武士が踊る
武士は、踊るのが好きである。
別に上手いわけではないが。
「おお大家殿! 夕餉はおむらいすか!! 某、これは喜びの舞を踊らねばなるまいな!」
そう言い、足と腕をフリフリして踊るのである。ウザいし埃が舞うのでやめて欲しいが、「これは我が家一子相伝の舞」とか言って踊り続けるのだ。
その割には同じものみたことないけどな!!
お気に入りのコップ(ミッフィーちゃん)を割ってしまった時も、酷かった。しばらく台所に突っ伏していたので眺めていたら、次第にフリフリ尻を振り始めた。
そして飛び上がると、節をつけながら拳を床に向かって放ち始めたのである。
「しかし左様なことなぞ関係あらぬ!! しかし左様なことなぞ関係あらぬ!!」
元ネタは小島よしおかな。
「うむ! オカピー!」
オッパッピーだよ。オーシャンパシフィックピースだよ。
オカピーだと、当初はシマウマだと思われたけれどキリンの仲間だった縞模様の美しい動物になるよ。
コイツ、私が思うよりアホなのかもしれんな。
しかし長く続いた外出自粛期間中、あまり武士が太った様子など見られなかった。
「ひとえに舞のおかげであるな! 大家殿もどうであるか!?」
体重計に乗って青ざめる私の隣で、武士は私の気持ちを代弁したという“悲しみの舞”を踊っている。放っといてほしいし、やはりウゼェなと私は思うのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます