果穂さんが来てから弓道場のルールが大きく変わった。

 まずは矢取り。

 今まで矢取りは下級生の役目だったのだが、これからは自分の矢は自分で取りにいく事になった。自分の矢筋をしっかりと知る為に、どのように力が込められたのか解るように。それは洪大先生の教えの通りで、果穂さんはそれをしっかりと踏襲しているのだった。そして矢取りにいくときには誰も弓に触れてはいけない、というルールができた。それを徹底させる為に素引きの弓もゴム弓も矢取りのときには手放すように指導された。

 その他にも的前に立つ順番が団体レギュラー優先じゃなくなったり。坐射中心の練習メニューに変わったり。そしてすでに初日から変更があったようにまずは全学年体操服でランニングとストレッチ、そのあとで弓道着に着替えてお互いにチェック……というのはそのまま継続されている。

 道場のルールや雰囲気の変化に最後まで反対の態度を示していたのは香坂先輩だけだった。理由はよく解らない。さすがに面と向かって訊けないし。

 果穂さんのやり方は日が経つにつれ、その他の部員には概ね好意的に受けとめられるようになっていった。

 なぜならそれは、部活中に弓を射る手数は減ったけれど、果穂さんの適切なアドバイスで的中率が上がった先輩が何人もいたからだ。現金と言えばそれまでかもしれない。でも、高校の部活においてはそういう目に見える部分が結局のところは重要視されてしまうものなのだ。

 ところでわたしたち一年生はと言えば、四人全員、誰も欠ける事なく正式な入部を果たし、晴れて皆が本物の弓道部員になった。

 それに伴って弓道部の部室に自分専用のロッカーが用意され、弓道場での練習の際には弓道着を着る事が許可された。さすがに元茶道部の真琴さんは着付けが上手で。慣れないわたしと桜さんはよく真琴さんにチェックしてもらっていた。そうそう、そして由貴さんはと言えば、お姉さんの由美先輩が果穂さんに最初の日から着付けOKをもらえたひとりだった事から家でも道着の着方を指導して見てもらっていたそうで、なるほど、ひとりでもきちんと着付けられている。

 わたしも家で紫優ちゃんと一緒に練習してはいたのだが、どうも根がぶきっちょみたいで……なかなか様にならなかった。それでもみんなでチェックし合うのは楽しいもので、わたしはお母さんと紫優ちゃんにプレゼントしてもらった道着に袖を通せるって事だけで嬉しくて、毎日の部活が楽しくて仕方がなかった。

 そんなある日の事だった。

 ゴールデンウイークを終え、実力テストも終わって部活動が再会になった日、いつものように篠原先輩の指導のもと一年生同士が弓道場の外で固まってゴム弓で射法の練習をしていると、所用で篠原先輩が少し席を外したのをまるで見計らったかのように。

「一花ちゃん。ちょっと」

 と果穂さんに呼ばれた。

「もう、みんなの前で名前で呼ぶの止めてっていつも言ってるじゃないですか」

「あら、一花ちゃんは一花ちゃんだもの。わたし、基本的にはそれ以外の名前であなたを呼ぶ気ないの。親にもらった素敵な名前なんだから堂々としていればいいのよ。あ、それよりさ、ちょっと見て」

 そう言いながら、ガラス越しに果穂さんは弓射場を見遣る。

 わたしも一緒になって果穂さんの視線を追うと、そこには……大前に立っている香坂先輩の姿があった。

「香坂先輩がどうかしました?」

 わたしは香坂先輩に聞かれてしまわないように、小さな声で訊ねた。

「どう思う?」

 果穂さんも声のトーンを落として訊ね返す。

「どうって言われても。弓道始めたばかりの一年生にどんな答えを期待してるんですか?」

「一花ちゃんの見たまんま、思ったまんまを言ってくれればいいよ」

 わたしは果穂さんの真意が解らないままに、そうですねと呟いて、香坂先輩を見つめた。

 黄色いシュシュで長い猫っ毛をひとつにまとめている香坂先輩は……やっぱり素敵。綺麗だな、と思う。ただ、果穂さんの求めている答えは、そういう事ではないはずで。

「不思議な射形だなって思います。手の内の形がどの先輩とも違うし、足踏みも一足で行わないですよね。確かあれって……武射系の足踏みじゃなかったでしたっけ。あとちょっと開いた足の形も変わっているというか」

「あれはね、古い武士の時代の足踏みよ。大正の頃にはすっかり廃れたはずの、ね。今じゃ誰もあんな射を教える人はいないと思うんだけど。あ、でも……アーチェリーなんかだとオブリックスタンスって呼ばれているものに近いかしら」

