第7話「凍てつく風よどうかどうか止んで」
「凍てつく風よどうかどうか止んで①」
???:「これが最後の仕事。終わったら、お土産買ってすぐ帰るからね。トリア…。」
GM:前回から約2か月ほどたったころ。レベルが上がってきた君たちだが。生活には問題ない程度に稼げるものの、練度の上昇に伴い入ってくる仕事の件数も減っていた。
それだけ多少は平和ということなので、文句のつけようもないのが真実ではあるが。
ところでザルツ地方は極めて四季がはっきりしており、今の季節はというと。
寒空の下、乾いた風の吹く冬となった。
リネルネ:「ふん、ふん♪」
店主は鼻歌交じりに鍋をコトコト煮込み、食事の仕込みをしている。
妙に時間を気にするその様子は、なにかを待っているように感じられた。
リネルネ:「リオスから来た商人からタタミとヒバチっていう家具のセットを買ったのよ。なんでも、極東の家具なのだけど、手触りと香りが良くてね。草で編まれた床なんですって。」
GM:ミーアは聞いたことがないはずの暖房器具の暖かそうな響きにピクン、と耳を動かしつつ、ぐいーっと伸びを決め込んでいる。
リネルネ:「コタツ、っていう寝具とセットになったローテーブルもあるらしいんだけど、テーブルはもういいかしらって。そこの何もない一画に敷こうかと思ってね。でも、そろそろ届く予定なのだけど…遅いわねえって思ってたのよ。」
アンナ:「絵や写真はないんですか?」
リネルネ:「こんな感じよ。ほら。」カタログぴらー
ジャック:「こたつか、ローテーブルはありがたいんだがなぁ」
トリア:「へぇ。そうなの?楽しみね。」
GM:そんな話を聞きつけたか、トリアがこつこつと木の板を叩く音と共に竜牙の矢を携えつつ降りてくる。
GM:各々、未知の暖房器具に興味を示す。
体の小さいジャックや記憶のないアンナ。そもそも猫であるミーア。
その中で全く別のものに興味を示すものが約一名わなわなと身を震わせていた。
シーリス:「ト、トリア……もしかしてそれは………!」
トリア:「あ、シーリス。できたわよ。」
GM:トリアの手には竜牙の矢が携えられていた。
ドラゴンの牙を材料に造られたエンチャントアロー。
その矢は炎を纏い射線上の全てを貫き、また頑丈で何度でも使えるという。
シーリス:「これが……あの噂の………!!」
ミーア:「ねえ~~~!まだ?まだ!?届かないの~?」
リネルネ:「リオスの飛空艇で、一度ロシレッタに。そこから陸路と運河を利用した水路で届くらしいのだけど…。うーん。」
シーリス:「ありがとう、大事に撃つわ。」
トリア:「ん。大事に使ってちょうだい。」
GM:そんな折、ドアのベルがなる。残念ながら荷物ではなく定期購読の新聞が届くのだった。
リネルネ:「ん、受け取ってくれるかしら。」
トリア:「行ってくるわね」
リネルネ:「ありがと、さて、何かニュースはあるかしら…あら?」
GM:受け取ったリネルネは目線を走らせる。
トリア:「何か面白いニュースでもあったの?」
ジャック:「……。」一服しながら新聞的なのを読んでる
リネルネ:「ちょっと…なんてことなの…。ねえ見て頂戴これ…!」
GM:彼女は紅茶を片手に眉をひそめて君たちに見せてくる。
シーリス:「えっと、どうしたのかしら?」
トリア:「どれどれ?」
GM:リーネが見せてくれた文面はこんな感じだ。
『リオスからの輸送飛空艇、ロシレッタにて寒波にて浮力保てず。着陸失敗の懸念のためリオスに引き返す。』
ジャック:「まあ冬だからなぁ……。」
シーリス:「あら…」
トリア:「あらら…。」
GM:『ロシレッタ近海にて謎の巨影観測。寒波との関係騒がれる。』という小さな文面だ。
よほど楽しみにしていたのだろうか、リーネは泣きそうな顔をしている。
しかし、泣きそうなリーネの他にもう一人。もう一人だが。一瞬だけであったがその刹那。
ロシレッタと聞いて、いつもの微笑みが維持出来なかったものがいた。
ロシレッタの寒波の理由と、巨影に、心当たりがあったものがいた。
トリア:「……。」
ジャック:「さて、遠出の準備をするか……。」
ミーア:「なに?遠くに行くの!?」
GM:かつて、冒険者がいた。
それは豪胆にして錬体の妙。薬品学の達人にして、超一流の航海士。
かつてロシレッタ近郊で活躍し、あの海賊妃ドルネシアと並び立つとまで言われた女性が。
その冒険者は、最高の技術をもって、戦闘技術の粋に至った。
GM:彼女は根無し草であったが、もし組むことができたのなら生涯に残るほどの活躍を約束されたという。
しかし、第一児の出産に伴い、一線を退いたと伝わっている。
GM:育児に専念する最中、ロシレッタを脅かす存在が現れた。
それは、雹海竜と呼ばれる、翼をヒレのように進化させ、水棲能力を持った珍しいドラゴンだという。
その吐息は海を凍り付かせ、尾の一撃は船の竜骨を叩き割り、輸送船の航行を阻止していた。
冒険者は、最後の仕事として、かの竜の討伐を請け負った。
そして彼女は、愛娘の前から姿を消した。
その冒険者の名は「イサラ・モルト」――。
GM:トリアの脳裏には、母親の最後の「いってきます」が響く。
GM:そんなはずは、ない。
あの竜は、母親が討伐したはずだ。
母が、討ち取ったから、ずっとロシレッタの海は平穏だったのだ。
それでもおかしい。あの竜は海の表面こそ凍らせる力があったものの、大寒波を起こして遠く離れた地まで飛空艇の運航にまで障害を与えるほどの力があっただろうか。
そんなはずはない。母が、討ち取られた?ありえない。
生きている。生きていなければ、私は何のために、何のためにここまで…。
