第33話 「タクシーを弄ぶ人」

街中でタクシーを止める際は手を上げて合図を出す。


誰もが知っているこの動作を利用して、

タクシーを弄ぶ人が結構いる。


手をしっかりと前に出して、止める動作と思いきや

頭を掻く、

時計を見る、

何かを指さす、

ストレッチのような動きをする、

これらはすべて嘘だと分かっている。


僕自身もそんなイタズラをしてしまうところがあるから

やりたくなる気持ちも分かる。


その合図のフリをみて、タクシーを減速させて楽しもうとしているんだろうけど、

僕はもうそんなものには食いつかない。


魚でさえ、釣り糸に針がついていてそこに餌が付いているのが見えていればまともに食いつきはしない。


まったく減速せずにスルーする。


「騙されねぇぞ~」

と、遊び半分で通り過ぎる。


そのせいで、

本当にタクシーに乗る人すらもスルーしてしまうようになった。


チクショー!

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