「へぇー。それだと駄目なんですか?」

「駄目よ」

 果穂さんはきっぱりそう言ったあと、小さく首を振った。

「駄目じゃないかもしれないけど、わたしは嫌。あの射の形は体の重心が安定するし的中率も高くなる。ただね」

「……ただ?」

「わたしにとっての美しい射じゃない。でも、そんな理由だけでは……わたしの言う事を受け入れてくれないでしょうね。本当に彼女は武士みたいだわ。あの手の内の形、あれだって……刀を握る手にそっくりだもの」

 一瞬果穂さんは目を鋭くさせて、そう言った。刀。その言葉に……果穂さんはどんな意味を込めたのだろうか。本当に言葉通りの意味なのか。それとも……。

「うーん。しかしあれって、段審査受かるのかな。初段くらいならまだいいんだろうけど、もっと先を見据えて弓を引くなら、直した方がいいのかなって思って。老婆心ながらね」

 わたしは審査の事も香坂先輩の将来についてもよく解らないし、そんな偉そうな事を言う謂れもないけれど、でも、言われた通り思った事を口にした。

「ねえ果穂さん。香坂先輩って……そうは言っても全体の形が統一されていますよね。的中率も部内で一番でしょ? あれはあれでもう完成されているんじゃないかしら」

「そう、そうなの。そこなのよね。ひとつ修正しただけで全部駄目にしちゃいそうで。手が付けられないの。仮にもインターハイ出場選手だし。ただうちの高校ってずっと礼射の型だから、変に古い武射系の様式が混じるのだけでもどうにかしないと」

「それっていけない事なんですか?」

 わたしは香坂先輩が大三から引き分けて会を行い、一瞬の溜のあと、すぐに離れを行うのを見つめながら訊いた。放たれた香坂先輩の矢はしっかりと的を射抜いていた。的中を告げる先輩たちの「しっ」の声が弓道場に響く。

「さっきも言ったでしょ? それはしちゃいけない事なの。もっと先を見据えるならってだけじゃなく。……まったく。正しじゃないっつーの」

 果穂さんはそう言って小さく舌打ちした。こんなにもどかしそうにしている果穂さんを見るのは初めてだった。

「団体戦にはあれじゃ出せないわ。本人も個人戦にしか出る気ないみたいだし。それに見た通り早気なのよねぇ。中たればなんでもいいってもんじゃないんだけど。さて、どうしたものかしら」

 そう言って果穂さんはちらり、とわたしを見る。

「……それを考えるのが果穂さんの仕事でしょ? わたしに訊かないでくださいよ」

 わたしがそう切り返すと、果穂さんは苦笑しながらため息をついた。なかなか器用な事ができるもんだと少し感心してしまう。

「ま、そうなんだけどね。あの子、どうもわたしの事嫌ってるみたいじゃない?」

「わたしだって別に、好かれてるわけじゃないですけど」

「そう? その割にはいっつもストレッチ一緒にやってるわよね?」

 そうなのだ。それはわたしもずっと不思議に思っていた。

 初めて一緒にストレッチしたあの日、あんなに不機嫌そうな顔をしていたのに。その日の練習終わりのストレッチでは逆に香坂先輩から声をかけられた。それ以来、わたしは香坂先輩のストレッチのお相手をさせられている。たとえ離れていても、すっと寄って来て、

「花村、手」

 と相変わらずの不機嫌な声で言われればちょっとドキドキするけれど、一年生としては逆らうわけにもいかなくて。はてなんでだろう、と思いながらもいつも香坂先輩に従っていたのだった。

 相変わらず香坂先輩の指先は不思議なくらい荒れてガサガサしていた。でもせっかく手をつないでくれているのに睨まれてしまうのは嫌だったから、わたしは気付かないふりをしていた。だって、わたしはそんな美しい猫に触れるのが楽しみで、いつからか先輩と手をつなぐ時間を大切にするようになっていたのだから。

「ま、なんにせよ仲がいいのはなによりだわ。というわけで、あの子の事は一花ちゃんに一任しちゃっていい?」

 ……は?

 この大人はいったい、なんて事を言うんだろう。馬鹿なんじゃないかしら。

「一任されてどうしろって言うんですか。わたしには無理ですから。第一、先輩の弓を射る姿、好きですもの。変えるなんてもったいない事したくありません。なんと言うか紫優ちゃんと正反対で、勝ち気で中てる気の強い弓だけど……でも同じように孤高の弓だと思うんです」

「それは孤独でもあるという事だわ。ま、いいわ。ちょっと心のすみに留めておいて。でも、そっか。一花ちゃんの好みってああいうのなんだ」

 わたしは小さくため息をついて、もう行っていいですか、と訊いた。

「うん、行っていいよ。ごめんね。邪魔しちゃって。しかし、ねぇ。ああいう女の子に惚れると紫優が泣くわよ」

「なっ、もう、すぐそうやって紫優ちゃんの名前出すんだからっ」

 わたしが抗議の声を上げると、果穂さんはお互い様でしょ、って言いながらくすくすと笑った。そのとき、香坂先輩が迷惑そうにわたしたちを睨んでいたのを。わたしも果穂さんも……気づいていなかった。