確かめに行きたいとはやる気持ちを抑え、努めていつも通りを演じるトリア。
「いつもどおり」を心に、君は話すのだろう。
リネルネ:「ねー、ちょっとロシレッタまで行ってきてよ!この間の件もあるし、ドゥ・ロー・ブリュレの動向も見てきて頂戴。食費と交通費?いいわよ出してあげるから!!最近はそこそこ稼ぎが出てきたんだから!」
シーリス:「あら、ずいぶんと安定してきたのねぇ。なんだか嬉しいわ」
トリア:「了解。行ってくるわね。」
リネルネ:「あ、寒いかもしれないから、防寒着用意していくのよ!」
ミーア:「えぇ’’~…寒いのヤダ~…」
シーリス:「あ、そういえば丁度いいわ。渡したいものがあるのよ、ちょっと待っててちょうだい。」
GM:シーリスはぱたぱたと部屋に行ったようだ。扉を2回開閉した音がして、また戻ってくる足音がする。
アンナ:「おや、なんでしょうね。」
シーリス:「ふふふふ……この間アンナが贈り物欲しいって言っていたでしょう?そろそろ寒いし作ってみたのよ。」
GM:ミーアは床にあぐらかいて、尻尾を左右の床にびたんびたん。超★耳垂れさがりで不機嫌そうなのを隠そうとしない。
シーリス:「はいこれ、アンナね。」
アンナ:「これは…腹巻ですね!」
GM:パステルカラーの紫地に白で模様と隅にアンナの銘が入っている。
トリア:「あったかいはあったかいでしょうね…。」
アンナ:「ありがたいです、どうしても冬は鎧は冷たくなってしまうので。」
シーリス:「それではいこれはトリアの分、これはジャックで、これはミーアよ。」
トリア:「うん。まあもらっておくわ。」
ミーア:「えっ!なになに!くれるの??」
シーリス:「ちなみにこれは自分用よ。」
トリア:「ん。いいんじゃない?」
シーリス:ミーアはパステルオレンジ、トリアは水色、ジャックはグレー、私はパステルグリーン、模様は全員白で名前入り!
ミーア:「わーい!!もふもふ!」
アンナ:「うれしいです、でもあんまり使えませんね…。鎧の下なのであまり見えないですけど、実はよく出血してるんですよ。赤く染めてしまいそうで。」
シーリス:「あー…えっと、その、まあその時はまた作ってあげるわ……。まああれよ、寝るときにでも使ってちょうだい。寝るときお腹冷やしたら風邪ひくわよ。」
トリア:「ん。心配ありがと。その時は作るの手伝いましょうか?」
アンナ:「ふふ、期待しないで待ってますね。」出来栄えをみて
シーリス:「結構楽しかったから負担ではないけれどあなたがやったらプロみたいなのできそうね…。」遠い目
トリア:「まぁ…物作りはなれてるからね。機能性重視にはどうしてもなってしまうけど。……じゃ、準備できたし行きましょう。」
GM:雪が降るかどうか、という季節。
紅葉が少しづつ落ち始め、舗装された道を彩る。はずだった。
ところが、ロシレッタに近づくにつれて気温はみるみる下がっていき、息が凍るほどになっていた。
前述の景色はフェンディルの手前まで。それ以降の道はめっきり真冬に突入していた。
エルフの里で補修してもらった馬車でなければ、すでに凍えてしまっていただろう。
すでに馬車の外の気温は0度前後。氷点下にも達そうとしている。ジャックの髭はすでにパキパキと小気味良い音をたてている。
シーリス:「え、時間転移してないかしら?この場所。火の精霊と契約しようかしら……。」
アンナ:「冷えますね…。」
トリア:「……。」
ジャック:「冬毛に生え変わるのが間に合ってよかった。」
シーリス:「あなた温かそうでいいわね…。」
アンナ:「……ダメですね、馬の調子が上がりません。ここで休みましょう。」
シーリス:「そうね。」
ジャック:「夏は不便だが冬はいいぞ。」
ミーア:「うぅ~…寒いぃ~…。」ガタガタ
アンナ:「ていうか、御者台吹き曝しなんで寒いんですけど!ミーア変わってくださいよ!!」
ミーア:「ヤ!!」
アンナ:「どちらにしても夜の半分は外に出なきゃいけないんですからね。」
トリア:「あなたたちがやるより乗り心地は悪くなるでしょうけど私がやりましょうか?」
ジャック:「唯一の本職なんだがなぁ。」
ミーア:「へくちっ。」
アンナ:「冗談です。馬も限界ですから、どちらにしてもここで休みます。」
ジャック:「ただ進ませる程度なら俺がやろう、寒いのは得意だ。」
ミーア:「あ〜ん!まってまって!」
アンナ:「しばらくは道のりなので、道も整備されているはずです。雪でがたついてますけど。」
シーリス:「よく進んでくれてるわねぇ…改装してもらっていて良かったわ。」
アンナ:「とりあえず食事にしましょう。もうすぐ夜になります。暗くなる前に。」
トリア:「ん。そうね。」
シーリス:「ええ、……これ火つくかしら……。」
アンナ:「一応マスターから食料などは頂いてきていますので、調理してしまいましょうか。」
トリア:「保存食でよくない?」
アンナ:「外で火を起こす必要はあるんですけどね。」
シーリス:「だめよ今は調理も出来るんだから。せめてスープだけでも飲んでちょうだい。」
ジャック:「暖かいスープにしてしまおう。」
アンナ:「あぁ、トリアさん。保存食をそのまま…。胃を痛めますよ。」
トリア:「別に大丈夫だと思うけど。でもまあ火が起こせるならやったほうがいいか…。」
アンナ:「雪濠でも掘ったほうが暖かそうですね。」
ジャック:「火おこしなら任せろ。」シュポ
アンナ:「はい、薪を…。」
シーリス:「お鍋食べたいわ…………。」外出たら寒くて遠い目
アンナ:「あら…?」
GM:アンナがいつも通りに周囲から枯れ木などを集めようとしたが、探しても枯れ木の一本もないことに気づくだろう。
