第12話 初対面

「君はウィルだね」

僕は遠慮がちに小柄な少年の細い手を握った。隣の大柄な少年と比べると、体重差は軽く十キロは超えていそうだ。

「大丈夫。手を握ったくらいで僕は倒れないよ」

小柄な少年は僕の心を見透かしたように笑いながら言った。

「俺も同じことを言われた」

隣のモジャモジャ頭の少年が苦笑いを浮かべ、同じように僕に手を差し出した。

「ジェリーだ。よろしく」

「僕はリバー。こちらこそ」

僕たちは照れ笑いを浮かべながら、はじめての対面を果たした。


改札口から中高生が次々と出てくる。僕たちと同じように、この場所で待ち合わせしている者もいる。おそらく横浜の賑やかな繁華街で買い物や食事を楽しむのだろう。


僕たちはウィルの発案で、駅から歩いて二百メートルほどの大型スーパーに向かった。このスーパーの一階にあるファーストフード店で昼食を取るためだ。駅付近のレストランは混雑が予想される。


道すがら、僕の右隣にはウィルが、そして、左隣にはジェリーがいた。誰かと話しをしながら歩くのは数ヶ月ぶりであった。


僕は嬉しさを抑えきれず、よく喋った。好きな芸能人、好きな歌手、好きなサッカー選手や野球選手など、話題は尽きない。ウィルに、

「リバーって意外とよく話すんだね。おとなしいタイプだと思ったよ」

と言われ、僕は思わず赤面した。

そう、僕はおしゃべりだった。クラスで人気者とまではいかなかったが、かつて、僕はサッカー部の連中やクラスメートとよく話していた。

「そうなんだ。もともとはよく話すタイプなんだよ。最近はめっきり物静かな人になっちゃったけど」

僕は両手を合わせると、まず、ウィルに、次にジェリーに謝った。

「謝る必要ないよ。気持ちはよく分かるから。僕もある意味おしゃべりに飢えているのかもしれないな」

ウィルは僕の肩を軽く叩き、はにかんだ。

「俺も」

ジェリーも同意した。




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