 その日の帰りも一年生四人で集まって、いつものように駅前のマックでどうでもいいような事を駄弁っていた。

 わたしの隣でもきゅもきゅと照り焼きのハンバーガーを頬張る由貴さんは可愛くて、見ているだけで癒される。一生懸命頬張るほっぺがふっくらしてて……まるでひまわりの種を食べるハムスターみたい。

「なに見てるの? 一花さん。なんか失礼な事想像してなかった?」

 おっとりしているように見えて由貴さんはこれでなかなか勘が鋭い。わたしは苦笑して。

「由貴さんの口の横にマヨネーズが付いてるなって思って見てたの」

「あ、本当? ありがとう」

 ポケットからティッシュを取り出して由貴さんが唇を拭っているのを、わたしはフライドポテトの油のついたちょっと塩辛い指先をぺろりと舐めて、やっぱり可愛いなー、なんて思って見つめていた。

「行儀悪い」

 そう窘めながら桜さんがトレイに乗っていたナプキンを渡してくれた。わたしはそれをありがとうって言って受け取って、軽く指先を拭いた。

「最近二の腕が太くなっちゃった気がするのよねぇ。特に右腕。なんかもう毎日筋肉痛だし。衣替えしたらクラスメイトに腕太いって思われるかも。あー」

 真琴さんがそう言って制服の上から自分の二の腕をむにむにと触っている。五月に入ってから素引き……つまり矢を番えないで弓を引く練習も加わり、気分がまたがらりと変わって、一段と一年生の練習風景も真剣味が増した。

 わたしたち四人の中で一番様になっているのはなんと言っても桜さん。さすがに武道経験者だけあって会の形が綺麗なのだ。体幹がしっかりしているので、軸がぶれずに弓を引き切る事ができている。わたしはと言えば弓の力に負けて手の内が時々潰れてしまうので、いつも篠原先輩には手のひらで卵を握るくらいにやわらかく、指に力を入れないで……と、握卵と呼ばれるイメージを意識するように注意を受けていた。

「そう言えばさ、今日も今村先生に一花さんひとりが呼ばれてたじゃない? あれ、なんだったの? 時々そういうのあるよね」

 思い出したように真琴さんがわたしに言った。興味津々といった様子で身を乗り出して来たので、わたしはちょっとだけそれに押されるように身を引いた。

「あ、解ったわ。前に言っていたお母さんの恋人って、今村先生の事だったのね? それでなにかと用事があるんでしょ?」

「へ? ち、違うわ。果穂さんは違うのっ」

 わたしは慌てて言った。由貴さん以外の一年生にも、お母さんの恋人が女性であることはすでに伝えていた。

「香坂先輩の射の形を見てどう思うって訊かれただけよ。綺麗だと思うって答えたら、ふーんって言われてそれでおしまい。それだけなんだから。邪推しないで」

「じゃあなんで一花さんだけそんな事訊かれるのよ?」

 真琴さんの疑問も当然だけど、わたしにだってそんなの解んないし答えようがない。だから、さあ、なんでだろうね、と濁しておいた。

「今村先生。確か一花さんのお母さんの友人……って話じゃなかった? 今村先生が一番初めに、そう言っていたと思ったけど。なら恋人は別の人だろう?」

 桜さんがズズッとストロベリーシェイクを吸って、おもむろに真琴さんにそう告げた。正確にはお母さんの恋人の友達……というか元恋人、って事になるんだけど。わたしは黙っていた。いちいち説明するのも面倒いもの。

「ただ、香坂先輩も変に一花さんの事を意識しているみたいだし。一花さん、もしかしてそういうオーラ出してる?」

「どんなオーラよ」

 わたしは苦笑しながらホットの紅茶を一口啜った。

「そうねえ、……同性にモテモテ? みたいな?」

 真琴さんが混ぜっ返す。わたしとしてはあんまりこういう話題で盛り上がりたくないんだけどな。変に茶化されるのは嫌なのだ。小学校の頃の苦い思い出もあるし。

 それに、……由貴さんに知られたときのように友達を疑ってしまうような気持ちはもう、出来る事なら味わいたくない。

「わたし見た目以上にがさつだし、部屋汚いし、それに馬鹿だよ? モテるわけないじゃん」

 わたしはフライドポテトを口に運びながら。できるだけ何気ない口調でそう言った。

「まあ、でも果穂さんのあの一花ちゃんって呼び方は正直どうにかして欲しいな。今のところ先輩たちの前では花村さんって呼んでくれるからいいけどさ。別に依怙贔屓してくれるわけでもないし。果穂さんにはからかわれてるだけだと思うわ。それからわたし、香坂先輩とほとんど口きいた事ないよ? ストレッチのときに呼ばれるくらいで」

