第6話 僕の秘密
私はウィルの手紙を3回ほど読み直し、早速返事を書くことにした。
私はまず紙を探した。
勉強机の引き出しをひっくり返す勢いで紙を探したが、ルーズリーフの用紙以外は見つからなかった。
私は申し訳なさを感じながらも、ペンケースからシャーペンを取り出し、返事を書き始めた。
ウィルへ
返事を書いてくれて本当にありがとう。
まずは退院おめでとう。
君は強いんだね。病気に勝つなんて、僕にはできそうもないよ。
僕も君もそうだけど、何の悩みもなく生きていくことなんて不可能だよね。
問題は悩みがあっても、いかに前を向いて生きるかだと思う。
君の手紙を見て、僕は自分が問題に背を向けるどころか、問題すらなかったことにしていることに気づいたんだ。
僕もウィルのように正直になるべきだよね。勇気を持って、君に伝えるよ。
それが、はじめの一歩だと信じて。
実は、ちょっと前に母が自殺したんだ。
ごめんね。驚いたよね。
母は大学の研究者で、メチャクチャ忙しい人だったんだ。父によると、母は日本の未来を変えるような研究を行なっていたみたいだけど、僕は母がどんな研究をしていたのか全く知らなかった。父は大げさな人だから、本当のところは分からないけどね。
でも、情けないよね。僕はどこかで怒りを感じていたんだと思う。「母は僕よりも研究が大事なんだ」って。中学生にもなって、ホントに僕は何を考えていたんだろう。家族のために母は頑張っていたのに。。
だから、僕は自分から母に話しかけようとはしなかった。
せめて、「ありがとう」って言いたかったな。
待っているだけじゃダメなんだね。
だから僕も冒険に出たい。
人生は一度だけなんだ。
僕はいつでも準備はできているよ。
本当にウィルと冒険に出るのが、待ち遠しよ。
母がいなくなって、こんなにウキウキしたのは初めてかもしれないよ。
それでは、またね!
リバーより
PS 今度は冒険の計画を練ろう!
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