第5話新たな疑惑
気がつくとそこは病院のベッドの上で側にはアランがいた。
「良かった!気が付いたんですね。今先生を呼んできます。」
「待て!俺は大丈夫だ。」
医者を呼びに行こうとしたアランを呼び止めた。
「一体何があったのか聞かせてくれ。覚えているのは突然現れたSUVが信号待ちの車に向かってマシンガンをぶち込んだ と言う事だけだ。一体誰の車に向かって撃ったのかそれを調べて欲しい。」
「貴方本当に大丈夫なのか?打ちどころが悪かったら危なかったんだぞ!」
アランは本当に心配しているようで少しだけ怒ってもいるようだった。
「ごめん。本当大丈夫!俺どんだけ寝てた?」
蓮は素直に謝った。
「事件は今日の昼頃に起こったらしいから大体8時間位経ってます。それから襲撃されたのは流星会の会長が乗った車でした。後ろのガラスは全て防弾ガラスだったので運転手が亡くなったそうですが、秘書と会長本人は怪我もなかったと聞いています。」
アランは先ほど野中が置いていった情報を話した。
「やっぱりヤクザ絡みか。マジ俺頭きた。警察は襲った奴の見当はついても手が出せないんだろ?あんな場所でぶっ放しやがって!SUVについてちょっと調べてくれ。」
蓮はSUVに乗っていた一人が銀龍会に関わりのある奴だとアランに伝えた。多田が起こした事件の後銀龍会について調べてもらった時の資料にあった写真の男が運転していた事をアランに伝えた。
「貴方、あの状況で運転手の顔見れたんですか?」
驚きながら確認した。
「当たり前だ。残念ながらマシンガンを撃っていた奴の顔は分からなかったけどな…」
アランは明日まで大人しく入院している事を蓮に約束させ調べてくると言って病室を後にした。
翌日の朝野中が見舞いに来てくれた。
「蓮くんもう大丈夫なのか?」野中は心配そうに蓮を覗き込んだ。
「もう平気ですよ。お陰様でしっかりと寝させてもらいましたよ。」
蓮はちょっとだけおどけて話した。
「あの子大丈夫でした?」
蓮の問いに
「嗚呼、怪我はしてなかったから母親と直ぐにせ帰ったよ。君に宜しく伝えて下さいと言われたよ。」
蓮が助けた少女は蓮の腕の中で跳ね飛ばされたが
蓮が咄嗟に自分の体の中に包み込むようにした為
怪我はしなかったのだ。
「それで、昨日のアレヤクザ同士のトラブルですか?」
「え?あー ごめんまだハッキリとはわかってないんだ!」
野中が歯切れ悪く答えたのを聞いて蓮は尚食い下がった。
「どう考えてもそうでしょう!街中でマシンガンとか使うのマジないでしょう?」
「やっぱり蓮くんを誤魔化せないか。」
野中は蓮に今までわかっている事をコッソリと教えてくれた。
「逃げた奴らはまだわからないけど、狙われたのは流星会の会長だったよ。でも亡くなったのは運転手だけで会長本人と秘書は防弾ガラスのお陰で無事だったんだけどね。
あ、それから倒れた君を介抱して救急車を手配したのも流星会の会長だったんだ。」
そう言って頭を掻いていた。
野中が教えてくれた事は昨日アランが話していた事と変わらず新しい情報は無かったものの一つだけ気になったことがあった。
「へえ、あの後車から降りてきたって事?それ凄いね。」
もしかしたらまだ狙っている奴が居るかもしれない中で車を降りて来た事に驚いたのだ。
そしてそれは、自分の行動を見られていた事を示していた。
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