「そこよ。そこ。あのおっかない香坂先輩がなんで一花さんとだけストレッチするの?」

 うーん、と唸りながらわたしは考え込んでしまった。それは果穂さんにも言われた事だったからだ。

「理由なんて知らないわ。でも香坂先輩ってそんなにおっかないかなぁ。確かにいっつも不機嫌そうだけど。あんまり周りに関心ないみたいだし、それって恐いっていうのとちょっと違うと思うんだよね。……由貴さんはどう思う?」

「さあ。別に恐いとは思わないわ。でもどんな事を思ってらっしゃるんだかも解んないな。ストレッチの事だって……直接訊いたわけじゃないんだもの。もしかしたら理由がおありなのかもしれないけど」

「確かに。でももうその辺でこの話は止めよう。噂話はそうじゃなくても尾鰭が付くし歯止めが利かなくなるから。自分で話題を振っておいて悪いと思うけど。わたし、あんまりそういうの好きじゃないんだ」

 桜さんがきっぱりとした口調でそう言った。

「じゃ、話題を変えよっか? うちのクラスの子が今度合コンするって盛り上がってたんだけどさ、うちらって全然そういう浮いた話題ってないじゃない? どうかしら?」

 目を輝かせる真琴さんとは対照的に、桜さんは途端に顔を曇らせて、

「どうかしらってどういう意味? このメンバーで合コンしたいっていうのならわたしはパス。興味ない」

 と言った。

「わたしも。個人的にそういう出逢い方って好きじゃないの。それに高校生のやる事じゃない気もするし。第一、男の子と付き合っている自分の姿が想像できないわ」

 わたしと桜さんに素気なく断られ、いささか真琴さんはしょんぼりした様子だった。

「由貴さんは? 由貴さんも興味ない?」

 それでも由貴さんにも声をかける辺りはたくましいというかなんというか。

「わたし、彼氏いるもの」

 由貴さんは、にっこり笑って言った。

「だからコンパには興味ないわ。ごめんなさい」

「……え?」

「マジで」

 桜さんと真琴さんが信じられない、といった顔で由貴さんを凝視している。

 そしてほんの何秒か、石化してしまいそうな時間が経ってから。

「えーっ。ずるいっ、いいな、いいなっ。ね、ちょっと待って、その人ってどんな人? 同い年? どこの高校の人?」

「ひみつ」

 茫然としている桜さんの横で、真琴さんが早口で次々と質問を重ねる。でも、由貴さんはそれ以上喋る気はないみたい。

「ね?」

 と言って、わたしに小さくウインクしてくれる。わたしも「ねー」と頷き返しながら、ちょっとだけ笑ってみせた。

「あ、なに? 一花さんは知ってたの?」

「ひみつ」

 わたしも由貴さんの真似をして、由貴さんにウインクしながらそう言った。

「ね?」

「ねー」

「うわ、ずるいなー。そっかおんなじクラスだし、それで知ってたのね? ねえねえ、ところでさ、もうやっちゃったの? 最初ってやっぱりあぎゃっ!」

 顔を真っ赤にした桜さんに思いっきり後頭部を引っ叩かれて、真琴さんは頭を抱えていた。

「ぎゃーぎゃーうるさい。馬鹿」

 桜さんって意外とうぶなんだな、なんて思いながら、空手経験者に殴られて頭は平気なんだろうかと……ちょっとだけ真琴さんが哀れに思えた。もちろん。

 自業自得だけど。


 家に帰ったら帰ったで、今度はお母さんと紫優ちゃんが喧嘩していた。え? ……どうして解ったかって? そんなのお母さんと紫優ちゃんの醸し出す雰囲気で丸解りだもの。時々やらかすとはいえ、ふたりしてむっつり黙っていられると鬱陶しい事この上ない。さて、……今回のは一体なにが原因なんだろう。

 お母さんは黙々と台所で夕ご飯の仕度をしていて、紫優ちゃんは不味そうに缶ビールを飲みながら『第七の封印』を見ていた。

 わたしがただいまって言ってもどっちからも返事がもらえなかった。まったくもう。いい歳こいてなんなのかしら。

「ちょっとっ。ただいまって言ってんだから返事くらいちょうだいよ」

「おかえり」

「お帰りなさい。一花、学校どうだった?」

「取って付けたように訊かなくていいよ。で、どうしたのよ? なに喧嘩してんの?」

 わたしはこれ見よがしに大きくため息をついて、腰に手を当てた。すると途端に、ふたりともぷいっと顔を背けた。

 こ、こいつらっ、

 ……ふたりとも子どもかっ。

「あー、もうっ。言っちゃいなよ。なにが原因で喧嘩してるの? ほら、お姉さんに話してごらん?」

「だって」

 紫優ちゃんが下唇を突き出して、ほんとに子どもみたいな表情で呟いた。

「かすみがつれないんだもん」

「は? 紫優が馬鹿な事しようとするからでしょ?」

 お母さんが冷たい声で吐き捨てた。

「……なにが馬鹿よ」

「自覚がないなら本物の馬鹿なのね」

「ちょっとっ、それはないんじゃない?」紫優ちゃんがガバッと立ち上がった。「わたしだってたまにはそういう気分になる事だってあるわ。いっつもいっつも求めてるわけじゃないでしょ? どうして解ってくれないの?」

