第2話 『お帰りなさいませお嬢様_本当のお嬢様』
私と優奈は連れ立って事務所のドアを開け一階中央ホールへと歩いて着ると
前を歩いていた優奈が振り向いて
「おねえちゃんお客様はよろしく~」
っと満面の笑顔で手を振った後自動演奏ピアノへと歩いてゆく優奈。
私は・・
即座に中央ホールの壁にかかった大型液晶画面に視線を移す。
現在出勤中のメイドさん達の顔写真が最上段に表在されている
その顔写真の下に接客中のテーブル番号が表示されていて、現在全員の顔写真の下に接客中のテーブル番号が表示されている。
『全員接客中で空き無しね・・』
と液晶大顔面を見ながら私は深~~いため息を付く。
火曜日は結構来客が少ない曜日なのに、最近火曜日も結構混み出しちゃった感じ・・
もう5人位、求人しなきゃ・・ダメ・・かな・・
そう思いながら、液晶大画面の空きテーブル情報を見る。
一階部分は全席埋まって空き席無し!!
2階部分は今の所2席だけ使用中か・・・
モニターで確認した時、女性客だったから2階のガーデンルームが良いかも!!
再度モニターを確認すると入口のドアを開け15~18歳位だろうと思われる腰まで有りそうな長い金色の髪にブルーの瞳をした真っ赤なワンピースを纏った少女がお店の中に入ってくるのが見えた。
私は早速エントランスに出向いて
「お帰りなさいませお嬢様」
そしてその後ろに付き添うように立っている初老の老人に気づいて
「お帰りなさいませご主人様」
と続けてと満面の笑顔でお出迎え!!
そんな私の姿を見て真っ赤なワンピース姿の少女は・・
『私の顔をみて・・・口を大きく開けたまま・・驚いたように身動き一つしなくなってしまっている?』
私は
「お嬢様・・?」
何で固まったのか解らずに、思わずその女性に声を掛けていた。
私の問いかけに・・
まだ・・
動けない女性
私は・・
再度
「お嬢様?どうかなされましたか?」
と少し下から見上げるように尋ねると
吃驚したように
「ひゃ・・ひゃひっ」
と変な声を上げる女性
あ~・・この人・・
「excuse me Can you speak Japanese」
こんな事になるなら私も英会話習っとけば良かったな~と悔やみながらも金色の髪を
した綺麗な女性に思いつく英語で聞いてみた。
すると
「ご・・ごめんなさい。日本語はちゃんと喋れます」
と流暢な日本語で喋りながらビックリしたように頭を下げてきてこっちが逆にビックリしちゃった。
ちゃんと私の英語でも通じたんだ・
そう思うと少し安心
「ここのメイド喫茶はロリータファッションで統一してるので普通のメイド喫茶と違ってますから、戸惑っちゃいましたか?」
と聞いてみると金髪の女性はとんでもない事を言い出した
「いえ・・凄く・・・綺麗な方でビックリしちゃって・見蕩れちゃって・・私・・動けませんでした」
という予想外の言葉に
「へっ・・」
っと突拍子もない声をあげていた私。
『綺麗な方?』
『見蕩れちゃった?』
『女同士で何?何?何?』
こ・・
こ・・
こ・・
これって噂の
『百合属性って奴~~~~?』
私は戸惑いながらも平静を装って
「あ・・ありがとう・・ございます・・そんな事言われたことも無かったのでビックリしちゃいました。申し訳ございません。
一階のほうは満席になっておりますので、2階のガーデンルームへご案内致しますので私の後に付いてきて頂けますか」
と言ってピアノを弾き始めた優奈の横を通って奥の螺旋階段を登ってゆく。
そんな優奈は階段を登ってゆく私に片手でピアノを弾きながらもう一方の手で私に手を振ってくれる。
『可愛い奴』
なんて思っていると片手で器用にピアノを弾きながら、ローアングルからのマサカの!!
『パンチラ写メ攻撃』
を繰り出してくる優奈!!
私はそんな優奈のパンチラ写メ攻撃に、反射的に思わずスカートの裾を両手で押さえてしまう私。
体が一瞬で熱くなる
多分・・
『おかげで私の顔はまっ髪染まってしまってるハズ』
私の横を歩いていた少女はそんな私を見てか?
『私と同じように真っ赤になっている・・・やっぱり百合なの?』
そんな感じで階段を昇り
2階部分に着くと、VIPルーム脇を真っ直ぐに進み奥の駐車場上の上に設置されたガーデンルームの一番奥の席に案内
白で統一されたガーデンルーム、その中で金色の長い髪をした真っ赤なワンピースの
彼女は絵画のように凄く綺麗。
思わず見蕩れてしまいそうになる私
そんな気持ちを胸の中にグッっと押さえ込んで
席の椅子を引いて金色の金色の髪をした女性を座らせたあと、初老の老人も同じよう
に対応する。
身の熟しからして、凄く良い所のお嬢様・・・みたい
そして初老の老人はお付の人みたいだ。
『じいや・・なんて呼ばれていそう・・・』
私は
「少々お待ちください」
と言って、ガーデンルーム脇に設置したカウンターへ小走りに走ってゆき、お絞りと
、水差しと可愛いガラス製のティーカップを用意してさいどお嬢様の所に戻って、ガ
ラスのお皿を置きその上に透明なティーカップを置いて金色の髪の女性とお付の初老
の男性に水を注そぐ。
金色の髪をした女性は水の注がれたティーカップを眺めながら
「ティーカップに浮かんでいる薄ピンク色をした一片の花びらは何なんでしょう?」
と不思議そうに聞きながらティーカップを持ち上げて顔を近づけている
私はそんな彼女に
「エアリアルの花びらです。いい香りとほんの少し甘味があります」
と返すと、香りを嗅ぐように、自分の鼻の前にティーカップを持ってゆき香りを嗅ぎ
ながら
「凄くいい香りがしますね」
と満面の笑顔で私を見つめてくる彼女
そしてティーカップに唇をつけて、ティーカップの水を優雅に味わうように口に含む
『本当のお嬢様だわ~この女性』
と思わず見蕩れちゃってた私
そんな私を彼女は横目でチラッとみて真っ赤に?