ジャック:「枯れ木もないか…。」
トリア:「面倒ね。」
シーリス:「なん…てこと…お鍋…」
アンナ:「仕方ありません…。松明とオイルで行きましょう。」
ミーア:「ね~~、まだ~~~??」
シーリス:「そうね…。」
ジャック:「まあ仕方あるまい。」
GM:アンナが手早く冒険者セットから3本取り出し、慣れた手付きで陣を組み、ランタン用のオイルを少量たらす。
アンナ:「一晩ならこれで大丈夫でしょう。」
トリア:「やっぱり冒険者セットって万能よね……。」
ジャック:「…どれ。」迅速なる火縄壺で火をつけタバコにもついでに着火
アンナ:「マスターからもらった食料で作ったスープです。温まってください。…とはいえ、煮込んだだけですけど。」
ジャック:「冷えた空気の中で吸うタバコは美味いな。」
シーリス:「あったかいわ…あったかい……。」
トリア:「身体の芯から温まる必要も…あるわね。」
アンナ:「唐辛子もいいんですけどね。唐辛子系の香辛料は体を温めてくれます。」
トリア:「私は入れてもらっても構わないわ。」
ジャック:「軽く入れる程度ならいいんだがなぁ。」思いだすはヒートメタル
アンナ:「では数本を刻んで…、種は辛みが強すぎるので抜いて、発汗しすぎると体温と体力を奪われるので、控えめで。」
ジャック:「ふぅ……。」ちゃんとした処理をしている姿をみて一安心
アンナ:「辛いのは嫌いではありませんが、底なしではないので…。」
トリア:「……。」もくもく
アンナ:「トリアさんはお気に召されないかもしれませんけど…?」
トリア:「…?きちんと動けるエネルギーになればどんなものでも一緒じゃない?まああのバケモノ食材はどうかと思うけど。」
アンナ:「それは、はい。同感ですが…。」
シーリス:「それは…その…えっと…。」
ジャック:「ふむ、冒険者飯であるなら同感だが……。トリアにアンナ、今度一緒にディナーを楽しみに行こうか。」
トリア:「今回の目的は身体を温めて身体に栄養を渡らせることでしょう?好みなんて任務中には言わないわ。…でもまぁ、連れて行ってくれるのであれば頂くけど。」
シーリス:「でも美味しいものを食べるのは大事よ。」
アンナ:「殿方からお誘いいただけるなら断るのは失礼ですが、ジャックさんかぁ…。」
ジャック:「不服そうだなぁ?まあ楽しみにしておいてくれ。」
アンナ:「期待しないでお待ちしていますね。」
トリア:「別に美味しい料理が嫌いなわけじゃない…けどそこに金銭を使うのはどうだろう?と思ってるだけ。けどまあパーティーメンバーとの交流という点で楽しみにするわね。」
ジャック:「さて、じゃあ今日は俺と組むかトリア。」
ミーア:「えっえっ。」
トリア:「ん。了解。久々に…でもないか」
GM:はふはふもくもくガツガツと食べていたら会話に置いて行かれたミーアが気がつけば、夜警の組み合わせが決定していた。
アンナ:「ではミーアとシーリスさんは私とですね。」
シーリス:「そうしましょうか。」
ミーア:「あ、うん。」
アンナ:「ではどちらが先に見張りに立ちますか?」
ジャック:「夜中は冷え込むからな、ミーアたちが最初がいいだろう。」
トリア:「どっちでも大丈夫よ。」
ミーア:「いいよ!!」
シーリス:「わかったわ。」
アンナ:「わかりました。では寒いですから火にあたりましょう。」
トリア:「ん、じゃあおやすみ。」
シーリス:「……。」流れる動きで毛布にくるまる
アンナ:「この面子は、最近は道の真ん中で止まるということがあまりなかったので、夜警は久しぶりな感じがしますね。ルマ湖畔の一件以来ですかね。」
シーリス:「ああ、そういえば遠出は久しぶりね」
ジャック:「Zzz…」毛玉モードで仮眠
トリア:「……。」熱を逃がさないようにしながら眠る
シーリス:「ええと、まあ、あの時はいろいろあったわね、ええ…。」
アンナ:「ロシレッタには、何があるんでしょうね。トリアさん…。」
ミーア:「……。」カチーン
アンナ:「ミーア!?凍ってる凍ってる。寝たら死にますよ!」
シーリス:「えっ。」
ミーア:「ハッ!?うぅ…寒い……ちょっと身体動かしてくる……。」ブルルルル…
シーリス:「何かあったら呼ぶわね。」
ミーア:「うん…。」
アンナ:「それがいいかと。……それにしてもトリアさん、様子がおかしいんですよね。今朝から。」
シーリス:「…変だったわね、トリア。無理やり話しているみたいで。」
GM:しばらくすると、馬のめんどくさそうな声と、「やあ!」「とう!」という声、ビュンビュンうなる風切り音がBGMになる
アンナ:「表情は”いつも通り”を演出しているというか。張り付いた微笑みが逆に居たたまれなくて。発言もいつもなら言わないことまで説明口調で、どうも不自然で。……まるで自分は大丈夫だから、と誇示しているように見えて。」
シーリス:「あの子、話したがらなさそうよねぇ…何があったとしても。」
アンナ:「シーリスさんもですよ(小声」
シーリス:「きっとみんな同じようなものよ。分かってあげられればいいのだけれど…。」
アンナ:「私は、話せることがあるのなら、話したいと思います。皆さんになら。……ただ、私には今できること以上に語る言葉を持ちませんから…。」
シーリス:「……そう、ね……でも、だからこそ、もし話してくれることがあれば精一杯向き合いたいとは思ってるのよ、今は。」
アンナ:「それが、たとえ世界を掛けることになっても、ですか?私がもし、神族の端くれの何かでも…。」
シーリス:「私は自分が向き合うことができることに全力で向き合いたい、それだけよ。それに、アンナが何であろうと、アンナであることには変わらないのでしょう?」