「したくないなんて一言も言ってないじゃないっ」お母さんもバンッと流しになにかを——たぶん人参だと思う——を大きな音で叩き付けながら叫んだ。「生理だから今日は無理だって言っただけじゃないのっ。なんでそんな事も解んないのよっ」

 え。

 ……えっと。

「どうせタンポンじゃん。それに前はそんな事、気にしなかったわ」

 紫優ちゃんがじとっとした声で言った。

 それを聞いたお母さんの顔がたちまち真っ赤に染まった。

「き、気にしないわけないでしょっ? 紫優が好きだから、だから許したのに。……紫優の馬鹿っ。デリカシーのない紫優なんて大っ嫌いっ。もう知らないからっ」

 お母さんはエプロンを乱暴に取ると、それを床に投げ捨ててアパートから出て行ってしまった。

「あっ、ちょ、待って。待ってったらっ。かすみっ」

 紫優ちゃんもお母さんを追いかけて出ていってしまう。一応財布を引っ掴んでいくところは……お母さんよりも幾らか冷静なのかもしれないけど。

 わたしは暫し茫然としていたのだが、それ以上なにか考えると頭がショートしてしまいそうだったから。お母さんのあとを引き継いで夕ご飯の仕度を始める事にした。

 几帳面なお母さんらしく、それぞれのボウルの中に具材がきちんと切りそろえられて入れられている。それから見慣れた市販のカレーのルーも。紫優ちゃんの好きなルーを用意していたあたり、お母さんも仲直りするタイミングが掴めなかっただけなんだと思う。

 叩き付けられた可哀想な——やっぱりそれは人参だった——の皮をむきつつ、付け合わせのスープの具材をなににしようかとあれこれ考える。舞茸、まだ残ってたかしら。なんて思いながら。

 ……それにしても。

 なんて理由で喧嘩してたのよ。あの馬鹿ふたり。

 耳年増なえっちぃ真琴さんじゃあるまいし、由貴さんと彼氏の男の子とのエッチなんてなんにも想像できなかったのに。お母さんと紫優ちゃんはなまじ身近にいるものだから、ついついリアルに想像できてしまう。

 好きで一緒にいるんだから、そりゃ、……するのかもしれないけど。生々しすぎるよ、馬鹿。だって生理だよ? 生理中でもしちゃうわけ? そのへんどうなのよ?

 考えまい、考えまいとしても逆に色々な事を想像してしまって、気付いたらまな板の上にポタポタと鼻血をたらしていた。慌てて手の甲で拭って、付けっ放しのテレビをちらりと見ると、映画はちょうど酒場のシーンで。騎士の従者、ヨンスが鍛冶屋のおじさんに喋りかけている。


〝愛というやつは、しょせん煩悩と不実と嘘なのだよ〟


 ……そう言い切られてしまうと身も蓋もなくて。そして馬鹿親のせいで鼻血なんか垂らしている自分がさらに馬鹿馬鹿しくて。わたしはなんだか……情けなくなってしまったのだった。


 高校で本格的に弓道部に入部した日。紫優ちゃんが一冊の本をくれた。岩波書店の薄っぺらい文庫本で、タイトルは『日本の弓術』。作者はどこの国の人だろう……オイゲン・ヘリゲル述、柴田治三郎訳となっていた。

 紫優ちゃん、なにこれ?

 わたしはぱらぱらとめくってみながら紫優ちゃんに訊ねた。古い本であるらしく、どのページも薄茶色に変色していた。

 なんだか随分年期の入った本みたいだけど。

 うーん、わたしが高校生の頃に読んでた本だから。

 そう言って紫優ちゃんは苦笑した。

 わたしね、『弓と禅』よりもこっちの方が短くて好きなの。なんと言っても持ち歩くのにも便利だし。

 ふーん。

 わたしはよく解らないまま、その文庫本を受け取った。

 ありがと。読んでみるね。

 どういたしまして。きっと……一花の役に立つと思うわ。

 そのときは咄嗟に解らなかった。けれど、この本かあるいはさっき言っていたもう一冊のどちらかが、洪大先生から紫優ちゃんに手渡されたという、あの日の夜に教えてくれた本なのだろう。カトリックの紫優ちゃんが禅についてどのくらいの知識を持ち得ていたのか解らないし、紫優ちゃんの気持ちや祈りに本当の意味で合致していたのかどうかも解らない。でも、目指すべき場所、その境地は一緒だったんじゃないかと思うのだ。シェイクスピアだってジュリエットの口を借りて言っている。


〝名前ってなに?

