第39話「短縮された、泥沼不倫劇」

40代の男性が二人乗って来た。

仕事終わりでこれから飲みに行くのだろう、飲み屋街を行き先に指定する。


お世話になっている者同士、久しぶりに会ったのか

そういえば、、、といった話題が続く。


その中で家庭の話が出てきた。


「そういえば、結婚が二回目だっけ?」

「そうっすね」

「前回がいろいろあったよね?」

「そうなんすよ、まあ僕の不倫が原因だし、僕が悪いんですけど

それを会社の後輩にチクられてて」


一言で泥沼不倫劇をまとめた。

しかし、話題は堀り進められていく。


「後輩がチクんの?どういう内容で?」

「もともと、その後輩は大学の後輩でもあるんですけど、ある日一緒に女の子と飲みますけど~、みたいな誘いがあったんすよ」

「うん」

「で、まあ行くことになったんすけど、そこで出会った子と仲良くなって遊ぶようになって」

「うん」

「その子と遊ぶ時に、僕は嫁に対して後輩と遊んでいるってことで伝えていて、それを後輩と共有してたんです」

「なるほどね」

「だけど、それを全部嫁にチクってるんですよ」

「ぜんぶ!?」

「はい、全部筒抜けなんで証拠もつかめるし、関係も悪くなって離婚しちゃうんですけど」

「それキツイね~」

「そうっすね~、まあ僕が悪かったというのはもちろんあるんですけど、

ただ、そのことを後輩は一切僕に言わないんですよ」

「へぇ~、知らないフリ?」

「はい、でも会社にいるもんだから、そいつは信用出来ないし、キツくて」

「え、同じ職場にいるの?」

「そうなんですよ。たまにいるじゃないですか、知らん顔して人の女に手出す奴」

「ああ~」

「で、どうしようかなって考えて、いっそのこと逆行ってめっちゃ良く接しようと思って、優しくしまくってたら辞めていきました」

「なかなかだね~」


凄い短さで泥沼不倫劇のワンクルールを見終えた感じがした。

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