ポッキー&プリッツの日

 ポッキー&プリッツの日である。


 は? ポッキーゲーム? 知らんわあんなん。

 どうでもいいけどWikipediaのポッキーゲームに関する参考画像ってなんで男同士なの? いや別に全然いいんだけど。


 とにかく、私にとってはポッキーとプリッツが安く手に入る日である。


 シェアハピ。


 というわけで、大量に買って帰ってきた。


「……」


 ……。


 武士も、大量に買っていた。


「はっぴぃはろいん」


 遅い遅いそれこの間やった。しかしつくづく日本ってイベントごとが好きだよねぇ。


「美味い。“ぽきー”の甘味もいいが、“ぷりつ”の味付けもいい」


 分かるー。どんどん手が伸びるよな。


 そうしてテレビを見ながらしばらく二人で食べ進めていると、突然武士に肩をたたかれた。

 何?


 振り返ると、武士が鼻の下にポッキーを当てていた。


「“鼻毛真拳継承者”」


 そういや「ボボボーボ・ボーボボ」読んでたなコイツ。

 食べ物で遊ぶんじゃない。


 ……。


「……大家殿、それは?」


 ……“すごく長いポッキーを右耳から左耳へ貫通させる人”。


「食べ物で遊ぶとは、なっとらんぞ大家殿」


 うるせぇわちょんまげ。

 どうせ今頃街中ではカップルがポッキーゲームにかこつけてイチャついてんだよ。イベントなんてそういうもんだ。ハロウィンは仮装してイチャつく日だし、クリスマスはプレゼント交換してイチャつく日だし、正月は鏡餅が


「大家殿、“針型手裏剣”」


 とめどない私の僻みを無視し、武士が指の間に数本のプリッツを挟んで言った。

 え? それそういう名前なの? かっけぇ。


 ……。

 プリッツを縦にして二本、それぞれを両手に持つ。


 “牢屋に閉じ込められた人”。


 開けてくれー! 私は無実なんだー!


「ははははははは!」


 笑い過ぎだろ!


 こうして、また夜は更けていく。

 到底食べ切れないはずの量のポッキー&プリッツであったが、匠(武士)の手により無事三日で姿を消すこととなったのだった。太れや。

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