ただの農民ですが最強魔法使いなので杖代わりのクワで無双します・後編

「むむう、ここが魔王城か!!」


 そして、私と武士は魔王城に到着した。

 あれ、ブラッディブラックドラゴンは?


「ブラブラドラゴンは無事倒された! その結果大いなる強さを知らしめた我らは、世界中の人々から涙ながらに懇願されとうとう魔王討伐へと向かったのである!」


 ある! じゃねぇよ。ギャグ小説にありがちな過程ぶっ飛ばしをするんじゃない。

 そんでブラブラドラゴンとか言うな。空気壊れるだろ。


「ははは、農民が何を」


 お? バカにしました? 今農民バカにしました? 何、違うと。私という個人をバカにしたと。よっしゃ呪われしクワで爆発四散させてやる、そこに座れや武士。


「とにかく、魔王である」


 魔王っすね。あー、やだなぁ。私絶対恨まれてると思うもん。


「何故」


 いや……だって向かってくる敵向かってくる敵、片っ端から肉片にしちゃったからさ。もう私の意思とは無関係でクワが爆発するもんだから。

 どんな上司だって部下爆発させられたら嫌じゃん? 絶対集中的に狙われるよ、私。


「それはありがたいな!」


 そりゃ同行するお前にとってはな。ここで息の根を止めてやろうか。


「さて、鬼退治と行くでござる!」


 魔王退治ね。まあお前にとっちゃどっちも一緒か。へいへい、行きましょう。






 結論から述べると、魔王は滅びた。


「ぬうううっ! 脳天延髄斬り!!」

「ぬわーっ! 大家殿! 援護を頼む! 援護ーっ!!」

「ぬおおおおっ! 流石大家殿の呪われた装備である! 敵がめったんめったんになったぞ!」

「鬼よ、これに懲りたらもう悪さは……のわーっ! 某宙ぶらりんにされてしもうた! 大家殿! 大家殿ーっ!!」

「大家殿ーっ!!」


 ……どんな状況でどんな風に私が活躍したかは、上記の武士の様子で察していただきたい。なんだアイツ。いい装備つけてなかったら秒でやられてたぞ。

 そういうわけで、魔王は呪いの装備によって爆死しました。可哀想に。生まれ変わったらもう少しいい死に方してくれよ。


 そして、世界に平和が訪れたのである。


 ……。


 ……え、まだ終わんないの?


 嘘だろ? 書く所は一通り書いたぞ? あとはまあ、魔王が滅びて宴会状態になった街で武士がしこたま酒飲んでベロベロになったとか、武士が奇妙な踊りを踊り始めて見てた住民のMP根こそぎ奪ってたとか、実は呪われてたのはクワだけじゃなく農民の服もだったとか、色々あったけど。

 ともあれエイプリルフールも終わったわけですし、同時にこの時点で一年の四分の一が過ぎたわけですし。皆様におかれましては引き続きこの「武士がいる」をよろしくお願い賜りたい所存です。


 以上! うん、まとまった! 次回からはいつも通りの「武士がいる」です。

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