「凍てつく風よどうかどうか止んで②」
GM:所変わってトリア、シーリス、ミーアのそのころ。
港にたどり着くも、そこは、何もない、というのが正しい表現だった。
しけた海原、吹き付ける風と雪。あるはずの漁船は見る影もなく。
君たちはそこに立ち尽くしていた。
トリア:「…港がさびれるというのはあまり気分がいいものではないわね。」
ミーア:「わーーまっふぇ~~!」リトルクラーケンのゲソを噛みながら
シーリス:「この気候じゃ仕方ないわよねぇ…。」
ミーア:「どうしたの?てか、なにこれ!!なんにもない!」
トリア:「…さて。人通りも少ない…とりあえず探すだけ探そうかな。」
ミーア:「そのまえに…はいこれ!!」ゲソを二人のクチに放りこみます
シーリス:「うぐ、あ、ありがとうミーアいきなり放りこんでくるのはやめましょうね…びっくりしたわ…。」
GM:抜き足、そして差し足
トリア:「…。」むぐっ
ミーア:「えへへ~おいしいでしょ!」二人に
トリア:「……。」
ミーア:「さて!調査だったよね!人探そ~!」腕グルグル
トリア:「…そこの釣り人さん。ちょっといいですか?」ミーアを無視しつつ
釣り人:「…む…?見ない顔だな…。いや、どこかで…。なんでもない。他人の空似だろう。」
シーリス:「…あぁ…。」ついていく
釣り人:「どうかしたのか。お嬢ちゃんたち。」
ミーア:「こんにちは!!」
トリア:「…この気候についてとか。竜について。あとはこの街に10年前に来たイサラについて聞きたいのだけど。」
ミーア:「…って感じ!!」
シーリス:「少し時間をもらっても構わないかしら?」
釣り人:「ふむ、いいだろう。どうせ今日もシケた海じゃ何も釣れんからな。」
トリア:「ありがと。」
釣り人:「ヤツは10年ほど前に頭角を現した。ルーフェリア様の使いだとか、いろいろ噂されたもんさ。それは突然姿を現し、水害を起こしていた。それを討伐に来てくれたのが、イサラ・モルトだ。」
トリア:「ふむ…。」
釣り人:「自由都市連盟のハズレから来たと言っていたか。都市まではわからないが、夫婦で来たと言っていた。旦那のほうは、どうも影が薄かったが。」
トリア:「…でしょうね。」
釣り人:「造船技術を教える代わりに、工房を貸してくれと言ってきたよ。嫁さんが戦うための足場が必要なんだとさ。しばらく貸し与えたら、立派なガレオン船を作り上げて討伐に乗り出していった。」
トリア:「…なるほど。」
釣り人:「しかもそれを嫁さんの手伝いがあったものの、ほぼ一人で操舵していた。その姿に、俺たち水夫は光を見た。」
ミーア:「へえ~~!じゃあ、たったの二人で戦ったんだ!?」
トリア:「うん。あの操舵技術はなかなか真似できないよね…。」
シーリス:「それはすごいわねぇ…。」
釣り人:「あぁ、そうだ。そしてアイツらは、見事にヤツを倒した。倒したはずだった。なのに、”シュトラウト”は、最後の最期で、その巨体を、ガレオン船に落としやがったんだ。」
トリア:「…やっぱり凄い…まだまだ追いつけないな……シュトラウト?」
釣り人:「さしものガレオン船も、幻獣の巨体を支えるには心もとなかった。そのまま船はバラバラ。火薬に引火して爆発炎上。イサラさんは行方不明だ。」
トリア:「…なるほど。やっぱり海で足跡は途絶えてるのね…。」
釣り人:「詳しい話は、冒険者ギルドにでも聞けば資料は出てくるだろうさ。なにせ、討伐されたほうもした方も伝説級だからな。」
トリア:「ガレオン船…か。船を作る技術は教わってないからなぁ…」
シーリス:「爆発……。旦那さんも同じなのかしら?操縦されていたのよね…?」
釣り人:「……。」
トリア:「うん、ありがと。ギルドに資料があるのね。」
釣り人:「……グリード・モルトは、生きている。」
トリア:「…!?どこ!?どこにいるの!!」
釣り人:「ひっそりと、飲み屋で潰れている姿を仲間が見ている」
シーリス:「え、ええと、それはいつの話か分かるかしら?」
ミーア:「なんだー!生きてるんじゃん!会いに行こうよ!」
トリア:「…お父さん…!」
釣り人:「何!?あの夫婦の娘だと!?」
トリア:「…っ!」ダッシュで酒場に向かおうとしている
シーリス:「待ってトリアどの酒場かもいつ見かけられたのかもわからないでしょう?」
ミーア:「あっ待ってよー!」走ってついていく
釣り人:「無駄だろうがな。問いただそうと追いかけた仲間は、みんな途中で撒かれている。」
トリア:「……ん。そうね。なら釣り人さん。教えて。」
釣り人:「知らねえんだ。見たと言っていた仲間は、奴に船ごとやられたよ。」
ミーア:「奴って、新しい竜とかいうやつ?」
トリア:「…そっか。ごめんなさい。」