アンナ:「ふふ、嬉しいです。……ええ、きっと変わりませんよ。私は、私です。」
シーリス:「もしも……いや、分からないけれど、もしもアンナがアンナでなくなってしまっても。今この時私たちと一緒にいるあなたは確実にいるもの。」
アンナ:「ふふ、わかりました。それは、期待しておきますね。……ただ、もし、私が私でなくなった時、私がシーリスさんに武器を向けたとき、その時は、シーリスさんに止めてほしい。」
シーリス:「……ねぇ。」
アンナ:「はい。」
シーリス:「それ、その後一緒にいられるかどうかは置いておくとして、あなたは生きていくつもりなのよね?」
アンナ:「何でですか?生きてないと、あなたたちを守れないじゃありませんか。」
シーリス:「あなた、時々危なっかしく見えるのよね。自分を大事にしていないみたいで」
アンナ:「…自分の価値が、わかりませんから。」
シーリス:「それこそ、……私に、息の根を止めろとでも言ってきそうなくらいに。何度でも言うけれど、私はアンナが好きよ。一緒に冒険してくれているみんなも。」
アンナ:「言ったとしても、その時は、私の最期のお願いです。」
シーリス:「最後のお願いだとしても聞かないわよそんなの」食い気味
アンナ:「ふふ、知ってます。だから。どうせ聞いてもらえない最後のお願いです。おしゃれじゃありませんか。聞いてもらえない、最後の願いなど。…儚くて。」
シーリス:「………はぁ…。えぇ、分かったわ。止めてあげるわよ。それでその後もまたみんなで生きて、笑って生きていくの。」
アンナ:「ええ、そうしましょう。そのほうが、きっと楽しいです。そろそろ時間ですね。交代しましょう。」
シーリス:「…ええ。」
ミーア:「ふぅ~っ!動いた動いたっ!」
アンナ:「お疲れ様です。汗はしっかり処置してくださいね。凍っちゃいますよ。」
ミーア:「はーい!」
アンナ:「て、ボーアですか。え、つまり妖魔が潜んでいるのでは…?」
ミーア:「あ!ゴブリンはちゃんと埋めてきたよ!」
アンナ:「ならおっけーです。寝ましょう。明日食べましょうね。」
ミーア:「うん!!」
GM:というわけで交代だ。
ミーア:「ねえトリアー!これ!!採って来たよ!」
シーリス:「あーーー寒かったわおやすみ。」
ジャック:「……っ。」毛玉モード解除
トリア:「…ん。そう。いい保存食になるわね。」
ミーア:「血抜きしといて~。」
トリア:「了解。」
アンナ:「明日はボタン鍋ですね。」
シーリス:「うん…?鍋………?」もぞもぞ
ジャック:「下処理もしないとなぁ……。」
アンナ:「では、あとはお願いします。」
トリア:「ある程度やっておくわ。」
シーリス:「……ちょっと……だれよキムチ鍋にしたの………。」寝言
ミーア:「わ~~ん、手入れはしなきゃ~…。」
GM:アンナは鎧を脱ぎ、毛布をかぶり、ミーアはデストロイヤーの血払いと手入れを済ませ眠る。
トリア:「おやすみ。」
ジャック:「あぁ、おやすみ。……さて、夜のやることが出来てしまったな。」
トリア:「ん。そうね。頼まれたしやっておくわ。」
ジャック:「俺も手伝おう。」
トリア:「そう?じゃあお願いするわ。」
ジャック:「……。」しばらくは黙々と作業をしておきます
トリア:「……。」特に語ることもなく黙々と作業をする
ジャック:「単純作業には慣れているだろうが……。少しは落ち着いたか?」
トリア:「ん?落ち着く…?なにが?何かおかしいところあったかしら…。」
ジャック:「自己管理が甘くなってるのに気づかないのはらしくないな。」
トリア:「…あー…そういう風に見えてるなら頭を冷やさなくっちゃ…。」
ジャック:「まあ冷やすついでに、何があったか聞かせてはもらえないか?」
トリア:「んー…なにが…か。私の旅の目的。それが近づいてる、それだけよ。浮き足立っているだけ、ごめんなさいね。」
ジャック:「目的か……。自分だけで解決することはお勧めしないぞ?俺が言えたことではないがな。」
トリア:「ん。でも解決は自分でできるわ。むしろ私だけで居たい…けど。心には留めておくわ。」
ジャック:「そうか、トリアがそうであると思うなら……。いいだろう、しっかりと見てくるがいい。だけどな。今のトリアの後ろにはパーティーがあるということは忘れるな?それだけ忘れなければやりたいようにするがいい。なにかあったら後で俺がなんとかしよう。」
GM:ジャックはそう言って小さな人形を渡す。
トリア:「……そうね…受け取っておくわ。」
ジャック:「まあお守りみたいなものだ、なくさないでくれよ?」と言いつつタバコに火をつけて話を終えます
トリア:「ごめんなさい。パーティーにあまり負担はかけたくない…なんて、そうも思ってるから…。なくしはしないわ。……お守り…ね。」
ジャック:「道を決めるのは己自身、だからしっかりと見定めてくるがいい」詳細は分からないが、過去の何かで、本人の思考が盲目になる程度の事象ではあることを理解するのであった
トリア:「……。」
GM:お守りを見つつ、どこか焦点が合っていない。遠くを見ているようにじぃっと見ているトリアがそこにはいた
トリア:「…あぁ…そうだ、最低限見張りをこなさないと。考え事に浸りすぎるのもだめだからね。」とはいうもののどこか虚ろに警戒をしつつ
ジャック:「なに、尻ぬぐいは男の仕事だからな。」紫煙と共に小さなその一言は誰に聞かれることもなく虚空へと消えていく
ジャック:「そうだな、しっかり見張りをこなすとしよう。」最早このウサギの警戒網を抜けれる一般的な魔物はいないがそれでも万が一に備えるのである
