第35話 「ナビは裏切られる」
タクシーに乗るお客様には、行き先をナビに入力してもらう方もいる。
口頭で伝えにくかったり、初めて行く場所であるならそれで良いが、それはそれで困ることがある。
ナビに裏切られる時があるからだ。
お客様が伝えたきた住所を入力し、
その周りにある郵便局や学校などの施設、交差点名の名前を確認し、
間違いがないことがわかって向かう。
お客様は運転手の裁量じゃなくてナビに任せていて安心があり、
運転手はこの目的地に向かえば良いという安心がある。
お互いに何の問題もなく目的地は向かうが、到着するときに問題が起こる。
ナビが差す位置が違っていることがあるのだ。
お客様の仰った住所を
「○丁目○番で宜しいですか?」
と復唱し、
「近くに郵便局がありますか?」
など、周りにある建物によって場所を固めていく作業もする。
それで、間違いがないはずなのに
目的地に到着すると
「あ、ここじゃないですね」
と言われる。
「(え?ナビはここなのに...ナビの入力も確認したのに...)」
そうやって目的地が違ったとき、お客様の疑いの矛先は運転手になる。
たまに目的地を過ぎてしまっているときもあり、
わざと通りすぎたと思われることもある。
そんなつもりはないのに。
このときの感情はどこにもぶつけられない。
ナビは裏切る。
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