シーリス:「そう…。」
釣り人:「無理にでも漁をしねえと町が滅びると、大しけの海に漁船で飛び出したんだ。」
ミーア:「えー!じゃあ話きけないじゃん!!…他に知っている人はいないの??」
釣り人:「沖に出たところで、いきなり海の表面が凍り付いて、そのまま船ごと氷漬け、尻尾で竜骨ごと叩き割られて粉々だったよ。」
トリア:「……とりあえず冒険者ギルド。そのあと酒場…かな。なら色々準備しないと。」
釣り人:「これが、つい1~2か月まえのことだ。」
シーリス:「その、竜と出会った人で戻ってこれた人はいないのかしら…?」
釣り人:「出逢ってはいないが、遠目で見て、のこのこ生きている臆病者ならここにいるが。」
トリア:「臆病じゃないよ。生きるために必要なことをしただけなんだから。命あっての物種。だもんね。」
ミーア:「そうそう!生きてなきゃ、何にもなんないからね!!」
ミーア:「ね、ね、どんなんだったの??その海竜ってやつ!!」
釣り人:「ホエールのようでもあり、海獣のようでもあったが、ヒレと化した翼を持ち、翼と独立した鉤爪を持っていた。間違いなく竜種だ。」
トリア:「なるほど。…うん。いろいろありがと。おじさん。私はこれからお父さんを探して来るね。」
シーリス:「海流を見かけた日はこれくらいの気温だったのかしら?」
釣り人:「そうだな。いつも、奴が出てくるときは、冷え込んでいる。ちょうどこれくらいに…。」
シーリス:「海竜と寒波に関係があるって一部から言われているらしいのだけれど」
ミーア:「ねーねー、トリアのお父さん?…を知っている人たちは、本当にもう一人もいないの??」
釣り人:「ワシには、わからんよ。あの神出鬼没の男は…。……っ!!」
GM:その瞬間。海に渦が巻く。
水底へと続く深く冥い螺旋の中、引き裂いて「それ」は現れた。
シーリス:「…っ!」
トリア:「渦…?」
釣り人:「で、出たッ!!シュトラウトだ!!海竜だ!!」
ミーア:「何っ!?」飛びのく
シーリス:「あ、あれが…?!」
釣り人:「うああああああ!!お前たちも早く逃げろッ!!」
トリア:「……へぇ」
釣り人:老人は得物すらも蹴り飛ばし、防波堤の向こうへと逃げていった。
ジャック:「さて……迎えに来てみれば、いきなりお出ましか。」
ミーア:「うわあああ~おっきぃ……ねえ逃げよ!シーリス、トリア……トリア??」
シーリス:「……トリア!!」
アンナ:「トリアさん!!ミーア!シーリスさん!!」
シーリス:「アンナ!ジャックも!…海竜よ…!」
シーリス:魔物知識判定>成功
名称:”雹海竜”シュトラウト(ノーブルレインドラゴン)
モンスターレベル:17 分類:幻獣
知能:高い 知覚:魔法 反応:敵対的
言語:交易共通語 ドラゴン語 魔法文明語 生息地:海
知名度/弱点値:20/24 弱点:炎ダメージ+3
先制値:22 移動速度:30/50(水中)
生命抵抗力:24(31) 精神抵抗力:24(31)
特殊能力
●全身
〇自身が存在する半径20kmに渡り、大寒波を引き起こしアルコール度数20以下の液体は飲用不可になります
◯純エネルギー無効、水・氷属性無効
◯水中適性 このキャラクターは水中での行動にペナルティを受けません
▽ウエイトアクション
このキャラクターは戦闘開始時に後攻になった場合、主動作を「2回」行います。
▽ダイダルウエーブ
ラウンドの開始時に「射程:シーン」で「すべての対象」に「2D+20」点の水・氷属性魔法ダメージを与えます。この能力は行使回数ごとにダメージが10点ずつ増加します
●頭部
◯真悟魔法、妖精魔法(水・氷属性)レベル14/魔力20(27)
◯魔法適正
〆氷雪のブレス/19(26)/生命抵抗/半減
「射程50m」「形状:射撃」で「半径6m/20」の範囲に吹雪を吐き出し、「2D+20」点の水・氷属性魔法ダメージを与え、抵抗失敗した対象には続く1Rの間、命中、回避に-2のペナルティを与えます
●胴体
〆ワードブレイク
☆フリーズフィールド
「半径30m」の範囲に「行為判定-4」を与えるフィールドを展開します。この能力を使用すると[部位:胴体]のMPを20点消費し、効果範囲内の水原の表面に氷を張る。この効果範囲の船舶を航行不能にし、この氷は「足場」として利用可能です。この効果は戦闘開始直後に使用可能です。
◯攻撃障害=不可・なし 大きさが攻撃を妨げます
[部位:頭部]は、近接攻撃の対象になりません
[部位:胴体]のHPが0以下となった場合この能力は失われます。
●翼
□渾身攻撃
打撃点を+8します。同時に、自身の回避力に-3のペナルティを受けます。
◯飛翔