トリア:「……。…朝ね。起こしましょう。出発の時間…ね。」
ジャック:「さあ時間だ」
トリア:「おはよ。朝よ。出発しましょう。」
GM:野営も終わり、ジャックとトリアはほかのメンツを起こす。
シーリス:「おはよう。」
アンナ:「朝食は取らないとだめですよ。せっかく食材を獲ってくれたことですし。」
ミーア:「ふぇあ~~もう朝~? 寒いよー?」
シーリス:「朝ごはんよ朝ごはん。」
トリア:「あぁ、確かに食べなきゃね。」
アンナ:「さすがに夜明けは冷えますね。」
ジャック:「出発はまだ先だぞトリア。」
アンナ:「昨日のスープの残りで煮込んでしまいましょう。」コトコト
シーリス:「……ミーア、ごはんよ……?」出てこないミーア見て
アンナ:「残りはそのまま小分けにして保存食にしましょう。」
ミーア:「うぅ~~分かったよぅ。」
トリア:「これと、これで、ここにこれがあって。」
ジャック:「…。」優雅にファミリアを撫でながら一服
ミーア:「!?」(何かを感じてバッと飛び起きる)
シーリス:「…火の精霊と契約するか迷うわね……。」
アンナ:「さて、食事も終えて、そろそろ行きましょうか。」
トリア:「ええ、行きましょう。」
GM:馬車は歩を進める。寒さのせいか心なしか速度はいつもよりも遅い気がする。
ロシレッタ目前、そして気温はマイナス20度近い。
空気が凍る。呼吸をすれば空気中の水分が凍る。
まばたきを数秒忘れたなら眼球の水分が凍る。あらゆる水分が凍りつき始めていた。
ジャックの持ち歩いている酒はともかく、水袋やトリアのポーションも、例外ではない気温になってきている。
アンナ:「……。見えてきました。」
トリア:「そうね。」
アンナ:「港湾都市、彩の街ロシレッタ。」
シーリス:「…手の感覚が無いわね」
GM:ロシレッタに到着、入国手続きをすませた君たちはまず宿を探すことになろう。しかし、どこの宿も声をそろえる。
燃料が底をついているのだと。
燃料、油、薪。おまけに寒波の影響で食料の不作。
重なる悲報にロシレッタの街全体の端々がすでに悲鳴を上げている状態だ。
おかげさまで宿泊料は、行動に制限がない限界の素泊まり1泊が200G。
アンナ:「200G…。いくつか周りましたが、このあたりが相場のようですね…。」
シーリス:「そうねぇ…。」
アンナ:「まだ何日滞在するかも確定していませんし、困りました…。」
ジャック:「なかなかに高額だな。」
ミーア:「はは早く泊まるとこ決めようよ~…。」
トリア:「……。」
GM:高すぎる宿代に難色を示す君たちであったが、不意に声をかけられる。
???:「イサラさん…?」
GM:その眼は、まっすぐトリアを見つめている。
安心と、疑問と、不安を照らす希望の光を見た眼をした女性がそこにいた。
防寒着に身を包んだ、壮齢の女性だ。
トリア:「……私はそのイサラではありません。」
???:「あぁ、失礼しました。ごめんなさい。恩人に、ちょっと似ていたもので…。旅のお方…?冒険者の方かしら?人違いをしてしまったお詫びに、温かいお茶でもいかがかしら?」
トリア:「…そう…ですか。イサラさんとはどんな関係で?」
???:「…!イサラさんを、知っているんですか…?まさか、あなたは…。あなたのお名前を、聞いてもいいかしら…!」
トリア:「…トリア。イサラ・モルトの娘…です」
???:「あぁ、やっぱりそうじゃないかと思っていました。あの人の娘さんなんですね…!…ええ、あの人を知っています…彼女は、この国の英雄ですから…。」
トリア:「でしたら。母の足跡を辿るためにも聞きたいことがあります。」
???:「とりあえず、うちに来てください。宿屋を営んでいます。」
トリア:「わかりました。いいよね?」
ミーア:「やったー!あったかいところだ!早くいこ!!」
アンナ:「もちろんです。願ってもない。」
ジャック:「いいんじゃないか。」
トリア:「では。よろしくお願いします。」
シーリス:「…ええ、そうね。ありがとうございます。」
GM:~英雄の宿~
???:「いらっしゃいませ、とはいえ、今は茶店のためだけの店ですが。さ、暖かいスープです。残り物ですけど…。」
ミーア:「あっっったか~~い…!」しみじみ
トリア:「ありがとうございます。暖かいだけで十分助かってます。」
GM:「ふふ、いま火を入れますね。」
シーリス:「おいしい…ありがとうございます。」スープの器で暖取りつつ
ミーア:スープは熱そうにめっちゃふ~ふ~してチビチビすする
GM:しばらく全員で暖を取ったのち、本題に入る。
年季の入ったソファに腰かけ、正対する。
ロシレッタで宿を営むこの女性はカーラといい、かつてはイサラ・モルトとも親交があったという。
カーラ:「海竜を、知っていますか?海に住むと伝えられるドラゴンです。彼女、イサラさんは、海竜を討伐に来てくれたんです。10年くらい前でしたっけ。」
トリア:「やっぱりそうなんですね。」
カーラ:「あの人は、負けてない…。討伐したんです。討伐するところを、街のみんなで見たんです!しかし…。討伐したんですが、乗っていたガレオン船が、竜の下敷きに…。」
ジャック:「ほう……。」スープを飲みつつ
カーラ:「それからずっと、行方不明で…。生死すら…。あ、ごめんなさい、娘さんの前で…。きっと、生きていますよ…。あの人ですもん…。あんな人が、転覆くらいで簡単に死ぬわけ、無いですよね…。」
トリア:「そうですか。…行方不明。ですか。ならそうですね、お母さんは生きてます。」
