パピコ
出勤する前に、武士に頼み事をした。
ピスタチオ味のパピコを買ってこいと。
なんでもとても美味しいらしい。私もピスタチオは好きだ。だけどそれがアイスとなるとどうだ。美味しいのかそれ。
美味しいらしい。
一つでも楽しみがあると、味気ない仕事も多少はワクワクするものだ。
そういうわけで、喜び勇んでアパートに帰ったのだが……。
ドアを開けて目にしたのは、パピコ(白桃味)をすすりよる武士の姿だった。
ピスタチオは?
「無かった」
無かったらしい。
「某もな、大家殿の喜ぶ顔が見たいと思い、店から店をハシゴしたのだぞ? どっこい、四つ巡っても一向に “ びすたつぃーお ” は見つからなんだよ」
つぃーお言うな。腹立つな。
「仕方がないから、桃と梨と葡萄を買ってきたのだ。ほれ、冷やき箱に入れておる。どんと食え」
いや、お前雪見だいふくも買ってんじゃん。何気無く手に取ると、パピコを咥えた武士が飛んできた。
「それは其のだ」
取らねぇよ。
つか、まだ食う気?
晩飯のうどんが入らないのではないかと危惧したが、杞憂であった。武士はよく食べるのである。
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