 バラと呼んでいる花を

 別の名前にしてみても美しい香りはそのまま〟


 って。

 名前や呼び名なんてどうでもいい。それが神様でも仏陀でも超自然的ななにかでも。根本的な……人にとって一番大切なものは、きっと変わる事なんてないのだから。

 ——さて、ここでオイゲン・ヘリゲルなんて知らない、って人が大多数だと思うので、略歴を少しだけ。

 オイゲン・ヘリゲルは一八八四年、ドイツのリヒテナウという場所で生を受けた。

 第一次世界大戦に従軍し、その後自身が哲学と神学を修めたハイデルベルク大学の講師となるわけだが、その頃に出逢った日本人から彼は禅についての知識を得たらしい。なかでも留学生の大狭おおはざま竹堂ちくどうが『禅—日本に於ける生きた仏教』という禅典の詞花集を翻訳・編纂した際には、校正の手伝いを買って出ている。学生時代よりエックハルトのドイツ神秘主義に傾倒していたヘリゲルは、日本の禅というものに対し、いたく興味を引かれていたようなのだ。

 そんな彼の弓道との出逢いは、大正十三年に仙台の東北帝国大学に講師として招かれた事に始まる。ヘリゲルは禅を知る為の一助として武道を……弓を学ぼうと思ったのだそうだ。なんでも射撃の訓練をしていたそうで、なにか共通するものがあるかもしれないと思ったと記述されている。もっとも、それはすぐに間違いだと気付くのだけれど。

 彼が生涯の師と仰ぐ弓道師範、阿波あわ研造けんぞうと出逢うのは大正十五年の春の事である。紫優ちゃんから渡された文庫本の第二章は、阿波師範との弓……というか禅というか……の修行についてがつまびらかに書かれている。そしてその中のエピソードをどれかひとつ挙げなければならないとしたら、誰しもがこの夜の事を選ぶに違いない、という逸話がある。うまくまとめられるか解らないけれど。ちょっと紹介したいと思う。

 阿波師範はそれまでも筋肉ではなく心で弓を引け、離れのときには自分で離そうとせずに無心になれ、などと禅の公案のような物言いをしていたが、あるときどのように的を狙ったらいいかを訊ねたヘリゲルに対し、

「いや、その狙うということがいけない。的のことも、中てることも、その他どんなことも考えてはならない。弓を引いて、矢が離れるまで待っていなさい。他のことはすべて成るがままにしておくのです」

 と仰った。そんな事を言ったってできないものはできない。それに日本にいられる時間は限られている。焦るなという方が無理だ、と憤るヘリゲルに、阿波師範はその日の夜にもう一度道場に訪ねてくるよう言い渡す。

 夜の九時頃にヘリゲルが来訪すると、阿波師範は黙ってヘリゲルを促し、安土の的の前に一本の線香を立てた。的前に立つと、的があるであろう空間に、ぽっと小さな線香の明かりだけが微かに見えている。阿波師範は一言も喋らぬまま、黙って弓と矢を取り、夜の闇に向かって矢を射たのだった。

 甲矢が的に中たった音がした。

 二矢目。

 乙矢もなにかに中たる音がして、的を確かめる為に暗い、闇に浸された矢道を歩いて行ったヘリゲルはそこで驚愕する事になる。

 的の正鵠に射られた甲矢を引き裂いて、乙矢が同じ場所に突き刺さっていたのだから。

 阿波師範はヘリゲルが持って帰ってきた矢が刺さったままの的を見て、暫くじっと黙っていたが、やがてゆっくりと話し始めた。

「私はこの道場で三十年も稽古をしていて暗い時でも的がどの辺にあるかは分っているはずだから、一本目の矢が的のまん中に中たったのはさほど見事な出来ばえでもないと、あなたは考えられるであろう。しかし二本目の矢はどう見られるか。これは私から出たのでもなければ、私が中てたのでもない。そこで、こんな暗さで一体狙うということができるものか、よく考えてごらんなさい。それでもまだあなたは、狙わずに中てられないと言い張られるか。まあ私たちは、的の前では仏陀の前に頭を下げる時と同じ気持ちになろうではありませんか」

 この日の夜の二本の矢は、的と同時にヘリゲルの心を射貫き、彼の迷いを真っ二つに裂いた。

 ヘリゲル自身も〝それ以来、私は疑うことも問うことも思いわずらうこともきっぱりと諦めた。その果てがどうなるかなどとは頭をなやまさず、まじめに稽古を続けた。夢遊病者のように確実に的を射中てるほど無心になるところまで、生きているうちに行けるかどうかということさえ、もう気にかけなかった。それはもはや私の手中にあるのではないことを知ったのである〟と記述している。