GM:10年前、街を明るく照らしていた希望の光は、トリアの母親だった。
あれから10年、またこの街は、暗く、寒く、冷たい闇に閉ざされている。
カーラ:「貴方たちは、冒険者、よね?何をしにこのロシレッタへ…?この寒波の調査?それとも、イサラさんを探しに…?」
トリア:「タタミとヒバチの輸送が遅れているのでそれを受け取るために。と言うよりその調査ですね。」
カーラ:「リオスからの商業船だったら、一度リオスに引き返したわ。この寒波で気圧が安定するまでは離着陸は出来ないらしくて。」
トリア:「えぇ。ですので。寒波の原因調査でもありますね。」
カーラ:「そう…。最小にして最大の商業国と呼ばれたこの国も…。もう終わりかしらね…。」
トリア:「…この寒波は海竜が起こしたものに似ているの?」
カーラ:「いいえ。少なくとも、氷を操ったりする力なんて、聞いたこともないわ。」
トリア:「そう。なら他にも何か原因があるのね。情報が必要…かな」
カーラ:「…私ね、今ではこんなですけど、そこそこ有名な宿を経営していたんです。そして、うちに泊まっていたお客さんの一人がイサラさんだったんです。そうだ、宿、使いますか?今は誰も使っていませんが、ちょっと前は賑わっていたんですよ。「英雄の拠点」なんて言われて。」
トリア:「…もしよければ。ですが。」
カーラ:「イサラさんの娘さんもいますし、うちは蓄えが少しはあるので、さすがにタダとはいきませんが、お安くします。いかがですか?」
ミーア:「やったーー!!あったかい寝床だ~!」キラキラ
カーラ:「わぁ…久しぶりのお客さんです…!ろくなもてなしもできませんが、いらっしゃいませ!」
GM:女主人は心底嬉しそうに、そして懐かしそうに笑うのだった。
というわけで今回の夜会話イベントは宿で行われる。2人部屋を3つ貸してもらえるだろう。
トリア:「母が泊まってた部屋でもいいですか。」
カーラ:「もちろんよ。構わないわ。グリードさんと使っていた部屋ね。一番奥の部屋よ。」
ジャック:「なら俺が一人だな。」
トリア:「ありがとうございます。」
アンナ:「まぁ、そうですね。あとはどう分けましょうか。」
トリア:「部屋分けは好きに決めて。」すたすたと一番奥の部屋へ
アンナ:「では、私がトリアさんと組みます。英雄の使っていた部屋、興味深い。」
シーリス:「トリア…。」心配そうな顔
ミーア:「シーリスまた明日ね!」無言でふつーにジャックの部屋に行こうとする
シーリス:「いや、あの、ミーア?あなたは私とよ。」首根っこつかんで
ジャック:「んん?ミーアはあっちだろう?」
ミーア:「えっえっ!? シーリスとふたり…?」おそるおそる
シーリス:「…なにか困ることが…?」
ミーア:「えっ!ないない!ないよ!?」
シーリス:「冗談よ、じゃあまあ部屋に行きましょうか。」
ミーア:「あ''~~~~っっ!!」ずるずる引きずられていく
トリア:「ちょっと買い物してくるわ。」荷物を置いてから
アンナ:「ん、わかりました。お話があるので、お早めに。」
トリア:「わかった。」
GM:しばし、静まり返った街を散策し、とあるものを買ってトリアは戻ってきた。
トリア:「…ただいま。」
アンナ:「…おかえりなさい。何を買ってきたんです?」
トリア:「お父さんの好きだったものを。」
GM:手には、とある銘柄のタバコの箱が握られていた。
アンナ:「ふむ。…。煙草ですか。愛煙家だったんですね。お父上は。」
トリア:「…けほっ!…えぇ。私たちの前ではあまり吸ってなかったけど。」
アンナ:「ジャックさんもそうですからね。ああ見えて、屋内ではあまり吸っていません。特に私たちが同行しているときは。」
トリア:「…ごめんなさい。外で吸うべきかしら。」
アンナ:「いいえ、好きになさってください。灰皿もありますし。」
トリア:「ん。そう。…ふぅ。煙草ってこんな味なのね。ジャックに残りは渡そうかしら。」
アンナ:「…トリアさんは、イサラさんを探していたんですね。」
トリア:「えぇ。そうね。私の旅の始まりであり終着点。それがお母さん。」
アンナ:「イサラさんは10年前にここで、海竜と戦闘した。」
トリア:「えぇ。そうみたいね。」
アンナ:「その結果、ガレオン船の瓦礫と共に、貴女の前から姿を消した。」
トリア:「そう言っていたわね。」
アンナ:「なぜ、置いていったと思いますか?」
トリア:「…さて、どうなのでしょう。私に戦う力がなかっただけじゃないかな。」
アンナ:「イサラさんが、この件が危険だとわかっていて、トリアさんを、巻き込みたくなかったからではありませんか。」
トリア:「…巻き込みたくない。うん。そうでしょうね。」
アンナ:「そもそも、今回の大寒波と海竜は、関係があるのですか?」
トリア:「さぁ。どうでしょう?わからないわ。でもロシレッタの海が再度荒れたのは事実だから関係してるのかなっておもっただけ。」
アンナ:「もっと直接的に言いましょう。イサラさんは、貴女に、ここに来てほしいと、仇を討てと願っているのですか?」
トリア:「……。」
アンナ:「伝説と謡われた冒険者が、相打ちになったと仮定して話しています。これの真偽はまだわかりませんが。」
トリア:「…さぁ。私は仇討ち云々ではなくやりたいことをやってるだけ。お母さんが戦って辛い相手に勝てるとは思ってないわ。やり方次第ではあるでしょうけど。」
アンナ:「ではお聞かせ願いたい。貴方のやりたいことを。」
トリア:「私は母の足跡を辿りたい。それだけ。」
アンナ:「無意味です。もう一度言いましょう。10年間、死体も上がらず、生存の連絡もあなたに来ていない。その足取りをたどることは、貴女にとって無意味です。」