すべての部位は近接攻撃の命中、回避判定に+1のボーナスを得ます。
[部位:翼]のいずれかのHPが0以下になった場合この能力は失われます
●尻尾
□テイルスイーブ
自身の存在する乱戦エリア内の任意の5体までに、尻尾での攻撃を行います。この能力は連続した手番には行えません。
□竜骨割り
船舶に対し防護点無視で「100」点の物理ダメージを与えます。船舶に対する特殊な攻撃です。この能力を使用すると[部位:尻尾]のMPを10点消費します。
ジャック:「ノーブルか……。」
アンナ:「あ、あの…。これを、一人で倒した人が、いるんですか?」
トリア:「…勝ちの目はないか。お母さんの強さがわかるけど。…さて。」
ミーア:先制判定>成功
GM:戦闘開始と同時に特殊能力【フリーズフィールド】による大寒波が君たちを襲う。
末端から凍りつく肉体。君たちの体は動かなくなっていく。
連なる攻撃に耐えきれないと判断し、君たちは逃げの一手を選択するのだった。
ジャック:「次はこれ+10の攻撃が来るぞ…!」
ミーア:「びえええええええさむいーーーー!!」
トリア:「……は?え?…これがなかったら私は戦えないよ?なんで?なんで凍って…?あぁ…おかあさんはこうやって…打開策は?…あるわけがない。私は…よわいんだから。あ…でもみんなは逃さないと。対策を立てなきゃ。」
ジャック:「さて……。これは……。撤退だ。」
トリア:「…私は使えない。ならできるのは…。」
シーリス:「トリア…?」
トリア:「そうか。囮か。いや。この戦場から全員で離脱することがまず必要だ。...いや。お母さんはどう攻略した…?…今は思考できる状況じゃない。お母さんの教えを思い出さなきゃ。」
ジャック:「ここは俺が引き付ける、皆は逃げろ。」
ミーア:「えっええっ!?どうするの??」
シーリス:「囮…?何を言ってるの…?」
アンナ:「馬鹿言わないでください!!受け止めるのなら私が…!!」
シーリス:「あのダメージ、軽減できるわけじゃないのでしょう?!」
トリア:「アンナは物理タンクとしては優秀。でも足りない。」
シーリス:「でも逃げながらじゃ回復が……!」
トリア:「ポーションが使えるならいくらでもやりようはあった。でも無理ならば逃げの一手。だね。」
ミーア:「みんなで逃げようよー!」
ジャック:「俺はここで一秒でも長く待たせるさ。」
ミーア:「えぇー……。」
ジャック:「皆もそうだが、住民の避難の時間を一瞬でも稼がないとだめだ。」
ミーア:「わかったよぅ……じゃあ、何とかして近づいて、斬ってみるね。」
シーリス:「ええ、それに、回復しないともう一度だって持たないでしょう?」
ジャック:「逃げろと言ってるんだが?」
ミーア:「ヤだよ!!」
シーリス:「知ってるわよ。」
ミーア:「ジャックが残るんならあたしも残る!」
アンナ:「逃げて逃げられる敏捷なら、今にでも手を引いて駆け出してますよ。」
トリア:「…少しでも時間を稼ぐなら…シーリスがタフネス2。ミーアは馬を出して逃げる準備。アンナは回復しつつ少しずつ後方に。私は…できることはない…訳でもないか。」
ジャック:「はぁ……。ならやろう……。蛮勇ここに極まれり、だが、時間を稼ぐぞ。」
アンナ:「ならば…。稼ぎましょう。時間を…。可能性を少しでも稼ぎましょう。」
トリア:「かと言ってヒルスプの残量は少ない。しかも回復量は微々たるもの。でもやらなきゃ。」
ミーア:「うんっっ!!」
GM:戦闘開始。
シーリス:<怒濤の攻陣Ⅱ:旋風><バーチャルタフネスⅡ>
シーリス:妖精魔法行使>成功
ミーア:<レジストボム><オートガード><シャドウボディ>
ミーア:魔動機術行使>成功
アンナ:「フィールド・レジスト!!!」
アンナ:<フィールド・レジスト><ビートルスキン><ストロングブラッド>
アンナ:神聖魔法行使>成功
ジャック:<プロテクションⅡ><ストロングブラッド><スフィンクスノレッジ>
ジャック:真語魔法行使>成功
トリア:<ヒールスプレー>
トリア:賦術判定>成功
GM:直後、君たちを襲う魔法と高波に耐えようとするも、手も足も出ないのだった。
君たちはなすすべもなく気絶した。気絶する間際、街の中心からサイレンが鳴り響いていたのが聞こえたかもしれない。
ミーア:「がぼっ…。(くっ…ウッ…みん…な…)」
シーリス:「バイタ……フォ…………。」
アンナ:「(あぁ、無事に、避難、できただろうか…。)」
ジャック:「あぁ……。まだ……。まだ……。」
トリア:「……。(お母さん。お父さん。お姉ちゃん。…みんな…ごめんね)」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます