第1-7話

僕と彼女は付き合っている。

そう聞かされた後、急に彼女がふっくらとした胸があり男にはないものを持つ"女"として見えてきた。

彼女の顔は依然と平然である。

「藤原さんは私の彼女であると。それでは私との関係は密ですね。」

彼女は含み笑いを僕に見せる。

「えぇ。そうですね。では、今日の所は失礼します。」

そう言って彼女はバッグを持ち、僕の前からいなくなった。

レジの方から会計の音が聞こえる。

しかし、僕は頭の整理が追いつかず音を聞きながらも無意識的に脳は無視をしていた。  


彼女がいなくなってから少し経ってから僕は会計を彼女に持たせてしまったことに気づいた。

テーブルには会計表はなかった。

替わりにそこには二つに折り畳まれた白い紙が置いてあった。

その紙を手に取り、開くとボールペンでなめらかにアルファベットの羅列が綴られていた。

「rika_ooo_@ooo.ooo」

そのアルファベットの羅列に僕は見覚えがある。

昨日の夜に見つけたくしゃくしゃな紙に書かれていたメモと全く同じだ。

滑らかに流れるような女性らしい筆跡も同じである。

藤原は昨日の僕に会っている。

そう考えていると彼女のことをもっと知りたくなった。

彼女は

そう

ミディアムの髪を軽く後ろで一つにくくり、前髪は右サイドに流している。

目は垂れ目で優しく見えるが眉が鼻筋に向かって流れているから強くも見える。

鼻はすっと通っていて小鼻は強調しないぐらいにふっくらとある。

口はふっくらとしているが話していると時折きゅっと口がくっきりと変化し、それが笑顔であってもなくても可愛さを醸し出す。

彼女は僕から見て美人である。

しかし、昨日の僕はそんな彼女を正式な恋愛としての彼女にまで発展させているのだ。


しかし、今

メールアドレスを彼女からもらった。

昨日の僕も彼女からメールアドレスをもらっている。

さして昨日の僕と今の僕は変わりないということではないか。

だが僕は昨日のことを思い出せない。

そんな僕が彼女と付き合うことができるのだろうか。


僕は急に決まった休日の珈琲を楽しんだ。

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