トリア:「無意味?そう。そう思うのは貴女の勝手。連絡が来ていない?取れない状況なんていくらでも想定できる。」
アンナ:「あなたは頭が回る人です。いくらでも、その予測はつくでしょう。では御父上のグリード氏、彼の安否についてはおかみさんからは伝え聞いていません。」
トリア:「…そうね。えぇ。」
アンナ:「戦闘のど真ん中でまとめて潰されたならいざ知らず、生存の可能性も高いはずです。」
トリア:「……。」
アンナ:「彼からの連絡がない時点で、貴女には「来るな」と言っているも同義です。それとも、貴女は10年間、お母上が戦い続けているとでも思っているのですか?」
トリア:「来るな。ね、でもそれは戦うすべがないと思っているから。ただ護身の為の術。そこらの野盗に襲われてもなんとかなるくらいの実力しかないと思ってるからでしょう?」
アンナ:「違います。では次に、お母上、イサラさんが生存していると仮定しましょう。」
トリア:「人は戦い続けられるようには出来てない。でも休息を取ればいくらでも…。」
アンナ:「莫大な富をもち、貴方をおいて遠方に行けるだけの力を持ったうえで、生存の報告もなく、討伐しているのにその連絡もない。これは御父上の意思であると考えました。イサラさんとトリアさんを合わせたくない。そういう意思を感じます。」
トリア:「……そう。」
アンナ:「私は、貴女の助けになりたい。それは本心です。」
トリア:「でも貴女にとって無意味ということに付き合わせるつもりはないよ」
アンナ:「ですが、その状態のあなたが夜の寒空に飛び出していくのをを見て見ぬふりをしているのとは違う。放っておいても、イサラさんの足取りを追い、海竜に独りで挑みかねない。」
トリア:「私はお母さんじゃない。お母さんほど強くない。情報集めはするよ。」
アンナ:「それは情報を集めたなら、次は一人で討伐しに行く、と明言しているようなものです。」
トリア:「実力が足りなければ補う術はある。私の戦い方は実力が不足しているから取っている手段だから。それを更に補うことだってできる。」
アンナ:「…私はあなたを信頼しています。たぐいまれなる薬師の才。錬金術の妙。ですが。」
トリア:「…?」
アンナ:「限界があることも、忘れないでください。」
トリア:「別に。私のバカな事に付き合わせたくないだけ。英雄願望なんてものもない。ただお母さんの足跡を辿り、見つけるまで止まらないだけ。死なない為なら傭兵を雇うくらいもできる。」
アンナ:「イサラさんは限界を超えたから、今現在、連絡がないということも、理解してください。そして、私たちがあなたの所属するパーティの一員ということも、忘れないでください。」
トリア:「自分の限界を超える動きはできない。でも人間の極点とも呼べる人を見て来た。なら。やれることはある。できることはある。…パーティの一員ということをわかっているから。貴女に取って無意味なことをさせたくないだけ。」
アンナ:「あなたは、…トリアさんは強い人じゃない!!!」
トリア:「…えぇ。私は強くない。小手先のことしかできないもの。」
アンナ:「私だって、敵1人ならいざ知らず、敵の軍勢に襲われたらそう何分も戦えません!!私ですら、です。」
トリア:「……。」
アンナ:「ここは強く言います。神様からの授かりものとはいえ、私の力です。一応誇りがありますから。」
トリア:「でもね。私の生きて来た今までの道筋を。捨てることはそうそうできないんだよ。」
アンナ:「私は、”私の友人に無茶をしてほしくない”というのは、わがままですか!!」
トリア:「…別に。そう思うのはいいんじゃない。」
アンナ:「ならば、それで構いません。私は、久しぶりに、私のわがままを通します。貴方の問題は私たちの問題。シーリスさんの時も、ミーアの時もそうだった。ジャックさんの時だって!!私はあなたたちを誰一人悲しませたくない!!…失礼。少し、熱くなりました。面目在りません。」
トリア:「別に。それがアンナに取っての辿りたい道なんでしょ。」
アンナ:「そうです。」
アンナ:「私からのお話は以上です。ここ数日、馬車の中でのあなたを見ていて、いい加減腹が立ちました。私自身に、です!神の権能の一部を授かりながら、何も打開策が出せない私自身にです!」
トリア:「ならさ。私が貴女を止める理由はないわ。私の道を曲げる理由にもならないけど」
アンナ:「お好きにしてください。必要とあらば、全力で止めます。私でなくてもきっとそうするでしょうけど。では、先にお休みになってください。私は少し、外に出て少し頭を冷やしてきます。物理的に冷えれば多少は収まるでしょうし。」
トリア:「ん。じゃ、行ってらっしゃい」
アンナ:「あ、戸締りだけお願いしますね。」
トリア:「わかったわ。」
GM:そう言ってアンナは退室した。
ミーア:「どっ、どうしたの??大きな声が、聞こえたけど…」心配そうな顔で
GM:残された空間には、煙だけが燻っていた
トリア:「別に。なんでもないわ。」
ミーア:「そう…?ならいいけど…」部屋に戻る
シーリス:「…どうしたらいいのかしら…」ベッドの上で膝抱える
トリア:「…意味があろうとなかろうと。これが…私の望んだ『道』なんだ。…寝よう。」
ミーア:「う~~ん…よく分かんないけど、大丈夫…みたい?」>シーリス
ジャック:「んん?トリアか……。どうした朝から。」
シーリス:「……そう、ね…。」
ミーア:自身も納得していない(というか困惑気味の)顔。でも寝て起きて、夜が朝になったら切り替えられる。ミーアだからな!!