じっと見つめてた事に気がついて慌てて
「お嬢様今日のお食事はどういたしましょうか?今日のメニューはこれでございます
」
と言ってテーブルの上に置いてあるタブレットを操作して今日のメニューを表示させ
て2人にお見せする。
すると!!
「あの・・詩織様・・・この動画をみて来たのですけど・・私こんなふうに私の似顔
絵を書いて頂きたいのですが・・ダメでしょうか?」
とスマホの動画を見せながら懇願するよにブルーの大きなうるうるした瞳で訴えるよ
うに見つけてきている。
どうもこのお嬢様ネットに拡散した私のオムライスへの似顔絵動画を見たらしい。
私の前でスマホに表示された動画には・・
『メイド喫茶pleasure garden』って・・・
わたしこんなの知らな~~~い!!
誰が作ったの????こんなページ!!
それに!!
『誰が撮ったのこんな動画????』
どうもこの動画顧客さんが撮ったっぽい・・・
こんなに動揺してる場合じゃない!!
似顔絵サービスは予約受付しかしていない
それは・・
『私しか出来ないから』
何度かサービスでやっていたのだけれど・・
『似顔絵が似ていない!』
『似顔絵が下手!!』
そんな苦情が多くって、結局似顔絵サービスは私が専属で予約のみのサービスって事
になってしまったの。
『この子は私を詩織様って呼んでいた!!』
『なんで私の名前を知ってんの?』
『それに似顔絵サービスが予約のみってどうも知ってるっぽい・・・』
偶然にも私が接客してるから、似顔絵サービス出来なくはない・・・
「承知致しましたお嬢様」
と笑顔で金髪の女性に頭を下げると
「え・・本当に良いの?予約じゃないとダメって書いてあったから、ダメ元で聞いて
みたんだけど!!すごく嬉しい~」
「しかし似顔絵を書くとなるとオムライス、クレープ、ホールケーキのこの中からお
選び頂くことになりますが何にいたしましょうか?」
と言いながらタブレットに料理を表示させて2人に見えるようにタブレット画面を見
せる。
「じゃ~定番のオムライスでお願いします。爺やもそれで良いわよね?」
「はいお嬢様と同じでお願いします」
やはり・・
この人達って良い所のお嬢様と執事さん確定かなと確信
「お飲み物はこの中からお選び頂けますがどういたしましょう?」
そう言ってタブレットの画面に飲み物のページを表示させる。
すると幾つか並んだカフェラテアートを指さしながら
「カフェラテってこの他にも出来るんですか?」
ってワクワクした瞳で私に聞いてくる
「カフェラテアートは機械で作成しちゃいますから普通・・は・・・表示された物だ
けですね・・」
って答えておく。
カフェラテアートは簡単なものだったら此処のメイドさん達でも書き上げる事は出来
るけれど、もしも目の前で指定されたものを書いてってなると無理・・
時間さえかけていならある程度は書けるかもしれないけれど、お客様を接客しながら
数分で出すとなると無理!!・・・私は出来るけど、それは皆には求められないもの
!!
そんな私の心を金色の髪の女性は読んだのか
「普通はってって言いましたけど・・出来るんですね?」
と立ち上がった瞬間私の両手を掴んでうるうるしたブルーの大きな瞳で期待に満ちた
表情で聞いてくる。
『この人には敵わないな・・』
と思い
「お望みであれば・・・」
と言葉を濁しながらも答えると
「じゃ~飲み物はカフェラテでお願いします」
と言った瞬間ギュッと私の手を握ってきた彼女
そんな彼女の手をやんわりとすり抜けて
「ではお食事はオムライス2つ、カフェラテ2つので宜しいでしょうか?」
と最終確認
「はいそれでお願いします」
と金色の髪の女性の返答に、タブレットに注文を打ち込み完了させる。
それにしても・・
金色の髪の女性・・
私をじっと見つめて来てるのは何故?
『それに・・最初真っ白だった頬が殆ど真っ赤に染まってしまっている』
まさか・・
気がつかれちゃった?
そう思うと背中に嫌な汗が滲み出してくる
私は気づかれないように、テーブルの上に置いてあるランプに火を灯し
「このランプは虫除けの効果があります。この部屋は今お嬢様達以外おりませんのでガーデンルームの窓を開け放たれても構いません。
私は暫く用意して来ますので、少々お待ち頂けますか」
と言って一礼して階下に降りてゆくと
「今さっきのお客様、本当のお嬢様みたいよね」
とピアノを弾きながら優奈が私に呟いてくる
「あの方達、本当のお嬢様と執事さんみたいよ」
って優奈に囁くと
え・・本当に?冗談のつもりだったのに~」
優奈はちょっと驚いた風に私にそう言った後
「あのお嬢様昔のおねえちゃんと同じ感じがしたの。だから助けてあげてね」
意味深な微笑みを向けてくる。
そして・・
「頑張っておねえちゃん」
と親指を私に向かって立ててみせる優奈
そんな優奈に私は
「何を頑張るのよ?」
「色々と?」
と意味深に囁いてくる優奈
そんな優奈を見て
「はぁ~」
と深い溜息をつく私だった。
つづく・・・
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9月13日一部内容変更です。
ちょっとお話変わっちゃうかも
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