第36話 「60歳を越えたタクシー運転手の幸せな働き方」

渋谷でおじちゃんが乗って来た。


そのおじちゃんは言う

「私は○○という会社にいたんですよ~」

それは都内のタクシー会社。


僕もたまに、他のタクシー運転手さんに話を聞いてみたくて乗ってみたりするが、その時はみんな結構話してくれる。

親近感が湧くからだろう、僕も嬉しくなって沢山喋らせてもらった。


僕「僕は、お客さんとしてもたまに乗ってみて思うんですけど、

悪く言われがちだけど、タクシー運転手って案外良い人多いですよね~?」


お「そうだね~、運転しているのもあるし、話しかけられてそうそう上手く返せない場合だってあるしね。

昔は凄かったよ、タクシー運転手なんて今とは立場が逆で、

お客さんがお金振りかざして運転手が良いと思ったら乗せる」


僕「バブルの頃の話ですよね~、よく聞きます」


お「いまはもう変わっちゃってるから、うちらはもう定年越えて、

年金貰っているから定時制だけどね」


定時制という、8乗務のアルバイトのような形態もあるのがタクシー会社。


お「それに羽田に付けて事故違反を極力減らすし、時間はあるから結構飲みに行ったりもするしね」


そこに、おじちゃんが終始穏やかで楽しそうに話す理由を感じた。


年金があるからそこまで働かない、頑張って働かなくても生活と飲み歩けるくらいのお金はある。

日数も月に8乗務だから殆ど仕事はなく、自由な時間が多い。


たまに、定年前に仕事から離れるセミリタイアなんて言葉を聞くけど

60代を越えたタクシー運転手のおじちゃんは、生活と少し遊べるお金に加えて時間もあり、気楽な仕事と会社には仲間がいる。


基準は人によるけど、それって最高の働き方じゃないか?

と思った。


タクシーでお乗せしたお客さんと意気投合して、

いまはお客さんのタイ料理のお店の常連らしい。


仕事も含めて、全部が楽しい時間かもしれない。


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