 阿波研造の弟子、安沢やすざわ平次郎へいじろうは後にその夜の一射を「ヘリゲル大悟の一本」と呼んだという。

 ……わたしは今でも時々この小さな文庫本を取り出して、この箇所を何度も何度も読み返す事がある。なぜならそれは、紫優ちゃんが起こしてくれた奇跡と同じものだったから。紫優ちゃんの射は彼女の心を射抜き、彼女の心のわだかまりを真っ二つに裂いたのだから。わたしはあの日の光景を一生忘れない。だってあれは……わたしとわたしの大切な人とを結びつけた、奇跡の射、そのものだったのだ。


 六月のある日、校内で私服姿の果穂さんを見つけて、あれ、変だなって思った。中間テスト中で部活動は一切中止のはずだし、第一果穂さんはいつも道着で学校に来て、道着のまま車で帰っていく。だから私服の果穂さんが今ここにいるのは変なのだ。

 首を傾げつつ、声を掛けたものかどうかと思案しているわたしを見つけて、果穂さんは足早に近づいて来た。

「ちょうどよかった。一花ちゃんを捜してたの。ねえ、今日って紫優はどうしてる?」

「紫優ちゃん? 夜勤明けだから……寝てるんじゃないですかね。て言うか、直接連絡したらいいじゃないですか」

 廊下の端の方に袖を掴んで引っ張って行く果穂さんの手を、わたしは素気なく払った。

「だって、写メの一件以来電話出てくれないんだもん。あいつ、まだ怒ってるのかしら」

 そう言ってちょっと果穂さんはむくれてみせた。自業自得なのに。全くもって仕方のない大人である。

 何事かと周囲の視線が集まって来たのが嫌で、わたしたちはそそくさと場所を変えた。同じ弓道部員に見られるとなんとなくばつが悪いし。

「……それで、紫優ちゃんになにか用なんですか?」

「今日うちの道場に来られないかしら。一花ちゃんも一緒に」

「わたしも、ですか? まだ中間テストの最中なんですけど。家で勉強しないと」

「だって、明日第二土曜日だから学校は休みでしょ? テストなんて週明けなんだから、今日の夜、ちょっと付き合ってくれてもいいと思うんだけどな。……駄目?」

 仮にも学校側の人間の言葉とも思えないが、察するに、なにか退っ引きならない出来事でもあったのかもしれない。こんなにも余裕のない果穂さんを見るのは初めてだった。

「いいですけど。でも紫優ちゃんに確認しなきゃ行けるかどうかは解んないですよ。それでもいいですか?」

「ありがとう。恩にきるね。大好き」

「いや、果穂さんに大好きって言われてもちょっと……」

 わたしは今にも抱きつきそうな果穂さんから半歩距離を取り、スカートのポケットから携帯電話を取り出した。ほんとは校内では使用禁止なのだけれど、果穂さんがいるんだから大目に見てもらえるだろう。

「どうかな、出るかな。……あ、もしもし、紫優ちゃん?」

「……なに」

 うっわ。すっごく不機嫌そう。きっと寝てたんだ。

「あの、ちょっといいかな?」

「いくない。眠いの。切るよ」

 そう言うとこっちの言い分も聞かず、紫優ちゃんは電話を切ってしまった。

「果穂さん」

「ん?」

「電話切られた」

「え?」

「……寝起きだったみたい。すっごく不機嫌だったんだから」

 紫優ちゃんは大体いつも優しいし、のほほんとしている。でも、寝起きとお腹が空いているときだけは最悪なのだ。たぶん、果穂さんだってそれを知らないわけじゃないのだろう。

「ごめんね」

 と苦い顔をして笑っていた。

「とりあえず家に帰ったらもう一度話をしてみます。行けるかどうかはメールしますから。それでいい?」

「うん。ありがとう」

「でも果穂さん。本当にそんな用事だけで学校に来たんですか。メールしてくれたら返信したのに」

「ま、色々あるのよ。顧問の今泉先生ともちょっと打ち合わせがあったし。部活動が停止中なら道場や弓具の点検にも時間取れるし。色々、ね」

「ふーん。先生っていうのも大変ですね」

 そうわたしが何気なく訊くと。

「……ほんとよ、まったくもう」

 なにがあったのか知らないけれど、果穂さんは憤りの混じった大きなため息をついたのだった。


 お小遣い的には少し痛手だったけれど、わたしは駅前のケーキ屋さんでプリンを三つ買って家に帰った。硬めのカスタードにほろ苦いカラメル。なんと言ってもここのケーキ屋さんのプリンは紫優ちゃんの大好物なのだ。

