁ。桜を見に行きたい。

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