GM:朝を迎える。当たり前のように寝つきの悪いトリアは、隣でアンナが寝ていることに安堵しただろうか。
トリア:「…ジャック。これあげる。やっぱり早かったわ。」
シーリス:(…大丈夫とは、言えないわよね……)
トリア:「…。」煙草ぽいっ
ジャック:「ふむ……。この銘柄か、君の父親の趣味は悪くはないようだ。」
トリア:「…そう。」
ジャック:「さぁ……。食事にしようか。」受け取った煙草をポケットへ
トリア:「…えぇ。」
ジャック:「なに、まだ好きなようにするがいいさ。」背中をポンっと
トリア:「…そ。…ドゥロブリュレの動向も調べるように言われてたわね。」
GM:ロシレッタ滞在2日目、自由行動フェイズです。
アンナ:「ふぁ…。おはようございます…。」
トリア:「…私は向こうの方で情報を探って来るわ。」
アンナ:「あれ、トリアさんは…?行ってしまいましたか…。」
ミーア:「あーっ、待ってまって!あたしもいく!!」
トリア:「寒いわよ」
ミーア:「う~~…がまんする!情報収集だったらあたしも役に立てるし!…たぶん。」
トリア:「そう。」
ジャック:「さて、俺たちはどうするか」ファミリアはミーアの鞄にダイブ
ミーア:「…??」
アンナ:「おかみさんに話を聞いてはいかがでしょうか。」
ジャック:「ふむ、まあそれが妥当か。」
シーリス:「…ごめんなさい、私向こうついていくわ。」たたっと追いかけ
ジャック:「…。」女将さんが居るとこまでササっと移動
アンナ:「私も聞きたいです。」
ジャック:「おはよう、朝食まですまないな。」
カーラ:「良いのよ。恩人の娘さんのお仲間でしょう?もてなさない方が失礼ってものよ。」
ジャック:「さぞトリアの母上は活躍したと見える、いまこの街で起きている問題はできる範囲で我々も協力させて欲しいな。」
カーラ:「ふふ、ありがとう。でも、それは無理かもしれないわ。」
ジャック:「いち冒険者では対処できない程度の問題と?」
カーラ:「ええ、そう。」
ジャック:「それはこの寒波も関係がある……。ということかな?」
カーラ:「…そうね。それもあるわ。」
ジャック:「謎の巨影、それが寒波に関係があると一部で騒がれてようだが……。10年目も似たようなことがあったのかな?」
カーラ:「ええ、あったわ。10年ほど前、海のドラゴンが目を覚ましたの。」
ジャック:「海のドラゴン、海竜か……。それが目覚めた後強烈な寒波が?」
カーラ:「それだけじゃないわ。干上がりもしたし、逆に嵐を起こしたりもした。」
ジャック:「ほう、今回もそんなことが?」
カーラ:「今回は、もっとひどいわ。ここ1カ月以上、太陽を見ていない。雪雲がずっと空を覆っているわ。」
ジャック:「天候を操るドラゴン……、ねぇ。前回はトリアの母上が撃退をして天候が回復したという事なんだな?」
カーラ:「…ええ、そう。」
ジャック:「ちなみに撃退したのを見ていた人、そして今回の巨影を見た人物はこの街にまだいるんだろうか?」
カーラ:「港の水夫たちは見ているわ。それに、やじうま根性で駆け付けた元気な人たちもいるはずよ。」
ジャック:「港の水夫か……。俺たちがそれを何とかしようと言い出したら、街の者にはどう映るだろうか。率直な意見が欲しい。」
カーラ:「無謀ね。蛮勇と武勇は別のものよ。」
ジャック:「なるほど……。貴重な話をありがとう。もう少し街でも話を聞いてみようとは思う。調査も仕事の一つでね。」
カーラ:「私は竜については何もわからない。竜に挑んだ人のおちゃめな話なら、いくつか知ってるだけよ。きっとあなたたちの助けにはならないわ。」
ジャック:「では、そのおちゃめな話、ぜひ聞かせてもらえないだろうか」
カーラ:「あら、いいわよ。イサラさんはね、大酒飲みだったのよ。よく旦那さんと飲んでいてね。そう、そこのカウンターで、二人並んで。よく、娘が可愛いんだって話してくれたのよ。あたしに似て美人だって。薬師や錬金術ならあたしよりも才能があるって。」
カーラ:「錬体、薬師、戦士を極めた人でね。斧でも剣でもなんでも使えた人なのよ。銃とか投擲は苦手って言ってたけど。」
カーラ:「それでも、子供たちを置いてきてしまって、心配だって、ずっと言ってたわ。」
カーラ:「…そういえば、ずっと何か作っていたわ。帰ったら娘にプレゼントするのよって。あれ、なんだったのかしら。」
カーラ:「でも彼女、錬金術とか加工はからっきしだったから、よく旦那さんが手伝ってたわね。私には手伝わせてくれなかったけど。『きっと娘もあたしの背中を追って冒険者になる。その時に渡すための、祝いの品なんだ』って。」
カーラ:「あの時の顔、今でも覚えてる。ちょっと申し訳なさそうで、いつもと違う、頼りない顔だけど、強くて優しい、母親の顔。今でもずっと覚えてる。……これくらいかしら。伝説の冒険者、イサラ・モルトが仕事中は絶対に見せなかった姿のお話よ。」
ジャック:「なるほど……。その話が聞けて良かった。ありがとう。さて、調査とご息女が無茶をしないよう、しがないマスコットは動くとしようか。」
カーラ:「ふふ、お願いしますね。」
ジャック:「あぁ、そうだこの酒はこちらでも今は流通してるだろうか?」例の酒をだして
GM:「ええ、数か月前までストップしていたけど、今は流通しているわ。もちろん、陸路でしか運べないから数は少ないけど。」
ジャック:「そうか、それは良かった。ここだけの話だがその問題を解決したのは通りすがりの冒険者だったらしいぞ、さて港へ行くぞアンナ。」女将に背を向けて
アンナ:「はい。伝えるべきことができましたね。すっと立ち上がり、鎧を展開し歩き出す
GM:小さな紳士と鎧の淑女は歩き出す。孤独な少女に手を差し伸べるために。
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