 居間でぼさぼさの髪のままぼーっとしていた紫優ちゃんは、わたしの顔を見てちょっとだけ睨んだ。まだご機嫌は斜めのままみたい。

「……電話した?」

「うん。ごめんね。あ、そうだ、プリン買ってきたの。駅前のケーキ屋さんの。紫優ちゃん、好きでしょ?」

「うん」

 こっくりと頷いた紫優ちゃんの顔がちょっとだけ緩んでいる。わたしは心の中だけで、やれやれと呟いた。

「お母さんは? 買い物?」

「多分そうだと思う。もうちょっとで帰ってくるんじゃないかしら。ねえ一花。珈琲飲む?」

「紫優ちゃんが淹れてくれるの?」

「一花に美味しいの淹れて欲しいなって」

「なによそれ」

 わたしは苦笑しながらセーラー服のスカーフをしゅるりと抜いた。

「待ってて。今着替えちゃうから」

「さんきゅー」

 言いながら大きなあくびをして、ストレッチを始めた紫優ちゃんは、やっぱりどこか路地裏の猫みたいで。猫派のわたしはそんな紫優ちゃんが大好きなのだった。アパート暮らしでは叶わない夢だけど、いつかおっきな猫と一緒に暮らしてみたいのだ。

 わたしが着替えを終えて部屋から出てくると、ちょうどお母さんがスーパーの袋を抱えて玄関から入ってくるところだった。

「お母さん。お帰りなさい」

「うん。一花もおかえり。あら、紫優も起きたのね?」

 台所のテーブルに買い物袋を置きながら。お母さんは紫優ちゃんに微笑みかけた。

「まだ眠いけど。でもね、かすみ聞いて聞いて。一花が駅前のケーキ屋さんでプリン買ってきてくれたの」

「あら。よかったわね」と、お母さんは紫優ちゃんに微笑みかけた。そしてわたしの方をちらりと見ると、「でもあなた、もしかしてテストの出来が悪かったから怒られる前に……なんて事ないでしょうね?」なんて、ちょっとだけ意地悪な声で付け加えた。

「違うよ、もう。お母さんの馬鹿。みんなで食べようと思っておみやげに買ってきたのに」

 わたしがむくれてみせると、お母さんはおかしそうに苦笑した。テスト初日の出来は……まあ、いいじゃん。この際。

「そう? ごめんね。せっかくだからお茶にしようか? 紫優は珈琲?」

「うん。苦いのがいいな」

「解ったわ。一花は?」

「わたしも同じでいいよ。そう言えばね、紫優ちゃん」

「ん?」

 わたしは何気ないふうを装って、紫優ちゃんの傍らに座った。

「果穂さんがなにか重要な話があるんだって。出来たら今日来て欲しいって言ってたけど、行けそう? なんかわたしも一緒にって事みたいなんだけど」

「果穂が? 一花も一緒に?」

 紫優ちゃんは首を傾げながらわたしに訊き返した。

「なんで?」

「さぁ? わたしも理由は全然聞いてないの。果穂さんからメール来てない? ずっと無視されてるってむっとしてたよ?」

「だって、あいつ写メ消さないって言うんだもん」

 やっぱりそれか、と思ってわたしは苦笑してしまった。

「なんの話してるの?」

 わたしと紫優ちゃんの会話を聞いていたお母さんが、ネルとコーヒー豆の用意をしながら訊ねた。

「お母さんは果穂さん、知ってる?」

 不思議そうに首を傾げているお母さんに、わたしは恐る恐る訊いてみる。

「……知ってるわ。前に色々お世話になったもの。それに紫優の通ってる道場の人なんだから。知らないわけないじゃない。だってわたし、果穂さんの結婚式にも出たのよ?」

「へえ、そうなんだ。あ、今はうちの高校の弓道部でコーチをしてくれてるの。でね、果穂さんからちょっと夜来て欲しいって」

「あら、そうなの。出かけるの?」

 わたしはちらり、と紫優ちゃんに視線を向けた。

「紫優ちゃん次第かな。どうする?」

「そうね、でもいい機会だから会って直接文句言ってやんなきゃ。写メ消さなきゃ絶交だからって」

「写メ?」

「……なんでもない」

 ちょっとむすっとした表情を浮かべて、紫優ちゃんは言った。

「まあ、いいけど。あんまり遅くなっちゃ駄目よ? 一花だってテスト期間中なんだから。テストのあいだくらい勉強しなさいね」

「はーい」

 わたしは間延びした返事をして、ちょっとだけ苦笑した。

 でも、そのときはまだ知らなかった。

 ううん。聞き流してしまっていて、お母さんの表情の微妙な変化にも……わたしは気付いていなかった。

 お母さんが前に色々お世話になった、っていう言葉に隠された真実を。意味を。

 ……なにもかもを。

 わたしは知らなかったのだ。

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