ぴくの民

 寒いですね。ところで最近ピクミンをやってます。あのスマートフォンアプリの、歩いたらピクミンがついてくるやつ。慢性的な運動不足の解消になるかなと思い、インストールしてみたのですが。

 私より武士がノリノリですね。知ってた。


「大家殿、よくぞお戻りなすった! ではこれより新しきぴくの民(たみ)を探しに行こう!」


 ピク民ってそういう意味じゃないのよ。いや実際そうなのかもだけど。

 つーかやーめーてーよー。寒いのよー。疲れた体に寒空散歩はキツいのよー。


「今宵は鍋にしよう!!」


 それは大賛成だけどさ。でもやっぱピクミンするなら一人で行っておいで。スマホホ貸してやっから。


「断る。某が迷子になったらどうする」


 迷子にならない範囲でピクってくれよ。地図もあるんだし。


「ぬー! 大家殿は住んでおる街を花でいっぱいにしたいとは思わんのか!」


 ピクミンブルームでは歩いた場所にお花を植えることができ、周囲がとってもフラワリーなことになります。

 でも別に現実世界に反映されるわけじゃありません。そこにあるのはいつもと変わらぬコンクリートジャングルだ。悲しいね。

 よし、そんなお前にいいもん教えてやる。「ピクミンショートムービー」ってYouTubeで検索かけてみ。


「ぬ、ぬ。ぴくみんしょーとむーびー」


 音声検索機能もしっかり使いこなす武士である。

 そしてそれから一時間弱、武士はみっちりピクミンのアニメを見ていたのであった。私はその間に休息を取り、鍋を作った。


「ぬうううっ! ぴくの民ーーーっ!!」


 お、三話のあの部分だな。うんうん、楽しそうで何よりだ。

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